イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) ビルボードジャパンソングチャートで急上昇したNumber_i「GOAT」、その内容と今後の重要ポイントとは

(※追記(3月21日5時28分):2023年度ビルボードジャパンソングチャートにおける1位リストに誤りがありました。2023年度6月28日公開分において、YOASOBI「アイドル」のフィジカルセールス指標に色付けを行っていなかったため、色付けしたものに差し替えています。心よりお詫び申し上げます。)

 

 

 

3月13日公開分(集計期間:3月4~10日)のビルボードジャパンソングチャートではNumber_i「GOAT」が、フィジカルセールス指標初加算に伴い2位に上昇しています。

7週間ぶりのトップ10入りとなったNumber_i「GOAT」は、3月6日のフィジカルリリースを受け、32位→2位へ上昇した。初週481,475枚を売り上げてCDセールス1位、ダウンロード24,601DLで1位、ラジオ1位と合計3指標で1位を獲得。そのほか、動画再生は1,439,615再生で4位、ストリーミングは3,389,427再生で27位となり。総合ポイントは14,974ポイントとなった。僅差で1位には届かなかったが、3位以下には約2倍以上という大きな差をつけて総合2位となった。

1月1日にデジタルリリースされたNumber_i「GOAT」は、元日からの1週間を集計期間とする1月10日公開分ビルボードジャパンソングチャートで首位発進。以降は順位を下げながらも50位以内にとどまり続け、今回フィジカルセールス指標初加算に伴いトップ10内に復帰しています。Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」には及ばずも、今回獲得したポイントは2023年度以降のソングチャートにおいて高い状況です。

(2023年度以降のビルボードジャパンソングチャートにおける1位および2位のリストから、今回のNumber_i「GOAT」における獲得ポイントの高さが解るでしょう。2023年度のリストを掲載したのは、同年度初週以降においてビルボードジャパンがソングチャートのチャートポリシー(集計方法)を大きく変更していないためです。)

 

今回、Number_i「GOAT」の記録から、まずは気になるポイントを紹介します。

 

 

注目点の1つ目はダウンロード指標の首位復帰です。

フィジカルシングルは複数種がリリースされていますがデジタルでは全種のカップリング曲を網羅したシングルパッケージ(EPという位置付け)でもリリースされており、そのパッケージとしての売上は「GOAT」に加点されます。パッケージにて購入した方が多いだろうことについては、Number_i側が開催したキャンペーンから推測可能です。

なお、シングルパッケージのダウンロードにおけるチャートポリシーについては、下記リンク先をご参照ください。

 

一方で、パッケージではなく(もしくはパッケージとは別に)単曲で購入した方もいらっしゃるでしょう。フィジカルシングルのカップリング曲である5作品すべてがダウンロード指標20位以内、そして総合ソングチャート100位以内に登場していることも注目すべきと捉えています。

この5曲すべてにYouTubeで公式オーディオが用意されていることも注目すべき点であり、5曲すべてが動画再生指標(上記CHART insightでは赤で表示)で100位以内に入った原動力となりました。さらにはストリーミング(青)でも全曲300位圏内に入り加点されたことが、総合ソングチャートでの100位以内エントリーにつながっています。

 

 

今後のチャートにおいて気になる点のひとつはそのストリーミングであり、指標の基となる各サブスクサービスにおいて順位に小さくない差が生じています。Spotifyでは3月1~7日を集計期間とするチャートで「GOAT」が15位に入っている一方、ビルボードジャパンと集計期間を同一とするApple Musicでは33位、3月6~12日を集計期間とするLINE MUSICでは100位以内に入っていません。

Number_i側がLINE MUSICで再生キャンペーンを行っていなかったこともありますが、Spotifyがデイリーチャートを再生回数も含め200位まで可視化していること等がコアファンの熱量を高め、同サービスの再生回数が増えた可能性が考えられます。音楽チャート上で大事なことについては後述しますが、そのためにはどのサブスクサービスでもまんべんなくヒットすることが重要となるはずです。

 

ラジオ指標はプランテックのOAチャートに調査対象31局の聴取可能人口を加味して算出されます。指標の基となるこのチャートにおいて「GOAT」は2位、OA局が48.4%(15局)となっていますが(下記リンク先参照)、指標化の際に1位となっています。

これはおそらく、集計期間6日目にNumber_iが『JA全農 COUNTDOWN JAPAN』(TOKYO FM/JFN)に出演したことで、全国の系列局に一斉OAできたことも大きいでしょう。当週は定期コーナーや番組枠でのOAが目立つとのことであり、今後ラジオ番組でのゲスト出演がなければ、また一般的にフィジカルセールス加算2週目においてランクダウンする傾向にあることを踏まえれば、この指標は次週下降するものと思われます。

 

フィジカルにおいてNumber_i「GOAT」はTOBEの公式ショップのみでの発売となり、実際に購入するまでのハードルが低くはないといえるかもしれません。販路を狭めることがコアファンの熱量を高める可能性、そしてそのコアファンは初週購入が多いことを踏まえれば、次週この指標は大きく下がるかもしれません。一方でデビュー曲という特性上、フィジカルセールス加算2週目において上位に残ることもまた考えられます。

(なお、3月8日付エントリーにてフィジカルセールス未加算の懸念を記したのですが(上記エントリー参照)、最終的にフィジカルセールスは加算されています。また2週前にこの指標が初加算となりながら翌週300位圏外となったIMP.「SWITCHing」も、今回再度加点されています。TOBE側が50万近いフィジカルシングルの発送作業に追われ、ビルボードジャパン側に対しデータの提出が十分にできなかったのかもしれません。)

 

 

音楽チャートにおいて大事なのは週間チャートでの上位進出もさることながら、それ以上にロングヒット、そして年間チャートでの上位進出です。

フィジカルセールス指標は瞬発力を大きく高めるという特性上、デジタル(主に接触指標群)の後押しという役割と捉えるのが最善です。Number_i側が今回の好成績を基に、特にストリーミング聴取への流れを作りライト層を生み出す、そしてその中からコアファンに昇華させることが重要であり、その道筋をよりスムーズにするための施策を運営側やファンダムが考え、動くことが求められるでしょう。

TOBE所属歌手が一同に介したライブイベント”to HEROes ~TOBE 1st Super Live~”が昨日から開催されていますが、最終日となる3月17日日曜の公演がAmazonプライム会員向けに配信されることは、(実質は有料会員向けの配信になるものの)ライト層獲得とコアファンへの昇華における絶好のタイミングと考えられます。

 

 

Number_iは今回、フィジカルセールス、そして総合ソングチャートにおいて、Sexy Zone「puzzle」を上回りました。

すべてのアイドルやダンスボーカルグループが今回の「GOAT」並のポイントを獲得できるとは言い難いものの、しかしフィジカルセールスがデジタルに加わったタイミングでの「GOAT」の獲得ポイントは重要な意味を持つはずです。加えて、デジタルだけでもこの曲が強かったということは先述した表から解るでしょう。

「GOAT」はデジタル初加算週となる1月10日公開分にてフィジカルセールス加算初週のKis-My-Ft2「HEARTBREAKER」に、またIMP.によるデビュー曲「CRUISIN'」はフィジカルセールス指標初加算となる2023年11月15日公開分にて同じくフィジカルセールス加算初週のKing & Prince「愛し生きること」に、それぞれ勝っています(下記リンク先参照)。

この結果を経て、旧ジャニーズ事務所に今も所属する歌手やコアファンの中からビルボードジャパンのチャートを重視しない傾向が出るかもしれません。しかしTOBE所属歌手の結果からはデジタルのみでヒットを生み出せること、デジタルの勢いが続けばロングヒットできること、フィジカルセールスが加算されれば勢いをさらに高められることが解るはずです。コアファンが多く、熱量が大きければその力はより増幅するでしょう。

(また、これは自分の主観に因るところも大きいのですが、Number_iにおいてはチャート対策に長けたファンが多いと感じています。)

Number_i「GOAT」の二度のピーク獲得等を旧ジャニーズ事務所に今も所属する歌手側がどう捉え、デジタルと如何に向き合っていくかを注視していく必要もあります。ともすればデジタルを解禁しないという路線を貫くかもしれませんが、それははっきり勿体ないことだと断言します。