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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

好調のNumber_i「GOAT」、昨年度ヒットした男性アイドル/ダンスボーカルグループ曲と比べる

日本におけるアイドルやダンスボーカルグループ(ソロも含む)、そのビルボードソングチャートにおけるチャートアクションは大半が瞬発力の高い一方で持続力が強くないためにロングヒットしにくいという状況が続いています。その中にあって、岸優太さん、神宮寺勇太さんそして平野紫耀というKing & Prince脱退メンバー3名がTOBE移籍後に結成したNumber_iによる「GOAT」は、注目すべきといえる動きをみせています。

元日デジタルリリースの「GOAT」は、同日を集計期間初日とする1月10日公開分ビルボードジャパンソングチャートを制すると(同日公開分チャートは【ビルボードジャパン最新動向】Number_i「GOAT」首位発進、強さの理由とグローバルの動向について(1月12日付)にて解説しています)、その後最新2月7日公開分では21位にランクイン。5週目における上位キープは、日本のアイドル/ダンスボーカルグループでは気になる動向です。

 

Number_i「GOAT」は総合ソングチャートにおいて1→3→6→15→21位、ポイント前週比は48.0%→71.3%→67.4%→84.8%と推移。登場2週目におけるポイントの半減は所有指標であるダウンロード(CHART insightでは紫で表示)の数値面での下落が影響しています。またロングヒット曲が基本的にポイント前週比9割台で推移する傾向にあることから「GOAT」の下落幅は小さくないといえますが、それでも特筆すべき動きです。

上記CHART insightからは、ラジオ指標(黄緑)の後退やカラオケ指標(緑)の300位未満に伴うポイント未加算が見て取れます。ストリーミング指標(青)も緩やかに後退していますが、ロングヒットの要となるこの指標が比較的安定し、また動画再生指標(赤)も上位をキープしていることが、5週連続の100位以内ランクインにつながっています。

 

 

ロングヒットは年間チャート100位以内ランクインの可能性を高めますが、2023年度のビルボードジャパン年間ソングチャートにおいて日本のアイドルやダンスボーカルグループによるランクインは多くありません。これは高い所有指標(主にフィジカルセールス)に伴う瞬発力と、接触指標群(ストリーミングおよび動画再生)という持続力が乖離しているゆえであり、下記エントリーの8番目の項目にて取り上げています。

その中にあって、2023年度のビルボードジャパン年間ソングチャートにて100位以内に入った日本のアイドル/ダンスボーカルグループの作品はDa-iCE「スターマイン」(42位)、同「CITRUS」(72位)、King & Prince「ツキヨミ」(76位)およびBE:FIRST「Mainstream」(96位)の4曲。これらの作品にはそれぞれ特徴があります。

 

Da-iCE「スターマイン」は配信限定シングルとして一昨年リリースされ、TikTokを機にヒット。その翌年、同曲はTHE FIRST TAKEで披露されたことで二つ目のチャートの山が生まれました。なおビルボードジャパンはソングチャートにおいて異なるバージョンをオリジナル版に合算しないものの、動画再生指標は動画に付番されたISRC(国際標準レコーディングコード)が同一ならば合算されます。動向を紹介したエントリーは下記に。

(上記CHART insightは、「CITRUS」直近150週分を示しています。)

同じくDa-iCEによる「CITRUS」は、フィジカルがリリースされるも1万枚限定発売ゆえその効果は大きくありません。この曲もTHE FIRST TAKEで披露されたこと、BE:FIRSTを輩出したオーディションで課題曲に使用されたこと、歌唱分析動画の人気そして(その結果としての)日本レコード大賞受賞がロングヒットにつながっています。

 

Number_iのメンバー3名在籍時におけるKing & Princeのシングル「ツキヨミ」は、2022年度内にて週間首位を獲得。初週61万枚超えとなったフィジカルセールス指標は2023年度には反映されていません。一方で脱退アナウンス後にフィジカルがコンスタントに売れたこと、そして動画再生指標の高位置キープが年間チャート上位進出の原動力となっています。

ロングヒット、そして年間チャート上位進出にはストリーミング指標が欠かせないゆえ、デジタル未解禁の「ツキヨミ」は異例の動きといえます。現Number_iの平野紫耀さんが主演したドラマ『クロサギ』(2022 TBS)の主題歌であったこと、また旧ジャニーズ事務所が得意とするラテンテイストの曲調等も影響したといえるでしょう。無論、デジタル解禁していればより大きなヒットに成ったと考えます。

 

そしてBE:FIRST「Mainstream」は、彼らがフィジカルシングルリリース時に徹底しているデジタル月曜/フィジカル水曜という同週リリース施策が功を奏していますが、特に初週の動向に強く表れます。コアファンの熱量の高さは「ツキヨミ」も同様と思われますが、BE:FIRSTのメディア露出増、「Boom Boom Back」以降のヒップホップアプローチ、そしてK-POPとは異なる独自の音楽性の追求がライト層にも拡がったといえます。

 

 

Number_i「GOAT」のCHART insightを今一度見てみると、ストリーミングと動画再生指標は比例しながら後者の順位が上回っています。これは関連動画の相次ぐ公開が影響したとも考えられ(2月5日にも下記動画を公開)、その勇姿を追いかけるコアファンを主体とした支持の表れといえます。他方ストリーミングのキープからは、コアファンの聴取もさることながらライト層にも勢いが波及していると考えていいかもしれません。

Number_i「GOAT」はそもそもデジタルに明るく、またK-POPや、日本ではBE:FIRST等が徹底する関連動画公開の施策を踏襲しています。チャート面強化もさることながら、Number_iの3名がやりたい音楽を様々な動画を介して伝えているといえるでしょう。そしてこれら施策は、旧ジャニーズ事務所在籍時にはやりたくても難しかったことではとも感じています。

 

 

Number_i「GOAT」ががロングヒットに、そして真の社会的ヒット曲に至るかを、今後も注目していきます。その際、直接的もしくは間接的にチャートアクションにつながるかもしれない施策(一部改善案)について、後日記載する予定です。