今回のエントリーでは、ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週上位に初めて進出した曲の翌週動向、そして最新週における上位初進出曲の状況をチェックし、真の社会的ヒット曲に成るかを読みます。前週のエントリーはこちら。
最新のソングチャートに関する記事は、以下をご参照ください。
【ビルボード】櫻坂46「承認欲求」が総合首位、藤井風「花」がトップ10初登場 https://t.co/2maR9uWYy0
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年10月25日
まずは前週のエントリーにて紹介した上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。このCHART insightについては、下記ポスト(ツイート)にて簡潔に説明しています。
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
リンク先:https://t.co/NVZ8bHjac1
<色について>
黒:総合順位
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
オレンジ:ルックアップ(2022年度で終了)
水色:Twitter(2022年度で終了)
赤:動画再生
緑:カラオケ
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】(続き)
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
<色について>
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能)
<チャート構成比>
最新週、もしくは300位以内最終在籍時における指標毎のポイント構成
<2023年10月18日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて
20位までに初めて登場した作品の、翌週におけるCHART insight>
・INI「HANA_花」 2位→29位
・藤井風「花」 11位→7位
・櫻坂46「承認欲求」 13位→1位
櫻坂46「承認欲求」および藤井風「花」については、別途エントリーにて紹介しています。
INI「HANA_花」はポイント前週比20.5%となり2→29位に後退。直近ではBE:FIRSTによる最新シングル「Mainstream」がフィジカルセールス指標加算2週目にポイント前週比33.7%、1→4位となっており(9月27日公開分)、「HANA_花」の落ち込み幅は大きいといえます。
「HANA_花」はダウンロード、ストリーミングや動画再生指標といったデジタルの所有/接触双方がダウンしています。前週トップだったラジオ指標も7位に後退しました、同指標がポイント全体の3割を占めていることから、この指標が仮に好調でなかったならば総合チャートでの落ち込み幅はより大きくなったはずです。
この曲についてはLINE MUSIC再生キャンペーンを採用しない状況でストリーミング指標100位以内に入ったことを前週のエントリーにて評価していますが、ロングヒット曲において安定が欠かせないこの指標が当週100位圏外へダウンしたことからはこの曲の接触におけるライト層とコアファンとの乖離が感じられなくはありません。ライト層の獲得とそれに因る安定がINIのキャリアにおいて鍵になるものと考えます。
続いて、最新ソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックします。
<2023年10月25日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
20位までに初めて登場した作品のCHART insight>
・4位 (初登場) MAZZEL「Carnival」
・11位 (初登場) IMP.「SWITCHing」
当週20位以内に初登場を果たした2曲について、ラジオ指標の観点から昨日のエントリーを掲載。藤井風「花」についても取り上げています。
先述したように、ラジオ指標においてはINI「HANA_花」においても1→7位にダウンしています。同曲は前週、ラジオ指標の基となるプランテックのOA回数ランキングにおいてリクエストOAも最多ながらプロモーションとしてのOAも多かったのですが(前週のOA回数ランキングは下記リンク先参照)、特にプロモーションに伴うOA回数の減少が反動につながったものと考えます。
男性アイドル/ダンスボーカルグループに限りませんが、ラジオ指標で強くなるには継続的なOA、全国各地のラジオ局でどの時間帯においてもまんべんなく流れることが重要です。そのためにはリクエストに伴う継続的なOAが欠かせず、受動的接触を経てライト層に成る方を生む原動力にもなることでしょう。
さてIMP.「SWITCHing」については、そのリリーススケジュールが気になっています。
「SWITCHing」はIMP.が本日10月13日に配信リリースした楽曲。今回はリミックスバージョンとして、さわやかな朝をイメージした「SWITCHing early Remix」、きらめく太陽をイメージした 「SWITCHing day Remix」も配信された。MVはビリヤード場などを舞台にしたカットや、7人のキレのあるダンスシーンで構成されている。
IMP.「SWITCHing」は前回10月18日公開分の集計期間5日目となる10月13日金曜にオリジナルバージョンおよびミュージックビデオを公開したのみならず、ふたつのリミックスもリリースされ、最新チャートで初の1週間フル加算となり総合100位以内に入った形です。またビルボードジャパンでは別バージョンは基本的に合算対象となりませんが、オリジナルを含む3バージョンはいずれもダウンロード指標30位以内に入っています。
13,596DLを獲得したIMP.による3rdデジタル・シングル「SWITCHing」は、前週21位から2位にジャンプアップした。デビュー曲「CRUISIN'」から3か月連続リリースで、10月13日に配信されたため前週の集計対象は3日間のみだった。同時に2曲のリミックスが解禁されており、「SWITCHing early (Remix)」は28位、「SWITCHing day (Remix)」は29位にそれぞれ初登場した。
【ビルボード】Ado「唱」がDLソング2週連続首位、IMP.「SWITCHing」2位に上昇 https://t.co/mGUlplstxz
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年10月25日
男性アイドル/ダンスボーカルグループは特にリリース日における所有指標が高いのが通常です。にもかかわらずIMP.「SWITCHing」においてリリース4日目以降に売上を伸ばしたのは、ダウンロードキャンペーンが今回の集計期間初日(すなわちリリース4日目)から同最終日まで開催されたことが影響しているといえるでしょう。
(※キャンペーンの注意事項等を紹介するためにキャプチャしました。問題があれば削除いたします。)
仮にIMP.「SWITCHing」が10月16日月曜に解禁され、且つキャンペーンも同日開始していたならばビルボードジャパンソングチャートでのトップ10入りは十分あり得たはずです。しかしながら金曜リリースとなったのは、ともすれば米ビルボードによるグローバルチャートでの200位以内ランクインも視野に入れていたのではと考えます。このチャートは金曜が集計期間初日となり、また様々なバージョンが合算対象となります。
10月13日金曜を起点とする10月28日付グローバルチャートのうち米の分を含むGlobal 200では、IMP.「SWITCHing」は200位以内にランクインしていません(同日付チャートはこちら)。一方で米の分を除くGlobal Excl. U.S.においては米ビルボードが有料会員のみに200位までを公開していますが、「SWITCHing」が入っていないものと思われます(なお日本の楽曲はGlobal 200よりGlobal Excl. U.S.が順位面で有利になる傾向です)。
リミックスも用いてグローバルチャート200位以内ランクインを狙うのならば、まずストリーミングを強化する必要があるでしょう。ビルボードジャパンソングチャートにおいてもストリーミング(上記CHART insightでは青で表示)が300位以内に入っておらず未加点だったこともトップ10を逸した要因といえます。そして所有指標はリリース直後の購入が大きく、月曜解禁でもグローバル、日本双方で効果は十分だったと考えます。
IMP.はメディア露出が少ないのが課題と考えるゆえ、メディアで取り上げられるようになるべく日本のチャートでまず実績を作ることが必要ではないでしょうか。露出に伴う知名度上昇を経てストリーミングやダウンロードでも安定した数値を獲得できたならばリミックスも投入し、日本を基軸に世界に挑むというのがプロセスとしてより好いのではというのが私見です。
IMP.はデビュー曲「CRUISIN'」のリリースが”世界デビュー”と形容されることが多く(上記記事等参照)、ゆえにその後も世界を意識して金曜リリースを定番化しているという印象があります。ただし現在はデジタル配信が世界同時リリースとほぼ同等であり、ゆえに配信でもって世界デビューや海外進出という形容は間違ってはいないものの誇張ではないか捉えられてもおかしくないでしょう。
また日本はダウンロードが他の国や地域よりも高く、その強さでもって短期的にでもグローバルチャートにランクインすることが可能です。ならば日本での足固めをまずはしっかりと行うことが大切だと考えます。
なおIMP.のメディア露出に関して、仮に旧ジャニーズ事務所所属だった(彼らは旧ジャニーズ事務所所属時代にIMPACTorsとして活動していた)こと等を理由にメディア側が出演に難色を示すことがあってはならないでしょう。旧ジャニーズ事務所初代社長の性加害問題はメディアの態度が加速させた問題でもあり、そのメディアの自省も業界全体の改善には欠かせないと考えるゆえ、メディア側の対応もまた注視しなければなりません。
この状況下でIMP.を【D.U.N.K.】のイベントに招聘したSKY-HIさんは、(それが彼らのテレビ出演につながったこともあり尚の事)エンタテインメント業界をポジティブに変える重要な存在と考えます。MAZZELも共に同じステージに立つこのイベントを機に、業界全体が変わることを願います。『ミュージックステーション』が自省を経てBE:FIRSTを出演に至らせたのですから(下記リンク先参照)、業界全体の自浄も可能なはずです。
#D_U_N_K_ 参加アーティストコメント
— D.U.N.K. -DANCE UNIVERSE NEVER KILLED- (@dunk_dance) 2023年10月3日
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IMP.
@_7mp_official_
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D.U.N.K. Showcase in KYOCERA DOME OSAKA
出演日・12月2日(土)
▽最速先行受付中▽https://t.co/76bFim2W0z#DanceUniverseNeverKilled #日本を踊らせろ#IMP. pic.twitter.com/7y2lPFmYJs
#D_U_N_K_ 参加アーティストコメント
— D.U.N.K. -DANCE UNIVERSE NEVER KILLED- (@dunk_dance) 2023年10月11日
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MAZZEL
@mazzel_official
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D.U.N.K.Showcase in KYOCERA DOME OSAKA
出演日・12月2日(土)
▽チケット2次先行受付中▽https://t.co/CqSsaa86et#DanceUniverseNeverKilled #日本を踊らせろ#MAZZEL pic.twitter.com/FUAiaZSiha