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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週および当週の上位初進出曲におけるCHART insightから、真のヒット曲に成るかを読む (2023年11月8日公開分)

今回のエントリーでは、ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週上位に初めて進出した曲の翌週動向、そして最新週における上位初進出曲の状況をチェックし、真の社会的ヒット曲に成るかを読みます。前週のエントリーはこちら。

最新のソングチャートに関する記事は、以下をご参照ください。

 

 

まずは前週のエントリーにて紹介した上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。このCHART insightについては、下記ポスト(ツイート)にて簡潔に説明しています。

 

<2023年11月1日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて

 20位までに初めて登場した作品の、翌週におけるCHART insight>

 

・WEST.「絶体絶命」 3位→100位未満(300位圏内)

モーニング娘。'23「すっごいFEVER!」 4位→100位未満(300位圏内)

SEVENTEEN「God of Music」 14位→24位

Hey! Say! JUMP「Ready to Jump」 15位→100位未満(300位圏内)

 

3曲が100位未満(300位圏内)に急落するという状況です。Hey! Say! JUMP「Ready to Jump」についてはデジタルのみリリースながら接触指標のストリーミングで300位以内に入らず加点されなかったことが大きく、またトップ10入りしていた2曲は共にサブスク解禁自体されていません。

一方でSEVENTEEN「God of Music」については動画再生およびストリーミングの接触指標群がキープしている状況ですが、LINE MUSIC再生キャンペーンの開催(10月25~31日)も大きく寄与したものと考えます(上記リンク先参照)。Apple Musicでも比較的好調だったものの、キャンペーンが完全に反映されなくなる次週においてどの位置にとどまるかを注視する必要があるでしょう。

 

 

続いて、最新ソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックします。

<2023年11月8日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 20位までに初めて登場した作品のCHART insight>

 

・7位 (初登場) LE SSERAFIM「Perfect Night」

・10位 (初登場) NiziU「HEARTRIS」

・15位 (初登場) 緑黄色社会「花になって」

(上記は「花になって」が使用されたテレビアニメ『薬屋のひとりごと』(日本テレビ)のノンクレジットオープニング映像。)

 

トップ10入りしたLE SSERAFIM「Perfect Night」およびNiziU「HEARTRIS」については昨日付エントリーにて記載したとおり、LINE MUSIC再生キャンペーンを実施していません。それでもストリーミング指標は前者が7位、後者は30位に入り、また日本で最も大きなシェアを誇るApple Musicでは最新チャートで共に20位以内にランクインしています。2曲ともロングヒットする可能性は十分考えられます。

 

緑黄色社会「花になって」は10月29日日曜に配信され、今回は初の1週間フル加算に伴い上位進出。ダウンロードやラジオがまずきちんと伸び、ストリーミングも100位以内に入っているという状況です。今年ヒットした「サマータイムシンデレラ」に似た動きを示しており、コアファン/ライト層(ラジオを通じて)の双方にリーチしていることが見て取れます。

「花になって」は現時点でミュージックビデオが解禁されていないため、初動の熱量を維持させた上で動画を公開することが必要になるものと考えます。

 

 

さて、前週のエントリーにて紹介した櫻坂46「承認欲求」は7→50位に後退しました。

ストリーミング指標における急落(7→85位)が総合チャートに影響していますが、これはLINE MUSIC再生キャンペーンの終了が大きく、前週のエントリー(→こちら)での言及が的中した形です。一方で同じく接触指標である動画再生は2週連続で順位が上昇していますが、10月25日にダンスプラクティス、11月4日には"新せ界 Performance"と題した動画が公開されたことが寄与しているといえるでしょう。

「承認欲求」はコアファンへのリーチは十分行われていると捉える一方で、ライト層との乖離がみられることは否めません。昨日のエントリーを踏まえればLINE MUSIC再生キャンペーンの採用がトレンドから離れる可能性も考えられるため尚の事、歌手側はライト層へのリーチに向けた対応を徹底する必要があるものと考えます。