今回のエントリーでは、ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週上位に初めて進出した曲の翌週動向、そして最新週における上位初進出曲の状況をチェックし、真の社会的ヒット曲に成るかを読みます。前週のエントリーはこちら。
最新のソングチャートに関する記事は、以下をご参照ください。
【ビルボード】Ado「唱」が総合ソング首位、続くのはアニメ主題歌の二大巨頭・YOASOBI「アイドル」とKing Gnu「SPECIALZ」 https://t.co/cOpNQ6lfUm
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年9月27日
まずは前週のエントリーにて紹介した上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。このCHART insightについては、下記ポスト(ツイート)にて簡潔に説明しています。
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
リンク先:https://t.co/NVZ8bHjac1
<色について>
黒:総合順位
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
オレンジ:ルックアップ(2022年度で終了)
水色:Twitter(2022年度で終了)
赤:動画再生
緑:カラオケ
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】(続き)
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
<色について>
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能)
<チャート構成比>
最新週、もしくは300位以内最終在籍時における指標毎のポイント構成
<2023年9月20日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて
20位までに初めて登場した作品の、翌週におけるCHART insight>
・BE:FIRST「Mainstream」 1位→4位
・なにわ男子「Make Up Day」 5位→70位
・FRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」 13位→100位未満(300位圏内)
・Ado「向日葵」 19位→23位
BE:FIRST「Mainstream」については一昨日付のエントリーにて動向を、また昨日は作品の革新性について紹介しています。双方のリンクを以下に記すと共に、一昨日の『ミュージックステーション』(テレビ朝日)初出演がどのように作用するか、推移を見守っていきます。
Official髭男dism「日常」は2週続けて20位に。同曲は「Chessboard」とダブルAサイドとしてフィジカルリリースされていますが、そのセールス(フィジカルセールス指標)については「Chessboard」に加算され、「日常」には入りません。しかし2曲における初登場から2週分の動向をみれば、ともすれば「Chessboard」よりも「日常」をダブルAサイドの1曲目に配したほうがよかったのかもしれません。
無論これは結果論ともいえますし、今後「日常」がダウンに転じる可能性も考えられます。同曲がロングヒットに至るかに注目しましょう。
なお「Chessboard」はNHKタイアップソング(『第90回NHK全国学校音楽コンクール』中学校の部課題曲)ゆえ、Official髭男dismは同曲で『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか、以下"紅白"と表記)に出場する可能性が高いと考えますが、一方で今年リリースの曲では「TATTOO」のほうがヒットしているため、NHK側がビルボードジャパンでのヒットの状況を考慮するかにも注目です。
続いて、最新ソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックします。
<2023年9月27日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
20位までに初めて登場した作品のCHART insight>
・5位 (初登場) Sexy Zone「本音と建前」
・6位 (初登場) サザンオールスターズ「Relay~杜の詩」
・12位 (初登場) IMP.「IMP.」
・13位 (初登場) SEKAI NO OWARI「最高到達点」
・15位 (前週93位) Mrs.GREEN APPLE「ANTENNA」
・16位 (前週23位) King Gnu「硝子窓」
(現時点で公式動画未掲載。)
椎名林檎さんがソングライトを手掛けたSexy Zone「本音と建前」が5位に初登場していますが、同曲においてラジオ指標は21位であり、前作「Cream」の同指標10位(フィジカルセールス指標が初加算され総合5位に登場した際の記録)よりも下がっているということが気になります。
ともすればジャニーズ事務所所属歌手を巡る状況、および周囲の反応が、ラジオにおいても影響し始めているのではと感じています。現在はテレビも含めて所属タレントの出演控えが発生していることはほぼありませんが、初代社長による性加害問題がきちんと解決されない限りはレギュラー番組以外の露出や曲のOAが減る可能性も考えられます。それが今回、なにわ男子において表れ出したのかもしれません。
上記は前週のエントリーを再掲したもので、総合5位に初登場したなにわ男子「Make Up Day」のラジオ指標が90位と著しく低かったことを取り上げています。なにわ男子においてはダブルAサイドシングルゆえの票割れの可能性も想起しつつ、ともすれば性加害問題が十分な解決に至っていない影響がラジオ指標に及んでいるという可能性を示唆したのですが、その示唆は当たっているのかもしれません。
5月のエントリーで記したように、最近のビルボードジャパンソングチャートではラジオ指標にて男性アイドル/ダンスボーカルグループが強い状況です(上記参照)。最新チャートではIMP.「IMP.」(総合12位)がこの指標で3位となり、Sexy Zone「本音と建前」を上回りました。IMP.はジャニーズ事務所所属時代にIMPACTorsとして活動、その後滝沢秀明さん率いるTOBEへ移り歌手デビュー(正式な音源リリース)を果たしています。
ジャニーズと元ジャニーズの対決と煽るつもりはありませんし、リリースがバッティングしたというわけではありません。ただ、今回のラジオ指標における差は歌手側の施策もあると思いつつも、ラジオ局や番組側の今の意識も少なからず作用したのではというのが現時点における私見です。
ジャニーズ事務所所属歌手においては、初代社長の性加害問題が解決されない限り今年以降の紅白に出場することはほぼないという見通しとなりました。この流れを受けて、NHK以外でも(現段階で決まっている以外の)新規の仕事獲得が厳しくなる可能性が考えられ、ラジオでのOAもさらに減るかもしれません。
問題が解決されることは勿論のこと、問題の存在が昔から指摘されながらもそれをスルーし被害の拡大に加担したといえるメディア側の自省も行われるかに注目しています(その点もまた足りていないというのが厳しくも私見です)。今回の分析にて既に始まっているとみなせるジャニーズ控えという状況が、問題の解決を経て少しでも速く改善されることを願います。