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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】YOASOBI「アイドル」17連覇達成、好調の理由および今後の動向を読む

最新8月9日公開分ビルボードジャパンソングチャート(集計期間:7月31日~8月6日)ではYOASOBI「アイドル」が初登場から17週連続で首位を獲得。3週前にOfficial髭男dism「Subtitle」を上回り単独最長首位記録を樹立したこの曲が、その記録をさらに伸ばしています。

YOASOBI「アイドル」は4指標で首位に。前週レコードセールスが初加算されたフィジカルセールス指標はその反動で91位に後退するも、ラジオは21→17位に再浮上を果たしています。

 

フィジカルがリリースされている曲はデジタルのみの作品に比べてポイント前週比が小さくなりやすいと感じていますが、加算2週目となるレコードセールスがダウンしたにもかかわらず当週は前週を上回るポイント前週比で推移。これは上記記事にもあるように、88rising主催の音楽フェス出演直前だったことで話題性をキープできた、特にラジオにおいてその傾向がみられただろうことが高水準で推移したものと考えられます。

88risingによるHead in the Cloudsフェスティバルは日本でも月曜に生配信され、後日『めざましテレビ』(フジテレビ)でも特集。ネットメディアでもライブレポートがアップされています。加えて8月13日にはROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023の大トリ出演が予定されていることから、次週はポイントキープの可能性も考えられます。

 

YOASOBIはこの「アイドル」のヒットに伴い、ソングチャートとアルバムチャートを合算したトップアーティストチャート(Artist 100)で3→2位に浮上。このチャートでは「アイドル」の初登場以降、常時3位以内につけています。

(上記掲載のCHART insightは、上が最新週までの60週分、下が2021年度初週から最新週までの分となります。)

YOASOBIはトップアーティストチャート開始以降常に12位以上をキープしていますが、このグラフをみるとフィジカルセールス(黄色で表示)およびラジオ(黄緑)よりもストリーミング(青)や動画再生(赤)といったデジタルの接触指標群がトップアーティストチャートキープに重要であることが解ります。

そして下降しやすいラジオにおいても、「アイドル」のソングチャート初登場以降は下落幅が小さいことが見て取れます。「アイドル」の存在がYOASOBIにとって如何に大きな存在になったかが、このトップアーティストチャートからも見えてくるのではないでしょうか。

 

 

今後は、「アイドル」のポイント前週比がどう推移するかが重要なポイントだと捉えています。先述の通り、次週は日米音楽フェスの話題の拡がりに伴いポイント前週比を9割台に乗せてくるかもしれません。ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023については終演後にテレビの情報番組でも紹介される傾向にあり、8月23日公開分でも前週比が高く推移するかもしれません。

一方で「アイドル」はソングチャートのカラオケ指標のほか、TikTokUGC(歌ってみた等に代表されるユーザー生成コンテンツ)に強く、このブログでは"活用が強い"と表現していましたが、TikTokチャート(TikTok Weekly Top 20)ではこの1ヶ月において1→2→2→4位と後退。ソングチャートに先駆けて流行する傾向の強いTikTokチャートでの後退は、活用がソングチャートに先駆けて縮小する可能性が高いだろうことを示唆しています。

 

YOASOBI「アイドル」においてはYOASOBIのコアファンのみならず、アニメ『【推しの子】』のファン、さらにTikTokYouTube(のUGC等)のファンという多角的支持により、特大ヒットに至れたと考えます。その一角がシュリンクすることでポイント前週比は今後1割以上で推移するかもしれません。それでも、未だ1万3千ポイント台、ストリーミング1500万回再生超えの状況は凄まじく、20週の首位獲得もあり得るかもしれません。