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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Mrs.GREEN APPLEが遂にトップアーティストチャート制覇、また「青と夏」が最高位を更新した理由を探る

ビルボードジャパンのソングチャートおよびアルバムチャートを合算したトップアーティストチャート(Artist 100)、最新7月26日公開分ではMrs.GREEN APPLEが初めて首位に到達しました。下記CHART insightのうち、総合順位は黒で表示されます。

Mrs.GREEN APPLEはアルバム『ANTENNA』がアルバムチャートに初登場した7月12日公開分、およびその翌週ではいずれもトップアーティストチャートで2位となり、今回初めてトップに立った形です。その2週分の動向についてはブログにて紹介しています。

アルバム『ANTENNA』初登場以降はTOMORROW X TOGETHERおよびなにわ男子といった、フィジカルセールスの強さに伴いアルバムチャートを制した歌手がトップアーティストチャートでも首位に輝いていますが、最新7月26日公開分では前者が(1→23→)80位、後者が(1→)30位に大きく後退しています。トップアーティストチャートにおける急落自体が多くないことは、下記表から理解できるでしょう。

Mrs.GREEN APPLEはトップアーティストチャートにて3週連続2位以内、且つ構成6指標すべてが10位以内に。今年度においてはback numberに次いで2組目となり、如何に支持されているかがよく解るのです。

 

Mrs.GREEN APPLEは最新7月26日公開分ビルボードジャパンソングチャートにて10曲を100位以内に送り込んでいますが、特筆すべきは「青と夏」(2018)がこのタイミングで最高位を更新したということ。これまではフィジカルシングルが初加算された2018年8月8日公開分における10位が最高位であり、その順位を5年ぶりに上回っています。

(上記は直近150週分のCHART insight。)

ストリーミング8位、カラオケ9位、動画再生11位およびダウンロード12位という最新週の成績からは、「青と夏」が接触および所有の双方にて多角的に支持されていることが解ります。昨年以降の活躍やアルバムリリースが過去曲のさらなる上昇につながったことも間違いないでしょう。とりわけ2022年度の夏以降に「青と夏」がソングチャートにおいて100位未満が3回しかなかったのも、特筆すべきといえます。

 

「青と夏」は今後もサマーアンセムとして、(新作のリリース有無によってヒットの規模に差は生じるかもしれませんが)夏が来る度に上位に進出するものと考えます。興味深いのは、Spotifyにて”青と夏”と入力し検索すると曲名がタイトルに据えられた100以上のプレイリストが登場するということ。様々なユーザーが夏のプレイリストを用意し、聴いていることが解ります。ユーザープレイリストの重要性は以前もお伝えしています。

海外ではクリスマスやハロウィン(ハロウィーン)、バレンタインデー等に関連曲が総合ソングチャートで上昇していますが、これはサブスクプレイリストの効果が大きく、またサブスクユーザー自体も多いため。日本でも「青と夏」のみならず、aiko「花火」が最新チャートまで9週連続で100位以内に入っていること等を踏まえれば、日本の音楽環境(サブスクの状況やチャート等)も海外に近づいたといえるかもしれません。

先述したサブスクプレイリストについては、ユーザーのみならず歌手側も用意することが可能。Mrs.GREEN APPLEは『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)内の企画、”ミセスフェス”にて披露した8曲のセットリストを番組終了直後に主要サブスクサービスでプレイリストの形として公開しており、Spotifyでは現時点で3千を超えるいいねが集まっています。「青と夏」も収録されており、これも後押しのひとつになったと考えます。

 

ソングチャートのCHART insightからは、ロングヒット曲ほどストリーミング指標(青で表示)のポイント占有率が高いことが解ります。ストリーミングの強さはその歌手の関連曲にも波及し歌手全体をフックアップしていくということは、Mrs.GREEN APPLEの各種チャートの動向、そして今回のトップアーティストチャート制覇からも明らかです。

無論アルバムリリースやそれに伴うメディア露出の多さも影響していますが、それをストリーミング等に如何につなげ、ヒットを持続させるかについて、Mrs.GREEN APPLE側は非常に長けているのではないでしょうか。