(※追記(8時18分):タイトルを”…選んでみました”から”…選びました”に変更しました。)
一昨日放送された『音楽の日』(TBS)で話題を呼んだダンスコラボ企画について、Spotifyにプレイリストを作成しました。
この企画の重要性については自分をはじめ多くの方がツイートしていますが、ENCOUNTの記事がよくまとめられていると感じるゆえ紹介します。
7月15日がひとつの到達点ながら、重要なのは今後この日を振り返ったときに”転換点だがあくまで通過点に過ぎなかった”といえる状況にしなければならないということでしょう。たとえばTravis Japan以外のジャニーズ事務所所属歌手と他の芸能事務所に属する男性ダンスボーカルグループ(男性アイドル)の共演が叶うか等について、注目していきたいと思います。
さて、『音楽の日』のダンスコラボ企画では冒頭にDA PUMP「U.S.A.」、ラストには三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE「R.Y.U.S.E.I.」が披露されていますが、この2曲はいずれもこの十年におけるダンスボーカルグループもしくアイドル(個人を含む)を代表する社会的ヒット曲といっていいでしょう。
今回はこちらも踏まえ、また女性による作品も含める形で、2017年以降という区切りを設けつつ日本のダンスボーカルグループもしくはアイドル(個人を含む)の社会的ヒット曲を10作品取り上げてみます。
2017年以降という区切りを設けたのは、ビルボードジャパンがこの年からフィジカルセールス指標において一定以上の売上枚数に係数処理を施したため。当初30万枚と推定されたこの係数処理は現在では5万枚(推定)となっており、これによりデジタルが強い作品が週間単位でも最上位に至りやすくなったことで、ビルボードジャパンソングチャートは社会的ヒット曲の鑑と成ったと捉えています。
今回の10曲はあくまで自分による選曲となりますが、その年の上半期および下半期に洋楽やK-POPも含む社会的ヒット曲10曲を紹介しており、そちらも考慮する形で選んでいます。またビルボードジャパンによるオールタイムチャートや、現在のヒットの基準といえるストリーミング億超え再生記録曲についても参照しています。
“JAPAN HOT 100”15周年を記念したオールタイムTOP50発表 1位は米津玄師「Lemon」 https://t.co/tu9wgmg2f7 pic.twitter.com/BdxfdPlQ5u
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年3月30日
ストリーミング累計1億回再生超え楽曲が200曲突破 https://t.co/LJ27yzSjws pic.twitter.com/SQzKmJVupr
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年5月4日
<2017年以降の日本におけるダンスボーカルグループ/アイドルの社会的ヒット10曲>
① 欅坂46「サイレントマジョリティー」
圧倒的な存在感を誇る平手友梨奈さんをセンターに据えた欅坂46のデビュー曲。リリースは2016年4月ですが、ビルボードジャパン年間ソングチャートでは2016年度から2年連続で10位に。2017年度に入りストリーミング指標にApple Music等が加算されるようになりましたが、その2017年度は同指標のほぼすべての期間で20位以内に登場していることから、女性アイドルによるストリーミング最初期のヒット曲といえるでしょう。
② 荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー (Eat You Up)」
1985年にリリースされた7枚目のシングルが、2017年になり登美丘高校ダンス部による”バブリーダンス”BGMに起用され社会現象化。同年週間最高2位を記録、2018年度年間ソングチャートでは23位に登場しています。このときのチャートポリシー(集計方法)には公式動画以外のUGC(踊ってみた等に代表されるユーザー生成コンテンツ)も加算対象でしたが、現在のTikTok発ヒット曲の先駆者的作品といえるかもしれません。
③ DA PUMP「U.S.A.」
荻野目洋子さんと同じ芸能事務所に所属、且つ「ダンシング・ヒーロー (Eat You Up)」同種のアプローチによる洋楽カバーで再ブレイクを果たしたDA PUMPによる2018年作品。同年度の年間ソングチャートでは2位に。ツッコミ必至の歌詞やキャッチーな振り付けも相まって大ヒットしたことにより、数多くの音楽番組に呼ばれるように。冒頭で紹介した『音楽の日』ダンスコラボ企画における巻頭での起用も納得です。
④ Foorin「パプリカ」
(動画はNHKのYouTube発となり、通常の貼付ができない状態ゆえこのような形での表示となります。)
NHKによる2020応援ソングプロジェクトとして米津玄師さんが手掛けた作品は、米津さんには珍しいタイプの平易なメロディ(ゆえに民謡や演歌のこぶしを想起させる部分がいい意味で際立ちます)や踊りやすさも加わり、リリース年の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)における特別企画内での披露後に大ヒット。2019年度に年間ソングチャート7位を記録し、同年の日本レコード大賞にも輝いています。
⑤ DISH//「猫」(”THE FIRST TAKE ver."およびオリジナルバージョン)
(上記は”THE FIRST TAKE ver."。)
EBiDAN発のダンスロックバンドとしてスタートしたDISH//による、フィジカルシングル「僕たちがやりました」(2017)のカップリング曲。あいみょんさんの提供曲はYouTubeチャンネル、THE FIRST TAKEで披露された2020年以降に大ヒットし、オリジナルバージョンも上昇。アレンジが異なる場合は合算されないというチャートポリシーながら、ストリーミング再生回数はふたつのバージョン合計で5億回を突破しています。
⑥ NiziU「Make you happy」
日韓合同のオーディションから誕生し、その経緯が朝の情報番組でも紹介されたことで多くの話題を集めたNiziUのプレデビュー曲。オーディションの(主催者を含む)親しみやすさ、J-POPに採り入れられたK-POP的アプローチ、そして作品の推進力も相まって2020年度年間ソングチャート12位を記録し、ストリーミング再生回数は3億回を突破。NiziUは3年連続で『NHK紅白歌合戦』に出場を果たしています。
⑦ 嵐「カイト」
嵐の活動休止前最後のフィジカルシングルにして、米津玄師さんが提供した2020年作品。嵐はジャニーズ事務所所属歌手では珍しいデジタル解禁を2019年以降実行し、コアファンのみならずライト層にも作品が浸透していきました。一方で「カイト」は2020年度年間ソングチャートで38位。同曲を含むオリジナルアルバム共々デジタル後発だったため、デジタル先行もしくは同発ならばより高い位置に入れたと考えていいでしょう。
⑧ Da-iCE「CITRUS」
ドラマ主題歌として以上に、THE FIRST TAKE出演がブレイクの契機となったといえる5人組ダンスボーカルグループの作品。リリースの翌年となる2021年秋にはストリーミング1億回再生を突破(現在は3億回以上)、そして同年には日本レコード大賞を受賞しています。THE FIRST TAKEの存在感や歌唱指導動画の重要性を示すと共に、現在のオーディションやバラエティ番組における歌唱力査定にも影響を与えた作品と考えます。
⑨ なにわ男子「初心LOVE」
デビュー曲がKing & Prince以来の王道アイドルソングとなったジャニーズ事務所所属グループの2021年作品。2022年度年間ソングチャートは79位と高くはないものの、デジタルが解禁されていたならば間違いなく上位進出を果たせたと断言可能なほど、動画再生指標は高位置で安定。上記を含む複数の動画がフル尺で解禁されているのは、2021年以降のジャニーズ事務所側における動画重視の施策を反映しているゆえと考えます。
⑩ BE:FIRST「Bye-Good-Bye」
SKY-HIさんが設立したBMSGに所属、そのSKY-HIさん主催によるオーディションで選ばれた7人組の2作目となるフィジカルシングル。進化を続けるビルボードジャパンソングチャートを意識した施策(同週デジタル一斉解禁、LINE MUSIC再生キャンペーン採用、フィジカル後発に伴う二度のピーク策定等)を行うことで今の時代ならではのヒットに。ストリーミング1億回突破、2022年度年間ソングチャート29位を記録しています。
以上10曲を選出しましたが、いかがだったでしょうか。
たとえばKing & Princeのデビュー曲「シンデレラガール」(2018)やSixTONESおよびSnow Manによる2020年の同時デビュー作品、乃木坂46の日本レコード大賞受賞曲である「インフルエンサー」(2017)、またTikTokを機にリリースから3年の時を経てブレイクした新しい学校のリーダーズ「オトナブルー」(2020)等も候補に入れていましたが、チャート面でより重要と考える作品を今回選んだ次第です。
今回紹介した作品のSpotifyプレイリストを上記に。このエントリーを機に、皆さんそれぞれが思う10曲を決めていただけたならば幸いです。