イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) ビルボードジャパン上半期ソングチャートの記事から表を作成、そこからみえてくるものとは

(※追記(6月12日17時40分):ビルボードジャパン上半期ソングチャート、上位20曲のCHART insightを巻末に掲載しました。またそれも踏まえ、ブログエントリーのタイトルを【ビルボードジャパン上半期チャートの記事から表を作成、そこからみえてくるものとは】→【ビルボードジャパン上半期ソングチャートの記事から表を作成、そこからみえてくるものとは】に変更しました。)

 

 

 

昨日早朝にビルボードジャパンが発表した上半期チャートについては、ソングチャートを主体にこのブログで分析等を実施しました。下記エントリーではビルボードジャパンによる記事のリンクも順番に掲載していますので、是非ご活用ください。

今回の上半期チャートについては、総合ソングチャートおよびトップアーティストチャートが100位まで公開され、掲載範囲が拡がっています。そこでそれら記事を踏まえて新たな表を作成しました。

 

ビルボードジャパンの上半期ソングチャート100位まで、および週間トップ10入りを果たした一方で上半期100位以内に届かなかった曲を一覧化した表を下記に掲載します。フィジカルセールス、ダウンロードおよびストリーミングの順位および数値は20位まで判明していることから、こちらも合わせて掲載しています。

(なおこの表におけるストリーミング順位はStreaming Songsチャートを指し、厳密には指標化の際に順位が異なることがあります)。

 

 

この表からみえてくることは少なくありません。

 

ダウンロードにおいては映像作品、特にアニメソングの強さが際立つ結果となりました。加えてデジタルの所有指標がコアファンの多い、または熱量の高い歌手の作品において強いことも確認できます。ただしその一方では、後述するストリーミング指標のヒットが伴わなければロングヒットは難しいということも解ります。

そのストリーミングにおいては総合ソングチャートと順位は異なれど、上位20曲は完全合致する結果となりました。昨年度の年間ソングチャートでも総合とストリーミングのトップ10が一致しており、ストリーミングヒットがロングヒットにつながることは明らかです。加えて順位の急落が少ないのも特徴です。

 

そして順位推移をみると、週間単位でトップ10入りしていないながらロングヒットし、上半期100位以内に登場した曲が少なくない一方、特にフィジカルセールスに強い曲やLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲の急落が目立つ形です。

LINE MUSIC再生キャンペーンはライト層が強い接触指標にあってコアファンの熱量を用いたフィジカルセールス的な動きをなぞり、キャンペーン終了後に急落を招きます。ビルボードジャパンが社会的ヒット曲の鑑と成る中、瞬発的な動きにとどまる曲がその社会的ヒットと乖離していると言って差し支えないかもしれません。

 

フィジカルセールスで強い曲がストリーミングも強いということは、上半期ではほぼありません。基本的にデジタル未解禁のジャニーズ事務所所属歌手作品が多いこともその理由ですが、しかし動画再生指標においてはKing & PrinceやSnow Manの強さが目立ち、表に記した以外にも前者の「ichiban」は同指標5位、後者の「ブラザービート」は同9位にランクイン。デジタルとの相性は好いのではと感じずにいられません。

昨年度最終週においては、それまでデジタルで強さを発揮していた米津玄師「KICK BACK」がフィジカルセールス初加算週に伴い首位に立ち、様々な施策を展開したこともあって週間獲得ポイントは昨年度2位を記録しています。この例を踏まえれば、フィジカルとデジタルの両立は可能と考えます。

デジタルの用意はチャートアクションに有効であるのみならず、たとえばアーカイブの充実がバズによる過去曲フックアップの可能性、そしてデジタルの用意自体が歌手等の信頼へとつながります。ダンスボーカルグループやアイドルにおける最善のチャートアクションは昨日紹介したK-POP第4世代女性ダンスボーカルグループが示していると考えるゆえ、J-POPダンスボーカルグループやアイドルのヒットの輩出に期待します。

 

 

ビルボードジャパンによる上半期チャートの記事から、気付くことは様々あるはずです。記事から今のヒットの形を知り、そして推す歌手がいらっしゃるならばより高い位置に到達するためにどうすべきかを考え、コアファン同士で議論するのが好いでしょう。昨日および本日付のブログエントリーが参考になるならば幸いです。

 

 

最後に、上半期ソングチャートにおける上位20曲のCHART insight(総合および構成指標の週間単位での推移)を貼付します。

ビルボードジャパン上半期ソングチャート 上位20曲のCHART insight

 ※ 上半期ソングチャート、1位から順に掲載

 ※ 上半期最終週(5月31日公開分)までの最大30週分を表示

 ※ 順位、チャートイン回数およびチャート構成比は5月31日公開分を指します

 ※ 総合順位は黒、フィジカルセールスは黄色、ダウンロードは紫、ストリーミングは青、ラジオは黄緑、動画再生は赤、カラオケは緑で、2023年度から廃止になったルックアップはオレンジ、Twitterは水色で表示