毎週木曜以降は最新のビルボードジャパン各種チャートについてお伝えします。
2月6~12日を集計期間とする最新2月15日公開分のビルボードジャパンソングチャートは、BSS feat. Lee Young Ji「Fighting」が初登場で首位を獲得しました。
【ビルボード】SEVENTEENの人気ユニットBSSの5年ぶりの新曲「Fighting (Feat. Lee Young Ji)」が初登場で総合首位獲得 https://t.co/ss95MKFPdk pic.twitter.com/b6cTbfoiJH
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年2月15日
当週はフィジカルセールス指標上位3曲が総合4位までにランクインしています。
【ビルボードジャパンCHART insight 最新週トピック】
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年2月15日
2月15日公開分ソングチャート、6位までの指標構成。フィジカルセールス指標トップ3が総合4位までに登場しています。CHART insightより確認可能です。https://t.co/4MJkwaZ6pu pic.twitter.com/HGzS2dJB5q
BSS feat. Lee Young Ji「Fighting」はフィジカルセールス指標3位。NCT DREAM「Best Friend Ever」(総合3位)の2割弱、HKT48「君はもっとできる」(総合4位)の3分の1強の売上ながら、デジタルがこの2曲に勝ったことで総合首位を獲得しています。
HKT48「君はもっとできる」はデジタル指標群(ダウンロード、ストリーミングおよび動画再生を指し、CHART insightにおいては順に紫、青、赤で表示)がいずれも300位以内に達せず加点対象外に。またNCT DREAM「Best Friend Ever」はストリーミングが加点されたものの100位未満(300位圏内)となっています。ゆえに2曲はフィジカルセールスをキープできない限り次週の急落は免れないでしょう。「Best Friend Ever」のストリーミング指標順位に対するチャート構成比をみれば、この指標の重要性が解るはずです。
(なおNCT DREAM「Best Friend Ever」では後述するLINE MUSIC再生キャンペーンを実施(→こちら)。ゆえにストリーミング指標100位未満という結果は意外だったと感じています。)
[#SEVENTEEN JAPAN NEWS]
— SEVENTEEN Japan (@pledis_17jp) 2023年2月6日
2月6日(月)18:00から始まるBSS 1st Single Album「SECOND WIND」の配信にあわせ、配信キャンペーン開催決定!ぜひご参加ください!
詳しくはこちら→https://t.co/LaQxZiyr1C#BSS#SECONDWIND#BSS_Fighting pic.twitter.com/7Iw3wz9yh3
また総合首位に至ったBSS feat. Lee Young Ji「Fighting」においてはLINE MUSICにて一昨日まで再生キャンペーンが開催。今回のチャート集計期間においては6日と6時間が対象となっています。LINE MUSIC再生キャンペーンはストリーミングの初動が高いとは言い難い日本においてロケットスタートに有効な手段と言えますが、キャンペーン後も順位が変わらないかどうかで真の社会的ヒット曲と成るかを見極める必要があります。
【ビルボードジャパンCHART insight 最新週トピック】
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年2月15日
2月15日付ソングチャートでは前週LINE MUSIC再生キャンペーンに伴い上位初登場を果たした曲がいずれもダウン。ストリーミング指標の順位および同指標の構成比率からみえてくるものがあります。前週の順位等はこちら。https://t.co/S1p0kEZRzt pic.twitter.com/vJ6Sm8wUEs
LINE MUSIC再生キャンペーン終了後も順位が変わらないかどうかで真の社会的ヒット曲と成るかを見極める必要性については、前週キャンペーン効果も伴って上位に初登場を果たした曲の最新週における動向から理解できるはずです。上記ツイートで採り上げた曲は最新週の集計期間内の一部もしくはすべてでキャンペーンが継続していたものの、ストリーミング指標の勢いはいずれも比較的大きく落ちていることが解ります。
ストリーミングは構成指標の中でも急落が見られにくく、またロングヒットの要となる指標です。LINE MUSIC再生キャンペーンの影響力は昨秋以降下がったものの現在も一定の効力を有することについては前週の動向からも明らかですが、歌手側や運営側はキャンペーン終了後も人気が継続するための施策を練る必要があります。
さて、最新2月15日公開分ビルボードジャパンソングチャートでトップ10入りを果たした4曲の中で、最もロングヒットが期待できると考えるのが由薫「星月夜」です。
ドラマ『星降る夜に』(テレビ朝日)の主題歌である「星月夜」は1万5千近いダウンロードを記録しこの指標を制覇。ラジオ4位のほか、ストリーミング45位、動画再生72位となり、接触指標群も低くない位置に登場しています。「星月夜」ではダウンロードキャンペーン(→こちら)が昨日までの8日間に渡って開催されていますが、今週『ミュージックステーション』(テレビ朝日)に出演することでこの指標は引き続き刺激されるでしょう。なお「星月夜」ではLINE MUSIC等での再生キャンペーンは行われていません。
フィジカル未リリースの由薫「星月夜」はバランスの取れたチャート構成比となっています。フィジカルセールス指標は加算2週目に総合チャートでの急落を招きやすいこともあり、フィジカル未リリースの「星月夜」は最新週にてトップ10入りを果たした4曲のうち次週のポイント前週比が最も高くなるものと考えます。
興味深いのは、最新チャートにおいてトップ10入りは逃したものの16位に初登場したヨルシカ「アルジャーノン」の指標構成が、由薫「星月夜」と似ているということ。「アルジャーノン」はダウンロード指標にて「星月夜」に次ぐ2位を獲得していますが、この指標を軸にCHART insightを確認すると、2曲は他指標の順位も似ていることが解ります。
「アルジャーノン」はドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS)の主題歌であり、由薫「星月夜」を主題歌に起用しているドラマ『星降る夜に』同様にラブストーリーがテーマ。ベテランの脚本家(『星降る夜に』は大石静さん、『夕暮れに、手をつなぐ』は北川悦吏子さん)が書き下ろし、そしてどちらも火曜に放送されています。
ドラマ主題歌はヒットすると長期化する傾向にあり、また恋愛ドラマでは前クールにおいてOfficial髭男dism「Subtitle」が大ヒットしています(最新チャートでも2位に登場)。共に火曜放送のラブストーリーということもあり、『星降る夜に』と『夕暮れに、手をつなぐ』はライバル視されるかもしれませんが、主題歌となった「星月夜」と「アルジャーノン」も好きライバルながら今後のチャートで共に存在感を示すかもしれません。
由薫「星月夜」やヨルシカ「アルジャーノン」が今後ロングヒットに至るかは不明ですが、初登場時のチャート構成比を踏まえれば真の社会的ヒット曲に成り得る可能性を秘めていると言えるかもしれません。
最後に。最新ソングチャートにおける三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE「STARS」のような急落が今後も続くならば、ビルボードジャパンはフィジカルセールス指標やストリーミング指標において再生キャンペーンを実施するサブスクサービスのウエイトを引き下げることを検討する必要があるかもしれません。ただし、それらをカウント対象から外すという考えについては個人的には賛同しかねます。
音楽チャートにおいて重要なのは、1週分のチャートを見ただけで真の社会的ヒット曲が解るよう設計すること、そして複数週追いかけて真の社会的ヒット曲を知ることをレクチャーすることではないかと。2点は矛盾かもしれませんが、後者はチャートの伝え手(管理者のみならず分析側も)の使命だと考えます。
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年2月15日
自分はこの考えを持ち合わせています。矛盾かもしれませんが、共存可能な考えです。そしてビルボードジャパンは、最新ソングチャートの記事にてこのような表現を用いています。
『ドラマ『星降る夜に』(テレビ朝日系)の主題歌であるシンガー・ソングライターの由薫(ゆうか)「星月夜(ほしづきよ)」は、総合9位に初登場。14,816DLでダウンロード1位となり、他指標でもラジオ4位、ストリーミング45位、動画72位と、今後のランクアップが大いに期待される好スタートを切った』 https://t.co/Om8DURk0Po
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年2月15日
おそらくはビルボードジャパンも、今回初登場でトップ10入りを果たした曲の中で由薫「星降る夜に」が最もロングヒットすると予想しているはずです。ならばその根拠となる考え方についてレクチャーの機会を設けることを希望します。『日経エンタテインメント!』等のエンタメに精通した雑誌が特集を組むことも必要でしょう。発信側がより詳しく説明することで、チャートの受け手の理解度や分析力を高めることが重要です。