(※訂正(8時13分):back numberのアルバム『ユーモア』の発売日を1月18日水曜と記載していましたが、正しくは1月17日火曜でした。訂正し、お詫び申し上げます。)
ビルボードジャパンは一昨日、最新チャートをCHART insightにて13時過ぎに発表して間もなく、訂正を行っています。
【チャートに関するお知らせ】
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年1月25日
2023年1月25日公開の総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”に関して、チャート・インサイト内の一部データに誤りがございました。訂正して、お詫びいたします。なお、総合順位に変動はございません。
訂正されたのは動画再生指標。当初、星街すいせい「Stellar Stellar」がTHE FIRST TAKEバージョン名義で8位に入っていたものが、後にオリジナルバージョン名義で4位に修正されたというもの。証拠となるキャプチャ画像等はありませんが、CHART insight更新直後に動画再生指標をチェックしており、この訂正内容であることは間違いありません。
星街すいせい「Stellar Stellar」のTHE FIRST TAKEについては前週のブログエントリーにて、今後のチャートアクションの可能性について記しています。
THE FIRST TAKEの話題曲はビルボードジャパン総合ソングチャートで100位以内に登場する傾向があります。ビルボードジャパンのチャートポリシー(集計方法)では通常オリジナルと言語以外が異なるバージョンは合算されませんが、動画再生についてはISRC(国際標準レコーディングコード)がオリジナル版と同じならば合算されるという状況です。仮に一昨日公開の動画に付番するISRCが同一ならば、急浮上する可能性が高いのです。
(なお、動画再生指標の合算はビルボードジャパンのそもそもの合算のルールに矛盾するものです(合算のルールについては以前問い合わせた際に回答をいただいています。詳しくは客演、リミックス、言語の違いは”合算対象か別扱いか?” ビルボードジャパンに問い合わせてみた(2018年11月21日付)をご参照ください)。個人的には米ビルボードやグローバルチャートに倣い合算する方向にシフトすべきだと以前から提案しています。)
結果的に星街すいせい「Stellar Stellar」は1月25日公開分のビルボードジャパンソングチャートで総合100位以内エントリーは逃したものの、次週はTHE FIRST TAKE動画が1週間フル加算されることにより、100位以内登場の可能性が十分考えられます。
それにしても今回のチャート訂正には驚きました。というのもこの訂正からは以下の2つの考えが生まれたため。ひとつはこちら。
今回の訂正についてよくよく考えたら、ともすれば #星街すいせい「#StellarStellar」のISRCがオリジナルバージョンと #THEFIRSTTAKE とで同じだったとしても、ビルボードジャパンは分けて算出することが可能ということかもしれませんね。 https://t.co/iSOpBg2OW8
— Kei (@Kei_radio) 2023年1月25日
そしてもうひとつが、星街すいせい「Stellar Stellar」のオリジナルバージョンとTHE FIRST TAKEバージョンとではISRCが異なっているものの、ビルボードジャパンは動画再生指標に関しては異なるバージョンを合算しているという可能性です。
仮に後者の推測が成り立つならば、問い合わせに対し以前答えてくださったビルボードジャパンの合算に関するチャートポリシー(→こちら)は矛盾しているとやはり言わざるを得ません。ビルボードジャパンは、合算に関するチャートポリシーを一度明示する必要があるのではないでしょうか(この明示は以前から要求しているものです)。
そして掲載ツイートでも述べたように、米ビルボードやグローバルチャートに倣いビルボードジャパンでも様々なバージョンを合算する必要があると考えます。これはデジタルリリースが海外進出とほぼイコールでありチャートポリシーを統一することで歌手側が国内向け戦略と海外でのそれとを分けずに済むこと、またたとえばDISH//「猫」が合算されれば年間トップ10入りもあり得たという機会損失を無くす意味でも重要です。
今年掲載したエンタテインメント業界に対する改善提案の中にはビルボードジャパンへの願いも記していますが、その多くはビルボードジャパン音楽チャートが米ビルボードのグローバルチャートや米ビルボードソングチャートに即したチャートポリシーに変更することであり、集計開始日の金曜への変更も含まれています。
海外では新譜の金曜リリースが標準化していますが、これはチャート初週において1週間フル加算ができるためです。他方日本ではフィジカルリリースが水曜であること(フラゲが前日となること)を踏まえてか、オリコンも、そして後発のビルボードジャパンにおいても集計期間が月曜となっています。デジタルヒットが増え、デジタルリリースが海外リリースとほぼ同じ意味であっても、この設定日は変わっていません。
それによって、損をしていると言える状況が発生しています。
Spanish rapper and singer @PedroDQuevedo said #1 Global Debut Album is #DONDEQUIEROESTAR 👏 #SpotifyCharts pic.twitter.com/1rppZdvdaR
— Spotify Charts (@spotifycharts) 2023年1月24日
Spotifyは日本も含めて週間チャートの集計開始日を金曜に設定、またグローバルチャートや米チャートにおいては金曜から日曜までの3日分における各種チャートを発表しています。1月17日火曜にリリースされたback number『ユーモア』は、初登場作品に限定したグローバルアルバムチャートにて10位に登場しました(集計期間は1月20日金曜から22日日曜まで)。
back numberのアルバム
— Spotify Japan (@SpotifyJP) 2023年1月25日
"ユーモア"が
Spotifyのグローバルトップ
デビューアルバム10位にランクイン🎊
おめでとうございます!
最新アルバム含め、
その他代表曲を
【This Is back number】
のプレイリストでチェック🌟
▶︎https://t.co/E1ffdvlqg6@backnumberstaff @umusicjapan https://t.co/ZHw21LLpXT
アルバムリリースに伴い、back numberの曲は過去作も含め上昇しており、たとえば「アイラブユー」は日本のSpotifyデイリーチャートにおいてアルバム発売日に最高再生回数を更新しています。日本の音楽チャートの集計開始日がグローバルチャート同様金曜に設定され、リリースも洋楽同様に金曜に統一されていたならば、Spotifyグローバルチャートでより高い位置につけたことが容易に想像できるのです。
デジタルリリースは世界進出とほぼ同等の意味を持ちます。ならば音楽チャートの集計期間や合算等のチャートポリシーをグローバルチャートに合わせ、リリース日を金曜に統一すれば、日本でのデジタルの人気がグローバルチャートにも反映されるのです。集計期間開始日が月曜と金曜に分かれるために、海外にも軸足を置きたい歌手がどちらをリリース日に据えるかを迷ってしまう状況は機会損失に成ると強く感じます。
ビルボードジャパンは率先してチャートポリシーを海外仕様にすれば、音楽業界が動く可能性があります。検討することを心から願います。