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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【海外ビルボード】クリスマス曲一掃、テイラー・スウィフトやシザ、レマ & セレーナ・ゴメスが首位に

現地時間の1月9日月曜に発表された最新1月14日付米ビルボードソングチャート(集計期間:2022年12月30日~2023年1月5日)。クリスマスソングが一掃されたチャートを制したのは、テイラー・スウィフトAnti-Hero」でした。

前週1月7日付ではクリスマス曲がトップ10に8曲登場していましたが、いずれも最新ソングチャートから脱落。マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」は2019年、2021年のクリスマスシーズンに続き2022年のシーズンでも首位から100位圏外に至っており、このような去り方は「All I Want For Christmas Is You」以外に例がありません。

 

首位に返り咲いたテイラー・スウィフトAnti-Hero」はストリーミングが前週比2%アップの1720万(同指標4位)、ダウンロードが同1%ダウンの6,000(同指標4週目の首位)、ラジオが同4%アップの8380万(同指標3週目の首位)を記録。「Anti-Hero」は通算7週目の首位を獲得し、テイラーにとっては「Blank Space」(2014-2015)に並ぶ自己最長記録となりました。

テイラー・スウィフト 首位獲得週数記録>

・7週 「Anti-Hero」(2022年11月5日付以降)

・7週 「Blank Space」(2014年11月29日付以降)

・4週 「Shake It Off」(2014年9月6日付以降)

・3週 「Look What You Made Me Do」(2017年9月16日付以降)

・3週 「We Are Never Ever Getting Back Together」(2012年9月1日付以降)

・1週 「All Too Well (Taylor's Version)」(2021年11月27日付)

・1週 「Willow」(2020年12月26日付)

・1週 「Cardigan」(2020年8月8日付)

・1週 「Bad Blood (feat. ケンドリック・ラマー)」(2015年6月6日付)

 

シザ「Kill Bill」が11→3位に上昇。同曲が収録されたアルバム『SOS』は最新1月14日付米ビルボードアルバムチャートにおいて初登場から4連覇を達成しています。この曲のミュージックビデオは未だ公開されていませんが、シザは現地時間の12月29日にティザー(ティーザー)を発表しています。

 

デヴィッド・ゲッタ & ビービー・レクサ「I'm Good (Blue)」が19→4位に上昇し、同曲の最高位を更新(これまでの最高は7位)。ゲッタにとってはアッシャーをフィーチャーした「Without You」(2011)およびニッキー・ミナージュを迎えた「Turn Me On」(2012)に並ぶキャリア最高位に到達、またエイコンを招いた「Sexy Chick」も2010年に最高5位を記録しており、「I'm Good (Blue)」は自身4曲目のトップ5ヒットに。またビービーにおいてはフロリダ・ジョージア・ラインとの「Meant To Be」が2018年に2位を記録して以来のトップ5入りです。

「I’m Good (Blue)」はエッフェル・65(一部メディアではエッフェル65とも表記)「Blue (Da Ba Dee)」を用いた曲(記事では”書き入れる (interpolate)”という表現が使われています)で、「Blue (Da Ba Dee)」は2000年1月に最高6位を記録。「I'm Good (Blue)」はオリジナル版の最高位を超えています。

 

ザ・ウィークエンド「Die For You」が26→8位に上昇し同曲初のトップ10入り。ストリーミングは前週比10%アップの990万、ラジオは同3%アップの6730万を記録しています。

「Die For You」は2016年11月にリリースされたザ・ウィークエンドのアルバム『Starboy』に収録された作品であり、TikTokのバズにより上昇。特にラジオ指標の上昇につながり、最新チャートではラジオ指標4位に至っています。

トップ10ヒット曲の構成上の特徴を分析するヒット・ソングス・デコンストラクテッドは「Die For You」のヒットについて、2020年から2022年の間に倍増し現在トップ10ヒットの4分の1近くを占めるシンセ系の上昇、および過去2年間でトップ10全体の半分を占めるR&B人気の持続に適合したものと紹介しています。

ザ・ウィークエンドは「Die For You」がキャリア16曲目となるトップ10ヒットに。アルバム『Starboy』からは2017年1月に1週首位を獲得したタイトル曲、および同年4月に4位を記録した「I Feel It Coming」に続く3曲目のトップ10ヒットとなりました。なお「Starboy」「I Feel It Coming」共にダフト・パンクがフィーチャーされています。

 

(上記はリリックビデオ。)

ビヨンセ「Cuff It」が38→10位となり同曲初のトップ10入り。ストリーミングは前週比22%アップの830万、ダウンロードは同16%アップの3,000、ラジオは同4%アップの5580万を記録しています。

「Cuff It」はビヨンセにとってソロとして21曲目のトップ10ヒットに。アルバム『Renaissance』からは「Break My Soul」が2週首位を獲得しており、オリジナルアルバムから2曲以上のトップ10ヒットを輩出したのは『I Am...Sasha Fierce』(2008-2009)以来となります(同作品からは「Single Ladies (Put A Ring On It)」(4週首位)、「If I Were A Boy」(3位)、「Halo」(5位)、「Sweet Dreams」(10位)がトップ10入り)。

ビヨンセはメンバーの一員を務めるデスティニーズ・チャイルドとして1998年から2005年の間に10曲のトップ10ヒットを記録。昨年8月にソロとして「Break My Soul」が20曲目のトップ10ヒットとなったことで、ソロで20曲以上、グループで10曲以上のトップ10ヒットを輩出。この記録はマイケル・ジャクソン(ソロ30曲、ジャクソン5/ジャクソンズで11曲)、ポール・マッカートニー(ウイングスを含むソロで23曲、ザ・ビートルズとして34曲)に続くもので、女性歌手では初となりました。なお逆の例としてはダイアナ・ロスが挙げられ、ソロとして12曲、シュープリームス(もしくはダイアナ・ロス & ザ・シュープリームス)として20曲のトップ10ヒットを輩出しています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (8位) テイラー・スウィフトAnti-Hero

2位 (10位) サム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」

3位 (11位) シザ「Kill Bill

4位 (19位) デヴィッド・ゲッタ & ビービー・レクサ「I'm Good (Blue)」

5位 (21位) ドレイク & 21サヴェージ「Rich Flex

6位 (22位) メトロ・ブーミン、ザ・ウィークエンド & 21サヴェージ「Creepin'」

7位 (31位) ハリー・スタイルズ「As It Was」

8位 (26位) ザ・ウィークエンド「Die For You」

9位 (30位) スティーヴ・レイシー「Bad Habit」

10位 (38位) ビヨンセ「Cuff It」

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート、1月14日付ではクリスマス曲が一掃され、Global 200ではシザ「Kill Bill」が、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではレマ & セレーナ・ゴメス「Calm Down」が、共に初となる首位を獲得しました。

(上記はリリックビデオ。)

Global 200においては3週前に5位に初登場し、前週11位だったシザ「Kill Bill」が初の首位を獲得。ストリーミングは前週比7%アップの6400万、ダウンロードは同1%アップの2,000をそれぞれ記録しています。「Kill Bill」はシザにとって同チャート3曲目のトップ10ヒットにして初の首位獲得曲となります。

Global Excl. U.S.ではレマ & セレーナ・ゴメス「Calm Down」が昨年9月に記録した最高位4位を更新、前週の8位から上昇し初の首位に到達しました。ストリーミングは前週とほぼ変わらず5330万、ダウンロードは同18%アップの4,000を記録しています。ナイジェリア出身のレマによるオリジナルバージョンは昨年2月、アルバム『Rave & Roses』からのセカンドシングルとしてリリースされ、同年8月26日にセレーナ・ゴメスとの共演版となるリミックスが登場、9月7日にはミュージックビデオが公開されています。

Calm Down」はレマにとって初のGlobal Excl. U.S.首位獲得曲となったのみならず、アフリカ出身の歌手においても初制覇となります。またセレーナ・ゴメスにおいてはBLACKPINKと共演した「Ice Cream」が2020年のグローバルチャート発足週に6位を記録して以来となるトップ10ヒットにして、初の首位獲得曲となります。

(上記は"サイドA"バージョンのミュージックビデオ。)

昨年12月19日にリリースされたNewJeans「Ditto」がGlobal 200では8位、Global Excl. U.S.では4位に入り双方のチャートで初のトップ10入り。これまでの同曲の最高は前者が26位、後者が11位となっていました。Global 200においてはストリーミングが前週比12%アップの4650万、ダウンロードが同41%アップの4,000を、Global Excl. U.S.においてはストリーミングが前週比12%アップの4190万、ダウンロードが同35%アップの3,000を、それぞれ記録しています。NewJeans自体においても双方初のトップ10ヒットとなり、これまでの最高位は「Hype Boy」がGlobal 200で52位、Global Excl. U.S.では32位、「Attention」が前者で54位および後者で34位、「Cookie」が後者のみ198位にランクインしています。

レイ feat. 070シェイク「Escapism」がGlobal 200で33位から、Global Excl. U.S.では32位から、共に9位へ上昇。Global 200ではストリーミングが前週比13%アップの3850万、ダウンロードが同11%アップの2,000を、Global Excl. U.S.ではストリーミングが前週比12%アップの2790万、ダウンロードが同14%アップの2,000をそれぞれ記録し、これまでの同曲最高位(Global 200では24位、Global Excl. U.S.では19位)を更新しています。イギリス出身のレイとニュージャージー出身の070シェイク共に双方のグローバルチャートで初のトップ10ヒットとなり、またイギリスでは最新1月14日付ソングチャートにて首位に到達しています。

 

なおグローバルチャートにおいても前週までランクインしていたクリスマス曲が一斉にダウン。ただしマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」はGlobal 200において167位、Global Excl. U.S.では169位に、ワム!Last Christmas」はGlobal Excl. U.S.にて190位にランクインしています。