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【海外ビルボード】サム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」が米1位達成、米津玄師がGlobal Excl. U.S.4位に

現地時間の10月24日月曜に発表された最新10月29日付米ビルボードソングスチャート(Hot 100)。3週連続で首位を獲得していたスティーヴ・レイシー「Bad Habit」に代わり、サム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」が初の1位を獲得しました。

サム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」はストリーミングが前週比9%アップの2530万(同指標1位)、ダウンロードが同60%アップの19,000(同指標1位)、ラジオが同40%アップの2150万(25位)を獲得。ダウンロード指標の増加は、この期間にライブバージョンやインストゥルメンタル版、ディスクロージャーやアークレイズによるリミックスが登場し、また69セント(0.69ドル)の安価販売を行ったことが背景にあります。

サム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」は10月8日付米ビルボードソングスチャートで3位に初登場以降、2週連続で2位をキープ。そして今週、チャート64年の歴史の中で1,143曲目の首位獲得に至りました。リリースは9月22日ですが8月の段階でTikTokでティザーを公開、また9月30日にミュージックビデオをアップしています。今月17日には、サム・スミスが4枚目のアルバム『Gloria』を来年1月27日にリリースすることをアナウンスしています。

サム・スミス、そしてキム・ペトラス双方にとって米ビルボードソングスチャートでの首位獲得は初。サムは同チャート20曲目のエントリーにして、そしてキムは初のエントリーでの頂点達成です。なおサムにとってのこれまでの最高位は「Stay With Me」(2014)における2位であり、今回の「Unholy」を含め7曲がトップ10入りしています。

「Unholy」は初登場から4週続けて、ストリーミングおよびダウンロード指標を制しています。これはアデル「Hello」が2015年11月から12月にかけて2指標で4週連続、初登場から首位を獲得して以来となります。

また「Unholy」の首位獲得は、キャピトル・レコード発としてはルイス・キャパルディ「Someone You Loved」(2019年11月2日付以降 3週)以来。またEMIにおいては、EMF「Unbelievable」が1991年7月tに1週首位を獲得して以来となります(同年5月にはロクセット「Joyride」も1週首位に)。EMIは2020年に復活して以降、エルトン・ジョンによる2曲がトップ10入りを果たしていました(デュア・リパとの「Cold Heart (Pnau Remix)」が今年1月に最高7位、ブリトニー・スピアーズとの「Hold Me Closer」が今年9月に初登場にて最高6位を記録)。

サム・スミスはロンドン生まれであり、イギリス人男性歌手が客演ではない形で首位を獲得したのはグラス・アニマルズ「Heat Waves」、ハリー・スタイルズ「As It Was」に続き今年3曲目に(キム・ペトラスはドイツ出身)。イギリス人歌手による年間3曲首位獲得は1989年以来の多さであり、この年はフィル・コリンズ「Two Hearts」および「Another Day In Paradise」、マイク・アンド・ザ・メカニックス「The Living Years」、ファイン・ヤング・カニバルズ「She Drives Me Crazy」および「Good Thing」、シンプリー・レッド「If You Don't Know Me By Now」が首位に。なお1980年代でイギリス人歌手が最も多く首位を獲得したのは1985年であり、13組が頂点に立っています。

サム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」ではリアーナも歌詞を手掛けており、今回の首位獲得に伴いソングライターとしてリアーナはザ・ビートルズ(20曲)、マライア・キャリー(19曲)に続く3番目となるソングライターとしての首位獲得(14曲)を達成しました。

 

前週まで3週連続首位を獲得していたスティーヴ・レイシー「Bad Habit」は2位に後退。ストリーミングは前週比2%アップの2050万、ダウンロードは同1%ダウンの2,000、ラジオは同9%アップの4700万を記録しています。「Bad Habit」はホットロック&オルタナティブソングスチャート、ホットロックソングスチャート、ホットオルタナティブソングスチャート、ホットR&B/ヒップホップソングスチャートおよびホットR&Bソングスチャートを同時制覇(前半3種は9週連続、後半2種は8週連続首位)。5つのチャートを同じタイミングで制したのは「Bad Habit」が初となります。

ハリー・スタイルズ「As It Was」は3位に後退。4月16日付で首位に初登場して以降、最新チャートまで29連続で3位以上をキープし、自身の持つ3位以内最長在籍記録を更新しています。またラジオは前週比1%アップの6140万を記録し、同指標10週目の首位を獲得しました。

 

リル・ベイビー「California Breeze」が4位、フライデーをフィーチャーした「Forever」が8位、「Real Spill」が10位に初登場。ストリーミングは順に2320万(同指標2位)、1990万(同指標3位)および1910万(同指標5位)を獲得しています。リル・ベイビーにとって、米ビルボードソングスチャートでのトップ10入りはこれで13曲に。これは最新の米ビルボードアルバムチャートで『It's Only Me』が216,000ユニットを記録し初登場で首位を獲得したことに基づくものです。

「Forever」に客演参加したフライデーは今回が初のトップ10入り。100位以内エントリーはDJキャレドにリック・ロス、リル・ウェイン、ジェイ・Zおよびジョン・レジェンド共々客演参加した「God Did」が今年9月に17位を獲得して以来、2曲目となります。

なおリル・ベイビーはアルバム『It's Only Me』収録の全23曲を含む25曲を最新10月29日付米ビルボードソングスチャート100位以内に送り込んでいます。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (2位) サム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」

2位 (1位) スティーヴ・レイシー「Bad Habit」

3位 (3位) ハリー・スタイルズ「As It Was」

4位 (初登場) リル・ベイビー「California Breeze」

5位 (4位) ポスト・マローン feat. ドージャ・キャット「I Like You (A Happier Song)」

6位 (6位) ワンリパブリック「I Ain't Worried」

7位 (5位) モーガン・ウォレン「You Proof」

8位 (初登場) リル・ベイビー feat. フライデー「Forever」

9位 (8位) ニッキー・ミナージュ「Super Freaky Girl」

10位 (初登場) リル・ベイビー「Real Spill」

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。10月29日付ではGlobal 200、Global Excl. U.S.共にサム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」が4週連続で首位を獲得しました。

サム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」はGlobal 200でストリーミングが前週比4%アップの8500万およびダウンロードが同44%アップの26,000を、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではストリーミングが前週比4%アップの6170万、ダウンロードが同14%アップの7,000を記録。今回の「Unholy」首位獲得で、Global 200では35週連続、Global Excl. U.S.では33週連続で、米以外の歌手による作品の首位交代リレーが行われています。

<Global 200における首位獲得曲 米出身歌手以外の交代リレー>

・グラス・アニマルズ (イギリス)「Heat Waves」(3月5日付以降 通算6週)

ハリー・スタイルズ (イギリス)「As It Was」(4月16日付以降 15週)

ケイト・ブッシュ (イギリス)「Running Up That Hill (A Deal With God)」(6月18日付以降 3週)

・ビザラップ (アルゼンチン) & ケベード (スペイン)「Bzrp Music Sessions, Vol. 52」(7月30日付以降 4週)

・BLACKPINK (韓国)「Pink Venom」(9月3日付以降 2週)

・BLACKPINK「Shut Down」(10月1日付 1週)

サム・スミス (イギリス) & キム・ペトラス (ドイツ)「Unholy」(10月8日付以降 4週)

<Global Excl. U.S.における首位獲得曲 米出身歌手以外の交代リレー>

・グラス・アニマルズ (イギリス)「Heat Waves」(3月19日付以降 通算3週)

・アニッタ (ブラジル)「Envolver」(4月9日付 1週)

ハリー・スタイルズ (イギリス)「As It Was」(4月16日付以降 13週)

BTS (韓国)「Yet To Come」(6月25日付 1週)

ケイト・ブッシュ (イギリス)「Running Up That Hill (A Deal With God)」(7月16日付 1週)

・ビザラップ (アルゼンチン) & ケベード (スペイン)「Bzrp Music Sessions, Vol. 52」(7月30日付以降 6週)

・BLACKPINK (韓国)「Pink Venom」(9月3日付以降 3週)

・BLACKPINK「Shut Down」(10月1日付 1週)

サム・スミス (イギリス) & キム・ペトラス (ドイツ)「Unholy」(10月8日付以降 4週)

 

Global 200ではレマ & セレーナ・ゴメス「Calm Down」が11→7位に上昇。ストリーミングは前週比2%アップの4540万を記録しています。ナイジェリア出身のレマによる(ソロでの)オリジナルバージョンは3月リリースのアルバム『Rave & Roses』からの2曲目のシングルとして2月にリリースされていたもので、セレーナ・ゴメスとの共演版が8月26日にリリース、9月7日にはミュージックビデオが公開されていました。

レマのGlobal 200におけるトップ10入り入りは今回が初、またセレーナ・ゴメスはBLACKPINKとの「Ice Cream」がチャート開設週にあたる2020年9月に8位を記録して以来、2曲目のトップ10入りとなります。

 

(上記はテレビアニメ『チェンソーマン』オープニングのノンクレジットムービー短尺版。)

Global Excl. U.S.では米津玄師「KICK BACK」が26→4位に上昇。これは初の1週間フル加算に伴うもので、ストリーミングは2330万、ダウンロードは32,000を記録しています。米津玄師さんの同チャートトップ10入りは初となり、これまでは「M八七」が5月に16位を獲得したのが最高位でした。「KICK BACK」は最新10月19日公開分(10月24日付)ビルボードジャパンソングスチャートを制しています。

Global Excl. U.S.ではトム・オデール「Another Love」が11→10位に上昇。イギリス人歌手によるこの曲は登場81週目にして初のトップ10入りを果たし、これまでグラス・アニマルズ「Heat Waves」が持っていたトップ10入りまでの最長記録(35週)を大幅に更新しました。

この「Another Love」は元々2012年10月にリリースされたトム・オデールのデビューEP『Songs From Another Love』収録曲で、TikTokにより再注目された作品。イギリスでは2013年にソングスチャート10位を記録し、最新チャートでは13位に登場。Global Excl. U.S.ではストリーミングが前週比1%アップの3000万、ダウンロードが同5%アップの2,000を記録しています。

 

 

次週はテイラー・スウィフト『Midnights』収録曲が大挙初登場予定です。