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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【海外ビルボード】マイリー・サイラス「Flowers」が4連覇、グラミー賞効果が反映

現地時間の2月13日月曜に発表された最新2月18日付米ビルボードソングチャート(集計期間:2月3~9日)。マイリー・サイラス「Flowers」が初登場から4連覇を達成しました。

マイリー・サイラス「Flowers」はストリーミングが前週比19%ダウンの3870万(同指標4週目の首位)、ダウンロードが同29%ダウンの26,000(同指標2位)、ラジオが同32%アップの7450万(同指標4位)を記録。ラジオでは2週連続でトップエアプレイゲイナーを獲得しています。「Flowers」は「Wrecking Ball」が2013年に記録した3週首位を上回り、マイリーにとって最長首位獲得曲となりました。

2位をキープしたシザ「Kill Bill」はストリーミングが前週比1%アップの3290万、ダウンロードが同8%アップの2,000、ラジオが同17%アップの5710万を記録しています。

モーガン・ウォレン「Last Night」が27→3位に上昇し、同曲初のトップ10入り。ストリーミングは2970万、ダウンロードは14,000、ラジオは285,000を記録しています。同曲は1月31日にリリースされ、当週は初の1週間フル加算となります。

モーガン・ウォレンにとって「Last Night」は、「7 Summers」(2020年8月 6位)、「Wasted On You」(2021年1月 9位)、「Don't Think Jesus」(2022年4月 7位)、「You Proof」(2022年10月 5位)に続く5曲目のトップ10ヒットにして、キャリア最高位を獲得。「Last Night」は、3月3日にリリースされるニューアルバム『One Thing At A Time』の収録曲であり、「Don't Think Jesus」「You Proof」も含まれます。ひとつのカントリーアルバムから3曲以上を総合ソングチャートトップ10内に送り込んだのはテイラー・スウィフト『Red』(2012-2013 4曲)以来となります(なおここでいうカントリーアルバムとは、米ビルボードのトップカントリーアルバムチャートにランクインした、もしくはランクイン予定の作品を指します)。

「Last Night」はモーガン・ウォレンにとって7曲目となるホットカントリーソングチャート首位獲得曲に(『One Thing At A Time』からはソングチャートトップ10入りの3曲に加えて「Thought You Should Know」も制しています)。ホットカントリーソングチャートが総合ソングチャートと同じ計算方法にて2012年10月に始まって以降、ホットカントリーソングチャートを制した曲が総合でもトップ10入りを果たしたのは今回が16曲目であり、モーガンは最高となる5曲を保有しています。

<2012年10月以降、ホットカントリーソングチャート首位曲でソングチャートトップ10入りを果たした曲>

モーガン・ウォレン「Last Night」(2023 3位)

・ザック・ブライアン「Something In The Orange」(2023 10位)

モーガン・ウォレン「You Proof」(2022 5位)

・ルーク・コムズ「The Kind Of Love We Make」(2022 8位)

モーガン・ウォレン「Don't Think Jesus」(2022 7位)

テイラー・スウィフト「All Too Well (Taylor's Version)」(2021 1週首位)

・ウォーカー・ヘイズ「Fancy Like」(2021 3位)

モーガン・ウォレン「Wasted On You」(2021 9位)

・ギャビー・バレット feat. チャーリー・プース「I Hope」(2020 3位)

・ルーク・コムズ「Forever After All」(2020 2位)

モーガン・ウォレン「7 Summers」(2020 6位)

・ダン+シェイ & ジャスティン・ビーバー「10,000 Hours」(2019 4位)

・ビービー・レクサ & フロリダ・ジョージア・ライン「Meant To Be」(2018 2位)

・サム・ハント「Body Like A Back Road」(2017 6位)

・フロリダ・ジョージア・ライン feat. ネリー「Cruise」(2013 4位)

テイラー・スウィフト「We Are Never Ever Getting Back Together」(2012 3週首位)

2012年10月以降にホット・カントリー・ソングチャートを制した77曲のうち16曲がソングチャートでトップ10入りを果たし、2020年以降に絞ると23曲中11曲がトップ10入り。トップ10入りの確率は前者が21%、後者が前者の2倍以上となる48%となっています。また2022年以降にソングチャートトップ10入りを果たした5曲はすべて強力なストリーミングに伴いソングチャートでトップ10入りしていますが、他方それまでの11曲のうちルーク・コムズ「Forever After All」を除く全曲が果たしたような、米ビルボードのポップもしくはアダルトエアプレイチャートには5曲が登場せず、ジャンルを超えたヒットとはなっていません。

 

ザ・ウィークエンド「Die For You」(総合8位)はラジオが前週比1%ダウンとなる8400万を記録し同指標2週目の首位に。またメトロ・ブーミン、ザ・ウィークエンド & 21サヴェージ「Creepin'」(総合5位)は同じくラジオが前週比6%アップの8160万を記録し同指標2位に上昇。これによりザ・ウィークエンドはラジオ指標でワンツーフィニッシュを達成しました。主演曲でのワンツーフィニッシュは2016年2月20日付におけるジャスティン・ビーバー(「Sorry」および「Love Yourself」)以来となります。またジャスティンのひとつ前はザ・ウィークエンドが「The Hills」および「Can't Feel My Face」(2015年10月10日付)で記録しています。

主演曲でラジオ指標ワンツーフィニッシュを達成したのは他に、リアーナ(2010-2011 2週)、T.I.(2008 5週)、マライア・キャリー(2005 3週)、アッシャー(2004 4週)、アウトキャスト(2003-2004 8週)、ネリー(2002 4週)、マライア・キャリー(1995 4週)およびボーイズIIメン(1994 1週)。マライア・キャリーはザ・ウィークエンド同様、記録を複数回達成しています。

 

今回の集計期間3日目となる2月5日にグラミー賞が開催された影響で、受賞曲等が数字を伸ばしています。パフォーマンスが披露され、また最優秀ポップ・パフォーマンス(デュオ/グループ)を受賞したサム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」(総合4位)はストリーミングが前週比16%アップの1790万を記録。また最優秀アルバム賞に輝いた『Harry's House』収録曲、ハリー・スタイルズ「As It Was」(同10位)はストリーミングが前週比21%アップの1240万を記録しています。

ビヨンセ「Cuff It」が15→6位に上昇し、これまでの同曲最高位である10位を上回りました。ストリーミングは前週比37%アップの940万、ダウンロードは同4026%アップの78,000、ラジオは同1%未満アップとなる5580万を記録し、ダウンロード指標においてはトップセールスゲイナーを獲得しています。

ダウンロード急伸はリミックス等の投入に基づきます。これまでリリースされていたオリジナル(のエクスプリシット)バージョンとそのクリーンバージョンに加えて、集計期間初日となる2月3日に”Wetter Remix”(エクスプリシットバージョンおよびクリーンバージョン)がビヨンセのホームページにてリリースされ、さらにはエクスプリシットおよびクリーンバージョンのアカペラに加えてインストゥルメンタルバージョンが2月5日にHP内でリリース。そして2月8日、いずれのバージョンもデジタルプラットフォームで解禁されています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) マイリー・サイラス「Flowers」

2位 (2位) シザ「Kill Bill

3位 (27位) モーガン・ウォレン「Last Night」

4位 (5位) サム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」

5位 (3位) メトロ・ブーミン、ザ・ウィークエンド & 21サヴェージ「Creepin'」

6位 (15位) ビヨンセ「Cuff It」

7位 (4位) テイラー・スウィフトAnti-Hero

8位 (6位) ザ・ウィークエンド「Die For You」

9位 (7位) デヴィッド・ゲッタ & ビービー・レクサ「I'm Good (Blue)」

10位 (9位) ハリー・スタイルズ「As It Was」

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート、2月18日付ではGlobal 200、Global Excl. U.S.共にマイリー・サイラス「Flowers」が4連覇を達成しています。

マイリー・サイラス「Flowers」はGlobal 200においてストリーミングが前週比21%ダウンの1億4680万、ダウンロードが同26%ダウンの53,000を、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではストリーミングが前週比21%ダウンの1億1280万、ダウンロードが同23%ダウンの27,000を、それぞれ記録しています。「Flowers」はGlobal 200において、前週までの3週分がGlobal 200における週間ストリーミング歴代トップ5にすべてランクインしています(初週が歴代2位、2週目が5位、3週目が4位)。

サム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」は集計期間中に開催されたグラミー賞効果に伴い、Global 200においてストリーミングが前週比22%アップの6180万、Global Excl. U.S.では同24%アップとなる4950万をそれぞれ記録。前者では4位をキープし、後者では5→3位へ上昇しています。