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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボード最新動向】乃木坂46「君に叱られた」とAKB48「根も葉もRumor」、デジタル先行解禁で生じた差に注目する

毎週木曜は、最新のビルボードジャパンソングスチャートから注目点を紹介します。

9月20~26日を集計期間とする9月29日公開(10月4日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。フィジカル関連指標初加算に伴い、乃木坂46「君に叱られた」が首位を獲得しました。

今年のフィジカルシングル表題曲におけるフィジカルセールス加算初週におけるポイントはダウンしていますが、これはある程度想定内と言えるかもしれません。

 

・「僕は僕を好きになる」

 2月3日公開(2月8日付)1位 36450ポイント / 678684枚

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・「ごめんねFingers crossed」

 6月16日公開(6月21日付)1位 20472ポイント / 704346枚

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・「君に叱られた」

 9月29日公開(10月4日付)1位 17163ポイント / 658176枚

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ビルボードジャパンは今年度、各四半期毎にチャート集計制度、いわゆるチャートポリシーを変更しています。特に大きいのが第3四半期初週(下半期初週)におけるフィジカルセールス指標のウエイトダウン*1、および第4四半期でのラジオ、ルックアップおよびTwitter指標のウエイト変更。後者においてはアップ/ダウンのどちらかは明示されていないものの、少なくともルックアップおよびTwitterはダウンしたとみられます*2

第4四半期前後の「ごめんねFingers crossed」と「君に叱られた」で、チャート構成比に占めるルックアップ指標(CHART insightではオレンジで表示)の割合が大きく異なることが解ります。仮に第4四半期のチャートポリシー変更がなく、前作並にルックアップ指標がポイントを獲得していたならば今作でもこの指標だけで4千ポイント前後獲得したはずであり、チャートポリシー変更の影響は大きいと言えます。

 

それでも乃木坂46「君に叱られた」は他のアイドルやアイドル的立ち位置のK-Popアクトによる日本向けのフィジカルシングル表題曲より、デジタル指標群に強い印象があります。過去2作のフィジカルセールス加算2週目における順位を踏まえれば「君に叱られた」が次週トップ10内にとどまるかは微妙と言えますが、しかし少なくともこちらの曲には勝ると言えそうです。

AKB48にとって1年半ぶりとなるフィジカルシングル「根も葉もRumor」は、先行でデジタル解禁されています。

9月29日(水)発売のAKB48 58thシングル「根も葉もRumor」を、各サブスクリプション&ダウンロードサービスにて楽曲配信することが決定いたしました!

表題曲「根も葉もRumor」は9月22日(水)から、その他の収録楽曲は9月29日(水)から配信を開始いたします。

 

デジタル1週前解禁という手法は乃木坂46「君に叱られた」でも採られています。

「君に叱られた」ではこの先行配信が影響し、9月13-19日を集計期間とする9月22日公開(9月27日付)ビルボードジャパンソングスチャートで31位に初登場を果たしています。最新週となった今週はダウンロードが2→9位にダウンする一方、ストリーミングは100位未満(300位圏内)→69位と上昇しており、アイドルの中でデジタルが高水準に達したと言えるでしょう。

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一方で最新チャートにおいて先行解禁効果が反映されたAKB48「根も葉もRumor」ですが、ダウンロードが58位の一方、ストリーミングは300位以内に達しておらず加点対象外に。動画再生は乃木坂46「君に叱られた」が9月22日公開(9月27日付)において49位に入ったものの(最終週では67位)、「根も葉もRumor」は100位未満(300位圏内)という状況であり、総合で100位以内に入ることができませんでした。

 

AKB48においてはフィジカルセールスが強いとみられ、次週10月6日公開(10月11日付)ビルボードジャパンソングスチャートで最上位を狙えるだろうとは見込まれるものの、フィジカルセールス加算2週目での急落もまた容易に想像できてしまいます。しかも、このフィジカルセールスについてもAKB48乃木坂46の後塵を拝する事態となりそうな予感がするのです。

乃木坂46「君に叱られた」はいわゆるフラゲ日に514742枚を、また今週はSnow Manのアルバム『Snow Mania S1』がフラゲ日に618277枚を売り上げ、共にハーフミリオンを達成。フィジカルセールスがハーフミリオンやミリオンを達成したタイミングでビルボードジャパンは速報を打つのですが、Snow Manと同日発売のAKB48「根も葉もRumor」に今のところそのアナウンスがありません。

ビルボードジャパンのフィジカルセールス先ヨミ記事(集計期間前半3日分の速報)は本日登場予定ですが、AKB48は今作で初週ミリオンを逃す可能性が出てきたと言えそうです。前作「失恋、ありがとう」がフラゲ日でミリオンを突破したのとはあまりにも差が生じてしまったというのが現段階での私見であり*3、さらに次週の総合ソングスチャートではback number「黄色」と僅差になるか、逆転されるかもしれません。

 

 

公式ライバルとして登場した乃木坂46にデジタル面で敗れている状態が続いているAKB48ですが、フィジカルセールスでも敗れるとなると戦略の根本的な見直しが必要となるのではというのが厳しくも私見です。無論、来週および再来週の「根も葉もRumor」ならびに来週の「君に叱られた」の動向を見ないことには断言できませんが、この危惧については1年半前に記載しています。

AKB48「失恋、ありがとう」も乃木坂46「しあわせの保護色」も、共にシングルCDリリースに先駆けて先行解禁されていますが、ともすればファンの意識やレコード会社側の戦略の差が、シングルCDセールスだけに頼らないチャートアクションに成るか否かに繋がっていると言えるでしょう。これを踏まえ、曲をより長く愛してもらうための戦略を行い、チャートの順位と曲の知名度を比例させ歌手のブランドを高めていくことが、アイドル歌手側やレコード会社側には求められるはずです。

9月15日における「根も葉もRumor」配信開始アナウンス(上記参照)において、AKB48の公式ブログにおける表題からはあたかもApple MusicやSpotify限定と受け止められかねないこと、またTwitterの配信予約先がSpotifyしかないことが気掛かりでした。尤も先行配信された22日のツイート(→こちら)に記載されたリンク先からは各デジタルプラットフォームへ遷移できるようになっていますが。

また「根も葉もRumor」の先行配信はフィジカルセールス表題曲のみですが、一方で乃木坂46「君に叱られた」は複数種でリリースされたバージョンすべてのカップリング曲も網羅した状態でワンパッケージとして先行配信されています。このような姿勢もデジタルの差に如実に表れたと言えるでしょう。

(ただし「根も葉もRumor」もデジタルではワンパッケージ化されて昨日配信されています。Spotifyこちら。)

 

 

AKB48新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令された昨年春から「根も葉もRumor」までの間、フィジカルシングルのリリースがありませんでした。対面型イベントができないことからフィジカルセールスが予測できなかったとして、しかし他のアイドルやK-Popアクト等フィジカルセールスが強い歌手に比べて余白が長すぎたことが大きなマイナスにつながったと言えかもしれません。

 

 

AKB48「根も葉もRumor」については来週そして再来週の動向に注目しましょう。無論、乃木坂46「君に叱られた」についても注視は必要です。

*1:一定枚数を超える分に係数処理を実施していますが、その対象枚数をダウンする変更を実施。具体的な枚数は明言されていませんが、チャート分析に長けた方からは30万→10万に変更されたと指摘されています。

*2:(追記あり)【ビルボード最新動向】ソングスチャートのチャートポリシーが変更…ルックアップとTwitterのウェイト減少を支持する(9月9日付)にて記載しています。

*3:【先ヨミ速報】AKB48のニューシングル『失恋、ありがとう』が1,397,201枚を売り上げミリオン突破 | Daily News | Billboard JAPAN(2020年3月18日付)参照。