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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

STU48「花は誰のもの?」が二度目のフィジカルセールス10万超え…その理由を踏まえ、ビルボードジャパンへ提案する

本日7時30分の段階で米ビルボードがソングスチャートおよびグローバルチャートのトップ10速報をアップしていないため、これらチャートについてはアップされ次第紹介する予定です。

 

 

 

明日発表される11月9日公開分(11月14日付 集計期間:10月31日~11月6日)ビルボードジャパンチャートソングスチャート(Hot 100)では、Official髭男dism「Subtitle」や米津玄師「KICK BACK」の強さが続くものと予想されます。集計期間前半3日間の速報値におけるデジタル、特にストリーミングにおいては「Subtitle」の強さが際立っているためです。

一方、フィジカルシングルは昨日週報が発表。今週は3作品が10万枚超えを達成しています。

週間10万枚を超えるフィジカルシングルが同時に3曲登場する週は今年度において3度目。過去2回は3曲すべて総合でもトップ10入りを果たしているため、今回の3曲も(上位2強には及ばない可能性が高いとして)トップ10入りする可能性は十分だと考えられます。

 

さて気になるのが、STU48「花は誰のもの?」。この曲は4月20日公開分(4月25日付)ビルボードジャパンソングスチャートにおいてフィジカルセールス23万枚を突破し総合でも2位に初登場。そして明日登場の最新ソングスチャートにおいてもフィジカルセールス10万枚超えを達成しているのです。

”劇場盤Extra Edition”と名付けられた今回の再発盤にはイベント参加券が封入されています。そしてカップリング曲の2作品は、フィジカルシングル表題曲と同名の今夏の公演向けに書き下ろされたものです。

カップリングの2曲は7月末にデジタル解禁されているため今回が待望のフィジカル化となりますが、「花は誰のもの?」の再発盤の形で登場したことになります。

STU48が11月2日(水)に発売予定の「花は誰のもの?」劇場盤Extra Editionの出荷枚数が確定し、自身が持っていた、コロナ禍直前にリリースされた4thシングル「無謀な夢は覚めることがない」の累計出荷枚数約40万枚を上回り、STU48史上最高の累計出荷枚数である44万枚を突破することがあきらかとなった。コロナ禍によりコンサート、握手会など活動の縮小を余儀なくされた同グループ、音楽業界的にもCDの販売自体が非常に厳しいこの“アイドル逆境の時代”を乗り越えて達成した自己記録更新は、STU48の現在地に追い風が吹いていることを証明している。

所属レコード会社のホームページにおける文言から、「花は誰のもの?」の売上へのこだわりを感じます。またSTU48が11月4日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日)に出演した際、番組側は”ロングヒット中!”とのテロップをパフォーマンス時に用意していました。

しかし、STU48「花は誰のもの?」におけるチャートアクションは極端です。

ビルボードジャパンによるCHART insightをみると、黒で表示される総合順位においてSTU48「花は誰のもの?」は100位以内のランクインが通算3週にとどまります。一方で黄色はフィジカルセールス指標を示しますが、イベント参加券封入に伴う売上上昇とみられる事象が際立ちます。この指標における乱高下とも呼べる状況がAKBグループに多く見受けられることについては、ブログにて以前記してています。

今回のSTU48「花は誰のもの?」における10万枚強のセールスは、グループ内では初めてと思しきシングルの再発盤リリースという手法に基づくものです。これは同じくこのブログで示してきた演歌歌謡曲における施策をなぞったものと捉えていいでしょう。

AKBグループではHKT48がアルバム『アウトスタンディング』にイベント参加券を封入することで、アルバムチャートにおけるフィジカルセールス指標の乱高下が生まれています(3月13日付ブログエントリー参照)。シングルのみならずアルバムでも乱高下が登場したこと、そしてカップリング曲の異なるシングルを再発することにより、歌手側がフィジカルセールスの伸長を第一義にしていることを感じるのです。

 

 

ともすれば今後、再発盤という施策が日本で主流となるかもしれません。しかしこれまでのAKBグループ等の動向をみれば他指標が伸びておらず、再発盤施策が(最初のフィジカルリリース時に既に購入していた)コアファン向けのものであることがみえてきます。コアファンの物理面(金銭面)も気になりますが、この施策が複合指標から成る音楽チャートに影響を及ぼすことに違和感を覚えます。

ライト層への浸透に伴うロングヒット曲の重要性を示すビルボードジャパンソングスチャートにおいて、フィジカルセールス指標のみが突出した曲が上位に進出すること、また翌週急落する(可能性が高い)ことが健全なチャートアクションとは言い難いでしょう。複数週の動向から真の社会的ヒット曲かを見極める必要がありますが、最善は1週の動向でもそれが分かるようなチャートを作成することだと考えます。

以前も提案した内容を再掲する形で、ビルボードジャパンにはフィジカルセールス指標のウエイトを引き下げる議論を用意することを希望します。