イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】ソングスチャートで初めてトップ10入りした4曲、ロングヒットの可能性を構成指標から読む

最新のビルボードジャパンソングスチャートから注目点を紹介します。

3月21~27日を集計期間とする3月30日公開(4月4日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。乃木坂46「Actually...」が初の首位を獲得しました。

今週4曲が新たにトップ10入りを果たし、うち3曲は100位以内においても初登場となりました。この4曲の指標構成、大きく異なります。

 

各曲のCHART insightはこちら。

 

・1位 乃木坂46「Actually...」

f:id:face_urbansoul:20220330201134p:plain

 

・4位 INI「CALL 119」

f:id:face_urbansoul:20220330201614p:plain

 

・8位 Mr.Children「永遠」

f:id:face_urbansoul:20220330201643p:plain

 

・10位 藤井風「まつり」

f:id:face_urbansoul:20220330201728p:plain

 

これら4曲を含むトップ10のチャート構成指標順位をみると、4曲のうちどの作品がロングヒットするかが予想できます。

f:id:face_urbansoul:20220330201817p:plain

 

乃木坂46「Actually...」はフィジカル関連指標初加算に伴う首位到達。56万枚を超えながらも、前作「君に叱られた」から10万枚近く減少しています。またストリーミング指標が加点されながらも100位未満であり、接触指標の非充実は次週の急落の可能性を予感させます。

「Actually...」は12490ポイントを獲得していますが、仮に2週前にリリースされていればBE:FIRST「Bye-Good-Bye」に敗れたことになるため、首位獲得を盤石のものとする意味においてもデジタル拡充は大きな課題です。

 

INI「CALL 119」はストリーミングが1千万回を突破し同指標首位獲得。これはLINE MUSIC再生キャンペーン(再生回数キャンペーン)の効果と言えます。

一方でダウンロード指標が100位未満と低いことから、コアファンとライト層の乖離が見て取れます。またストリーミングにおいて他のサブスクサービスとの差がかけ離れているのが気掛かりです。

2021年度以降のストリーミング指標首位獲得曲の、再生回数におけるSpotifyの割合は3月16日公開分(3月21日付)ビルボードジャパンソングスチャートを紹介した下記ブログエントリーに掲載。

ここで紹介したBE:FIRST「Bye-Good-Bye」は翌週もストリーミング指標を制していますが、Spotifyの割合は5.7%と高くありません。3月23日公開分(3月28日付)の集計期間途中にLINE MUSIC再生キャンペーンが終了したことで割合は増えた一方、コアファンのサブスクにおけるLINE MUSIC利用率が高いことに因るものです。それでも「Bye-Good-Bye」は。現在でもSpotifyデイリーチャートで200位以内に登場し続けています。

ストリーミング再生回数におけるLINE MUSICの偏りが再生キャンペーンに基づくものであれば、ストリーミング指標はキャンペーン終了後に急落します。これは緩やかにダウンすることが一般的な同指標の動きに反するもの。真の社会的ヒット曲はこのストリーミング、そして動画再生という接触指標群が継続して強いことが条件となりますが、次週以降「CALL 119」の再生回数が急落すれば真の社会的ヒットとは言い難いでしょう。

 

Mr.Children「永遠」(ミュージックビデオは現段階で未公開)はダウンロードが3万を突破し首位となり、総合8位発進。一方でストリーミングは加算されながらも100位未満となっています。所有指標のダウンロードはフィジカルセールス同様に急落する傾向にあるため、次週以降ダウンロードの減少を接触指標群で補完できなければ総合順位も大きく落ち込む可能性があります。

 

藤井風「まつり」は、アルバム『LOVE ALL SERVE ALL』からのリード曲として、集計期間前日(日曜)の夜解禁。月曜0時ではなかった理由として、解禁の翌朝までに浸透させて月曜の職場や学校で話題にしてもらうものと予想していました。最新のアルバムチャートでは『LOVE ALL SERVE ALL』が完勝しており、その狙いは当たったものと捉えています。

遅れて伸びるカラオケ以外の5指標(シングルとしてフィジカル未リリースのため、フィジカル関連指標は加算対象外)はすべて40位以内に入り、また接触指標群が充実。アルバムの首位到達等が伝播して話題が持続し、ラジオでのプロモーションを続けることでラジオ指標を大きく落とすことがなければロングヒットも可能でしょう。今週は「きらり」も13%以上ポイントを伸ばし、藤井風さんの作品群にスポットが当たっています。

 

 

4曲の動向を踏まえれば、最も長くヒットを続けるのは藤井風「まつり」だというのが容易に予想できるものと考えます。無論そこに安住することなく攻め続けることも大事です。次週の動向にも注目していきましょう。