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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

BTS「Dynamite」がストリーミング首位返り咲き、あいみょん「裸の心」が最高ポイント更新…9月28日付ビルボードジャパンソングスチャートに如実に表れたテレビの音楽番組効果

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。

9月14~20日を集計期間とする9月28日付ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)、Kis-My-Ft2「ENDLESS SUMMER」がシングルCDセールス初加算に伴い首位を獲得しました。

ミュージックビデオはショートバージョンがアップされながら、動画再生指標は300位に満たず加算されていません。ここ最近、ジャニーズ事務所所属歌手でミュージックビデオの短尺版を用意する方は増え、動画再生指標が加点されていたため今回の未加算は意外でした。

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さて、今週はテレビの音楽番組が大きな影響を与えています。最たるもののひとつが日本テレビの音楽特番『THE MUSIC DAY』。放送は最新チャートの集計期間開始2日前ではありますが、番組のインパクトがとりわけサブスク再生回数に基づくストリーミング指標の増加につながっています。

記事で言及されているDISH//「猫」(ストリーミング15位 総合15位)は再生回数が前週比125%。そして前週比の記載はありませんが、日本での初披露となったBTS「Dynamite」(ストリーミング1位 総合3位)に至っては7233353→10318739となり実に142.7%となっています。一方で『THE MUSIC DAY』がグループとしての初パフォーマンスの場となったNiziU「Make you happy」は7696982→7459156となり前週比96.9%となっていますが、これは『THE MUSIC DAY』前後にNiziU関連特集が多く放送され『THE MUSIC DAY』放送週の再生回数が大きく伸びた反動と言えます。しかしながら勢いはキープされており、番組の余韻が接触回数の維持に繋がったと考えて好いでしょう。

 

そして番組効果が大きく表れたといえば、集計期間直前の13日に放送された『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日 日曜23時)。

番組の最後では「裸の心」のセッションもあったのですが、この『関ジャム 完全燃SHOW』(その他前後に放送された出演番組も含む)が、「裸の心」の総合ポイント数を過去最高に至らせたのです。

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シングルCDが初加算された6月29日付や主題歌に起用されたドラマ『私の家政夫ナギサさん』(TBS)の最終回または特別編の放送週、収録されたアルバム『おいしいパスタがあると聞いて』がアルバムチャート2位に初登場した前週9月21日付よりも、今回のほうがポイントが上回ったのはいい意味で意外でした。前作『瞬間的シックスセンス』のアルバムチャート2位初登場時にも「マリーゴールド」が伸び、さらにその翌週にもポイントを伸ばしたのは今回と同じ動きですが、前作のアルバムが大ブレイクの契機と考えるならばポイントのさらなる上昇は理解できます。既にあいみょんさんの認知度が高い状態で、アルバムチャート登場2週目にして「裸の心」がポイントを過去最高に至らせたのは特筆すべきことではないかと思うのです。

 

地上波における音楽番組のレギュラー放送回は視聴率が高いとは言い難い一方、SNSとの親和性の高さは番組名や出演した歌手、披露された曲が複数トレンド入りする等で明らかであり、音楽番組の視聴者の熱意は他のジャンルの番組より高いと言えます。また長時間特番となると視聴率面でも優れ、SNSの盛り上がりも同様に高いと考えます。『THE MUSIC DAY』『関ジャム 完全燃SHOW』等の番組効果は絶大であり、そしてその熱意が真っ先にそして即座にストリーミング指標につながることが明らかになった以上、たとえば曲を披露した直後に歌手側がSNSで曲に接触できるリンク先を用意する等、より大きな流れというか”うねり”を作り出すことが重要となってくるはずです。その点ではYOASOBIが好例と言えるでしょう。

無論、テレビ効果を最大限にするには接触指標群を充実させることが必要。サブスクおよび動画再生の解禁、動画に関しては短尺版ではなくフルバージョンをアップすることが大前提となります。