最新4月23日公開分(集計期間:4月14~20日)のビルボードジャパンソングチャートはMrs. GREEN APPLE「クスシキ」が2連覇を達成しています。
【ビルボード】Mrs. GREEN APPLE「クスシキ」がHot100で2連覇、King Gnu「TWILIGHT!!!」は7位デビュー https://t.co/CsfhKdU9V5
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年4月23日
ビルボードジャパンソングチャートの記事では、Mrs. GREEN APPLE「クスシキ」について『前週と比べてダウンロードは61%、ストリーミングは90%、動画は63%に減少する一方、カラオケは142%、ラジオは292%と増加』と紹介されています。
Mrs. GREEN APPLE「クスシキ」のポイント前週比は99.7%となり微減にとどめる一方、ストリーミング(再生回数)がおよそ1割落としているのは気がかりなところです。ポイント横ばいの原動力となったラジオは最も持続しにくい性質を持つことから、今後はストリーミングや動画再生といった接触指標群の安定、およびカラオケの上昇が求められます。なおカラオケ指標は前週の100位未満から59位に浮上しています。
今回のチャートでは、4月18日金曜ににリリースされたKing Gnu「TWILIGHT!!!」が総合7位に初登場。冒頭で紹介した記事では『4月18日に配信リリースされた劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像』の主題歌で、集計期間は3日間のみだったが14,679DLでダウンロード1位、ストリーミング25位、動画8位、ラジオ12位を獲得した』とあります。
King Gnu「TWILIGHT!!!」はストリーミングが3,481,040回再生を記録し、当週4,509ポイントを獲得。次週は初の1週間フル加算に伴い最上位進出を狙います。なおMrs. GREEN APPLE「クスシキ」は2週前、集計期間2日分で総合6位に初登場(ダウンロード13,094DLおよびストリーミング4,170,099回再生を記録)。「TWILIGHT!!!」の初週3日分とほぼ同じ4,477ポイントを獲得していました。
さて当週は、ME:I「MUSE」がフィジカルセールス指標初加算に伴い73→2位に上昇しています。
ME:I「MUSE」はフィジカルセールス首位(23万枚を突破)、ラジオ2位、ダウンロード10位を記録。デジタル先行でリリースした同曲は4週前の初登場時にダウンロード指標46位を記録しており、当週はフィジカルリリースに伴い所有の選択肢が増えたことでダウンロード指標が再浮上したとも考えられますが、ラジオ指標の上昇要因を考えればこのタイミングでコアファンが購入したといえるかもしれません。
3位はME:I「MUSE」が前週37位から急浮上した。“PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS”発の11人組が4月16日にシングルリリースした同曲は、3月17日の先行配信とともにオンエアが開始され同週52位に初登場。その後、週を追うごとに伸長していきチャートイン5週目となる今週、リリース週を迎えたこともありいっきにオンエアが加速。TOP3入りを果たした。
帯放送の番組/コーナーなどの定期枠を中心にオンエアを積み上げたかっこうだが、調査対象局の83.9%となる広い範囲でのオンエア、さらには多数のリクエストオンエアを獲得している点から、大きなファンダムのバックアップを受けつつ広く注目されていることがうかがえる。セールスも好調の様子だ。
(※ビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標はプランテックによるOAチャートを基に、調査対象局の聴取可能人口等を加味して算出。そのため、OAチャートとラジオ指標では順位が異なることがあります。)
ME:I「MUSE」は男性アイドルやダンスボーカルグループで目立つ『帯放送の番組/コーナーなどの定期枠』がオンエアの主体となっています。またフィジカルリリース週のオンエア上昇という点も男性アイドル等と共通。加えてリクエストの多さも踏まえれば、歌手側およびコアファン側の双方にてフィジカルセールス初加算週に総合チャートでも上位を目指すという姿勢を読み取ることができます。
コアファンの意識は高いと考える一方で、しかしながらライト層との乖離が目立つことが総合チャートでの首位到達に至らなかった要因と捉えています。曲は気になるが歌手のファンではないというライト層はストリーミングや動画再生といった接触指標群を支え、ロングヒットにも影響を及ぼすのですが、そのライト層にまでME:I「MUSE」が浸透しているとは言い難い状況です。
CHART insightをみると、動画再生指標(赤で表示)は4週前に10位を記録しながら翌週には大きく後退し、最新チャートでは加点されながらも100位未満となっています。加えてストリーミング指標(青)は初登場時に96位を記録した一方、翌週以降は100位未満という状況が続いています。
(総合ソングチャートの記事にて、ME:I「MUSE」におけるストリーミング再生回数が確認できます。総合チャートの記事ではフィジカルセールス、ダウンロードおよびストリーミング指標で50位以内までに入らなければ数値は掲載されないゆえ、今回は誤って載せたものと考えます。自分はXにてビルボードジャパンに対し誤記の可能性を発信しましたが(→こちら)、4月24日5時の時点でも数値は掲載されたままです。)
ME:I「MUSE」は登場3週目のHANA「ROSE」にポイント面では勝ったものの、当週における「ROSE」のストリーミング数は1011万回再生であり「MUSE」を大きく引き離しています。「ROSE」においてはストリーミング再生回数が前週より12%以上後退しているのが気掛かりですが、次週はフィジカルセールス指標が初加算されます。また動画再生指標は3連覇を達成しています。
次週、ME:I「MUSE」がトップ10内から脱落し、HANA「ROSE」がフィジカルセールス指標初加算に伴いポイントを伸ばしたならば(それにより同曲初の1万ポイント超えを成し遂げたならば尚の事)、たとえば『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)におけるアイドル/ダンスボーカルグループの人選は大きく変わるものと考えます。