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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Hey! Say! JUMP「I am」急落はストリーミングの興隆が一因? 行うべき対策は何か

昨日紹介した最新3月16日付ビルボードジャパンソングスチャートでも触れましたが、前週首位を獲得したHey! Say! JUMP「I am」は54位に急落してしまいました。今回、このことが強く気になっています。

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2018年度以降、ジャニーズ事務所所属歌手の動向を追いかけているのですが、シングルCDセールス指標加算2週目に50位未満となる曲はほとんどありません。Hey! Say! JUMPにおいては下記の通り。

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曲名の下の日付はシングルCDリリース日であり、日付が2つ記載されているものは右側がレンタル日を示します(日付がひとつのものはリリースとレンタルが同日)。こうして一覧化すると、順位的にもここまでの急落はやはり珍しいことが判ります。50位未満は総合ポイント未掲載のため、今週は1732ポイント未満と推測される「I am」はシングルCDセールス加算2週目におけるポイント前週比が8.4%未満と推測。この数値もジャニーズ事務所所属歌手の平均(10~20%)を下回るものです。前作「ファンファーレ」と比べてポイントを大きく落としていること、「I am」が「Muah Muah」とのダブルAサイドシングルであり票割れを起こしたことも影響しているかもしれませんが、それにしてもこの急落は気掛かりです。

 

さて今回、Hey! Say! JUMP「I am」の動向を調べるうちに、50位における総合ポイントの高さがいつもに比べて際立って高いと感じたのですが、果たして今回が特別なのかそれとも50位の水準が上がっているのか気になり、2018年度以降のチャートにおける50位のポイント推移をグラフ化してみました。

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この2年ちょっとの間に推移は緩やかに上昇。2018年度は平均1013.1ポイント、2019年度は1208.9ポイント、そして2020年度は現在までの平均が1376.4ポイントとなっており、年間単位でみるとソングスチャート50位の水準は上がっていることが解ります。

この水準を押し上げる要因を推測するに、サブスク再生回数を基にしたストリーミング指標が最も大きいのではと思い、こちらについても調べてみました。ビルボードジャパンの記事においては2019年度以降、ストリーミングソングスチャートについて10位までの再生回数が記載されていることから、1位および10位の数値をこちらもグラフ化しています。

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わずか1年ちょっとの間に、最新のストリーミングソングスチャート10位の再生回数が、2019年度最初のストリーミングソングスチャートの1位のそれを上回っています。ビルボードジャパンソングスチャートでは昨年11月18日付よりSpotifyを導入し、さらに無料と有料とで異なる係数を乗じる方法を採用していますが(Spotify導入等については以前紹介しています→こちら)、ストリーミング指標はSpotifyを導入する以前から盛り上がってきたと捉えることが出来ます。そう考えると、ストリーミング指標の基であるサブスクの興隆が総合ポイントの水準を押し上げる要因のひとつと断定して好いでしょう。

(ちなみにソングスチャートを構成する8指標のうち、他に水準を押し上げ得ると考えられるのは動画再生指標でしょう。データ通信の大容量化等によりYouTube等の活用者が増えてきたことも考えられます。しかし、こちらについては記事にて数値がほぼ未記載であるため、推移を追いかけることが出来ません。)

 

ストリーミング指標の基であるサブスクの興隆は、下記報道も踏まえれば今後も続くことが見込まれます。

これを踏まえれば、ソングスチャートのポイントが今後さらに底上げされることも間違いないでしょう。Hey! Say! JUMP「I am」においては様々な要因により急落につながったものと思われますが、他の曲の平均値上昇により埋もれてしまったことも急落の一因と言えます。これを解消し急落させないためは、ロングヒットにつなげるためにはどうするかは、上記動向表や以前書いたロングヒットの条件を見れば自明と言えます。

レコード会社、そして何より所属事務所であるジャニーズ事務所には対策を考え、実行してほしいと切に願います。