嵐席巻。11月4日付の日本でのSpotifyデイリーチャート、「Turning Up」が7→3位にアップしたほか、解禁された64曲(先行5曲含む)が200位以内に全て登場。最高は「Love so sweet」の10位、最も低い「時代」で181位。Spotifyはビルボードジャパンソングスチャート集計対象外ですが、他サービスも同様かと
10月23日水曜にリリースされた「Lose You To Love Me」は集計期間わずか2日(ラジオは5日間)で前週のソングスチャート15位に初登場。今週はストリーミングが3880万、ダウンロードが39000を獲得し2指標でトップを獲得したほか、ラジオエアプレイは2420万で同指標41位に初登場。エイサップ・ロッキーをフィーチャーした「Good For You」(2015)および客演なしの「Same Old Love」(2016)の5位を上回り、自己最高記録を更新し初の首位に輝きました。一方、翌日リリースされた「Look At Her Now」は27位に初登場。ダウンロードは14000(同指標6位)、ストリーミングは1880万(同指標18位)を記録していますが、「Lose You To Love Me」とは大差が生じています。
2曲投入しながら大差が生じたことを失敗と捉えるのは早計というのが私見。2曲を(ほぼ)同時に切ることで歌手そのものに注目させ、よりリアクションの良いものに集中させる方法は、エド・シーラン「Shape Of You」(2017)やドレイク「God's Plan」(2018)をなぞっているものと考えます。
前週チャートを制したルイス・キャパルディ「Someone You Loved」は2位に後退。ラジオエアプレイは1億120万を獲得し初の首位を獲得しますが前週比4%ダウン。ストリーミングは同2%ダウンの2480万(同指標11位)、ダウンロードは同47%ダウンの13000(同8位)。前週のチャートではテレビ番組で用いられた効果で特にダウンロードが伸びたのですが、その反動が生じてしまいました。
以前首位を獲得したリゾ「Truth Hurts」が今週5位にランクインしているリゾは、続く6位に「Good As Hell」を初のトップ10内に送り込みました。
(ちなみにリミックス版がオリジナルバージョンをトータルで上回っていないため、米ビルボードソングスチャートにおける「Good As Hell」のクレジットにはアリアナ・グランデの名はありません。)
「Good As Hell」は元々リゾのデビューEP『Coconut Oil』(2016)に収録された曲であり、今年リリースのアルバム『Cuz I Love You』には未収録。しかしMTVビデオ・ミュージック・アワードで「Truth Hurts」とメドレー形式で披露されたことで次のシングルに据えられた形です。
次週初登場で上位が見込まれる新譜は少ないものと見込まれます。他方ストリーミングではポスト・マローン「Circles」が俄然好調であり、同曲は今週最高位を更新、もしかしたら次週トップを狙えるかもしれません。また今週トップ10落ちしたもののトラヴィス・スコット「Highest In The Room」もストリーミング好調でありトップ10再浮上も考えられます。その他、Spotifyではアリゾナ・ザルバス「Roxanne」がアメリカにおける11月3日付デイリーチャートで5位に浮上していることから、次のトップ10入り候補と言えるでしょう。
この一報を受けてまもなくつぶやいた雑感(関ジャニ∞のCDの件や来年同時デビューする2組の件など)を今朝まとめようとしたのですが、【WASTE OF POPS 80s-90s)】のO.D.A.さんがわかりやすく且つ読みやすくまとめられています。文章の巧さや絶妙なさばき方は本当に素晴らしいそのブログエントリーを勝手ながら紹介させていただきます(問題があれば削除いたします)。
同日付における、サブスクリプションサービスの再生回数を主体としたストリーミング指標は「Love so sweet」の29位を筆頭に、「Happiness」が59位、「Monster」が63位、「A・RA・SHI」が70位、そして「truth」が71位にランクイン。昨日の解禁において、この5曲以外のミュージックビデオはYouTubeでスタートしていません(ゆえに動画再生指標には登場しません)がダウンロードでは解禁されていることから、ストリーミング指標そして総合ソングスチャートでも過去曲がどこまで上昇し、100位以内で嵐が何曲を占めるか注目したいところです。
ゴスペル界、そしてヒップホップ界では先週末リリースされたカニエ・ウェスト『Jesus Is King』が賛否両論を呼んでいるようです。私見を述べるならば、伝統的なゴスペルとは呼びにくいものの、カニエの革新性ーカニエがゴスペルの新しい宗派を作っていると言ってもしっくりくるようなーは、11曲27分強という短さゆえに繰り返せば繰り返すほど染み込んでくるように感じます。
Wikipediaによるレクレーのディスコグラフィー(→こちら)をみると、2017年リリースのアルバム『Let The Trap Say Amen』以降は米ビルボードゴスペルアルバムチャートに登場していません。これまではクリスチャンアルバムチャートと共に登場していましたので、違和感が生じます。楽曲においても「Can't Stop Me Now (Destination)」(2016)以降は同様に、クリスチャンソングスチャートには登場してもゴスペルソングスチャートには登場しない状態です。
また、この10年におけるクリスチャンミュージック界を代表するラッパーといえるNFについても似た事態が発生(Wikipediaによるディスコグラフィーはこちら)。アルバムについては『Perception』(2017)以降クリスチャンアルバムチャートから、楽曲については「No Name」(2018)以降クリスチャンソングスチャートからそれぞれ除外されています(ただし「No Name」は米ビルボードクリスチャンAC/CHRチャートには登場。以降数曲が同様の状態となっています)。総合チャート、クリスチャンソングスチャート共にランクインしたのが『Perception』収録の「Let You Down」(全米12位、クリスチャンソングスチャート1位)ですが、この次のチャートイン楽曲が「No Name」であることを踏まえれば、「Let You Down」がきっかけになっているのかもしれません。
レクレーによるチャート上の違和感の表明を記事にしたのがそのチャートを取り扱う米ビルボードというのが複雑な心境ではありますが。これを機に思い出したのがリル・ナズ・Xによる「Old Town Road」です。米ビルボードソングスチャートで19週連続首位となり最長記録を更新したこの曲は、当初その音使いからカントリーソングスチャートでもランクインしたものの、米ビルボードの方針転換により除外されたのです。それを不服としたベテランカントリー歌手のビリー・レイ・サイラスが客演参加したことで"よりカントリーっぽく"なり記録を達成したというのは痛快ではあるのですが。
ゴスペルチャートやクリスチャンスチャートにおけるラップの除外は、「Old Town Road」がヒットの兆しをみせたタイミングでカントリーソングスチャートから除外されたことと同様、「Let You Down」がヒットしたことでラップ×ゴスペルもしくはクリスチャンミュージックに違和感を覚え始めた人がそれを表明したことで米ビルボードがフレキシブルに対応したのかもしれません。ジャンル決めについてのチャートポリシー(変更)のアナウンスがみられないゆえ、楽曲毎の個別対応と捉えるのが自然でしょう。
(ただそうなると、スヌープ・ドッグが昨年リリースしたゴスペルアルバム『Snoop Dogg Presents Bible Of Love』収録曲が米ビルボードゴスペルソングスチャートにランクインしたこと(→こちら)の説明は難しくなりますが、ランクインした4曲は全て歌手が客演しているため、歌モノとして判断されたのかもしれません。)
弊ブログでは今夏、森口博子さんによる『機動戦士ガンダム』シリーズ使用楽曲のカバー集『GUNDAM SONG COVERS』について幾度となく記載しました。
『GUNDAM SONG COVERS』はビルボードジャパンアルバムチャートで初登場5位、オリコンアルバムランキングでは同3位を記録。CDは売切状態が続く等人気にもかかわらず、青森県のほぼ全てのレンタル店舗では解禁日に未導入という事態が発生。TSUTAYAでは旗艦店と位置付けされたMORIOKA TSUTAYAでも同様なのは問題だと指摘しました。その後ようやく、自分の住む近隣のTSUTAYAでも取り扱いがはじまり、おそらくは全国的にも同様の措置が採られたこともあってか、『GUNDAM SONG COVERS』は最新11月4日付ビルボードジャパンアルバムチャートで66位をマーク。CDセールスとルックアップ(パソコン等に取り込んだ際にインターネットデータベースへアクセスする数)の順位が拮抗していることから、購入者の取込率やレンタル動向は高いとみていいでしょう。
(上記は『GUNDAM SONG COVERS』のCHART insight。折れ線グラフの黒は総合順位、黄色はアルバムCDセールス、紫はダウンロード、オレンジはルックアップを示します。)
鮎川麻弥さんも以前『機動戦士ガンダム』シリーズで楽曲が用いられており(テレビアニメ『機動戦士Ζガンダム』(1985-1986 名古屋テレビ / テレビ朝日)前期オープニング「 Z・刻をこえて―Better Days Are Coming―」等)、このタッグでのリリースは『GUNDAM SONG COVERS』同様話題になるかと思ったのですが、「追憶シンフォニア」はシングルCDセールス指標が初めて加算された11月4日付ビルボードジャパンソングスチャートで100位以内に入ることは出来ませんでした。
弘前地区のTSUTAYAは上記弘前店の他、弘前樹木店とも未入荷(他方MORIOKA TSUTAYAの導入は確認)、GEO弘前安原店でも同様でした。GEO青森柳川店は青森県のレンタル店で最も品揃えが多く、『GUNDAM SONG COVERS』もレンタル解禁日より導入したこともあってか今回のシングルもきちんと入っていたのですが、他店舗の状況を踏まえるに『GUNDAM SONG COVERS』の教訓が生きていない…厳しくもそう言い切っていいでしょう。1枚でも導入されていたならば、そして『GUNDAM SONG COVERS』と同時展開していたならば…と、その機会損失っぷりを強く残念に思います。
「追憶シンフォニア」はダウンロードサービスのiTunes Storeで未導入、サブスクリプションサービスのSpotifyでも未解禁を確認…その状況は、『GUNDAM SONG COVERS』が発売から1ヶ月以上経ってデジタルを解禁した展開をなぞっているように思われます。おそらく「追憶シンフォニア」等も後日デジタル解禁されるものと思われますが、この展開手法にも疑問が。ビルボードジャパンアルバムチャートは3指標で構成されているのに対し、ソングスチャートは8指標に基づくもの。今回加算対象となっているシングルCDセールス、ルックアップ(この2指標は乖離してはいますが)、ラジオエアプレイ(対象ラジオ局のOA回数に人口を加味したもの)、Twitter(ひとつのツイートに歌手名と曲名と共に記載したもの)は比較的強いと言える一方、ダウンロード、ストリーミング(サブスクリプションサービスの再生回数および歌詞サイトの閲覧回数)、動画再生、そしてカラオケ(この指標はリリースから数週経ってランクインするのが通常ですが)という4つの指標が未加算ゆえ、総合チャートでの100位以内ランクインを逃してしまったのでは、と考えます。
『GUNDAM SONG COVERS』の好調っぷりを踏まえ、森口博子さんは今年の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)に復帰を果たす可能性があるのではと考えていました。しかし制作側が仮にアルバムのみで判断を保留した場合、今回のシングルで見極めるだろうと想像出来、今回のシングルがビルボードジャパンソングスチャートで十分な成績を残せなかったことで出場の可能性は微妙となったのではと懸念しています。『NHK紅白歌合戦』出演者の選出基準がオリコンよりビルボードジャパンのチャート成績にあると考えるゆえ、尚の事です。
アルバム『Traveler』が前週末からレンタル解禁となったことで、アルバム収録曲の「Pretender」をはじめ「宿命」「Stand By You」のシングルCDセールスおよびルックアップ指標は今後収束するだろうとは思われます。しかしながら既にロングヒットの波に乗っていることや、今後年末年始の歌番組出演、『NHK紅白歌合戦』への出演(これは間違いないでしょう)を機に、米津玄師「Lemon」同様にOfficial髭男dismが年始のチャートを席巻する可能性があるかもしれません。