イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

アリアナ・グランデ2連覇、J・コールが自己最高位を更新…最新米ソングスチャートをチェック

毎週火曜は米ビルボードソングスチャート速報。

現地時間の2月4日月曜に発表された、2月9日付最新チャート。前週首位発進のアリアナ・グランデ「7 Rings」が首位をキープ、J・コール「Middle Child」が22ランクものジャンプアップで4位に到達し自己最高位を更新しました。

リリースと同時にミュージックビデオが公開されたアリアナ・グランデ「7 Rings」は今週もストリーミングおよびデジタルダウンロード両指標で首位を獲得。ストリーミングは前週比26%ダウンの6320万、デジタルダウンロードが同59%ダウンの39000で共に急降下感は否めませんが、それでもストリーミングが強いのは早々にミュージックビデオを公開した効果と言えるでしょう。またラジオエアプレイでは前週比53%もの大幅アップで4190万を獲得し39→19位へ躍進を遂げています。

4位に到達したのはJ・コール「Middle Child」。曲の内容、”真ん中の子”の意味については、ヒップホップライター/DJの渡辺志保さんによる解説がわかりやすいので、みやーんさんによるラジオ書き起こしを紹介させていただきます(問題があれば削除いたします)。

リリースが1月23日水曜だったため、前週はデジタル2指標においては水曜および木曜の2日分のみがカウント対象となり(ラジオエアプレイは日曜までの5日間)、26位に登場したのがこの曲。1週間フルカウントとなった結果、4位に躍進。ストリーミングは5440万で2位、デジタルダウンロードは24000で5位、ラジオエアプレイは50位未満ですが840万となっています。

J・コールは「Middle Child」で5曲目のトップ10入り、且つ初のトップ5入りを果たしました。ちなみに2~4曲目のトップ10入りはすべて、アルバム『KOD』が初登場で首位を獲得した2018年5月5日付における「ATM」「Kevin's Heart」「KOD」の6、8、10位初登場。3曲同時に初登場トップ10入りを果たした初の歌手となりました(ちなみにその2ヶ月後にドレイクが初登場で4曲同時トップ10入りを果たし記録を塗り替えることに)。ちなみに曲名の”Child”について、”Child”および”Children”が用いられている曲でのトップ5入りはこれが8曲目、そして”Middle”はトップ5入り3曲目にして最高位を更新です(ジミー・イート・ワールド「The Middle」(2002)、ゼッド、マレン・モリス & グレイ「The Middle」(2018)の5位がこれまでの最高)。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) アリアナ・グランデ「7 Rings」

2位 (2位) ホールジー「Without Me」

3位 (3位) ポスト・マローン & スウェイ・リー「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)」

4位 (26位) J・コール「Middle Child」

5位 (5位) トラヴィス・スコット「Sicko Mode」

6位 (4位) アリアナ・グランデ「Thank U, Next」

7位 (6位) パニック・アット・ザ・ディスコ「High Hopes」

8位 (7位) マシュメロ & バスティル「Happier」

9位 (8位) ポスト・マローン「Wow.」

10位 (9位) マルーン5 feat. カーディ・B「Girls Like You」

トップ10は比較的凪の状態と言えます。ラジオエアプレイ指標の首位はパニック・アット・ザ・ディスコ「High Hopes」(総合7位)で、前週比4%ダウンの1億1790万。アリアナ・グランデは追い抜くことが出来るでしょうか。また今週10位にはマルーン5 feat. カーディ・B「Girls Like You」が入り、トップ10内に通算32週目のランクインとなりました。ザ・チェインスモーカーズ feat. ホールジー「Closer」(2016-2017)およびリアン・ライムス「How Do I Live」(1997-1998)に並び、最多記録のエド・シーラン「Shape Of You」(2017)まであと1週に迫っています。米時間で2月3日に開催されたスーパーボウルのハーフタイムショーではこの曲が(カーディ抜きで)披露されたことから、次週のトップ10内キープは十分有り得るでしょう。こちらも追いつき追い抜けるか、注目です。

しまおまほが復刻!? ダディー・ヤンキーの新曲で引用された四半世紀前の大ヒット曲

昨日付の『J-WAVE TOKIO HOT 100』(J-WAVE 日曜13時)、100位に初登場を果たしたのがレゲトン界を代表するダディー・ヤンキーの新曲なのですが、驚きました…なんてったってあのスノー「Informer」を大胆に引用し、しかも本人を招いているのですから!

・ダディー・ヤンキー feat. スノー「Con Calma」(2019)

実はラジオ業界ではにわかにこの「Informer」が人気になりつつありました。『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ 月-金曜18時)で火曜レギュラーのしまおまほさんが、昨年末から幾度となく取り上げ、歌ってもいたのがこの曲だったのです。しまおさんは昨年4月に発表されたアップデート版「Informer」も紹介。オリジナル版はJ-WAVEの1993年年間チャートで11位を記録、米ビルボードソングスチャートでは7週1位を獲得し、1993年の年間チャートで10位を記録する大ヒット曲でした。

これは「Informer」復権の流れでは?と思ったらダディー・ヤンキーが嗅ぎつけた次第(言葉悪いですが)。ダディー・ヤンキーの大胆な引用、スノーのミュージックビデオへの登場も相俟って、いい意味で卑怯ですし、オリジナル版がヒットした当時若かった世代(アラフォーの自分を含む)にはたまらないかも。これ、明日のラジオでしまおさんが紹介してくれないかなと、今から気になっています。

バックストリート・ボーイズ、『DNA』よりも過去曲が話題に? チャートアクションから違和感を覚える

最新2月4日付、ビルボードジャパンアルバムチャートではバックストリート・ボーイズによるおよそ5年半ぶりのオリジナルアルバム『DNA』が制しました。

『DNA』はフィジカル(CDセールス)、デジタル(ダウンロード)を共に制しトップに(一方、ルックアップは21位)。そういえばアルバムリリース前に日本でプロモーション活動を行っていましたね。

ラジオ出演も多い中、テレビでは『ミュージックステーション』(テレビ朝日 1月18日放送分)と『スッキリ』(日本テレビ 1月22日放送分)に出演し、共にパフォーマンスを披露。ただ気になるのは、両番組とも2曲ずつ披露しながら、全曲が異なる点。『DNA』収録曲では前者が「Don't Go Breaking My Heart」、後者が「Chances」とバラバラ。

そして各番組で披露されたもう1曲。こちらもバラバラですが共に過去曲であり、いずれもベストアルバム『The Hits - Chapter One (邦題:グレイテスト・ヒッツ - チャプター・ワン)』(2001)に収録。

その結果、オリジナルアルバムのみならずベストアルバムも17位に上昇する結果に。それはそれで素晴らしいのですが、ソングスチャートでどうなったかというと、2月4日付ビルボードジャパンソングスチャートでは最新曲を過去曲が凌駕してしまうという結果が起きてしまっているのです。CHART insightにおいて、一番右側が最新週における各指標毎の順位となります。

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ラジオでは「Chances」がきちんとかかっておりラジオエアプレイ指標で7位を獲得していますが、同曲の総合ポイントはラジオ以外で全体の2割強しか獲れず、しかも動画再生指標はほぼカウントされていないのです。同曲を披露した『スッキリ』の放送日は2月4日付チャートの集計期間内に当たるのですが、番組視聴者にパフォーマンス視聴→動画再生(これは単曲でのデジタルダウンロードやストリーミングにも該当)という流れが生まれなかったのか、それともそもそもバックストリート・ボーイズのファンがいなかったのか…いずれも推測でしかありませんが、いずれにせよ寂しい数字となりました。他方、集計期間前に『ミュージックステーション』で披露された「I Want It That Way」は、総合ポイントにおける動画再生指標のシェアが1割以上に。ドラマ『彼女たちの時代』(1999 フジテレビ)に用いられたこともあって認知度が高いとはいえ、動画再生でも、そして総合チャートでも【過去曲>新曲】となり、オリジナルアルバムの認知度拡大というプロモーション来日目的の結果がこれか…と考えさせられます。

 

邪推と言われればそれまでですが、過去曲をVTRで紹介して終わらせるのではなく、実際に披露しないと最新曲を紹介してもらえない約束でもあるのでしょうか。彼らの今の音楽性がアルバムチャートで首位という形で反映されたのは嬉しいですが、広くメディアや市井のみならず、仮に彼らが過去曲の披露を好ましく思っていなかったならばそれを強いたことになるレコード会社にも当てはまるかもしれませんが、日本人の多くが保守的な体質を持ち合わせすぎているのでは…?と疑念を抱いてしまう自分がいます。

ラジオ特集に向けて、あなたの”モヤモヤソング”教えてください

明日の担当ラジオ番組、『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時。サイマル放送で全国どこからでも聴取可能です。詳細はこちら)。弘前大学ラジオサークル2年の磯野ふさえさん(注:番組特有の”海鮮ネーム”です)発案による、【モヤモヤソング】を特集します。この番組で時折行うスタッフ持ち込み特集、歌手に特化したものが多い中で”概念”な特集は珍しいのですが、前回の持ち込み特集が声のきれいなアーティストという主観的なものだったので(且つオチ?がクリスタルキング「大都会」で、彼女の年齡とのギャップに驚くなど)、こういう視点は面白いと感じています。貴重な逸材です。

ふさえさんにモヤモヤの定義を聞くと、”歌詞がグダグダ、ネガティブだったり、サウンドがフワフワ…”ということで、かなり広義。ふさえさん、そしてスタッフから集めた曲を明日お送りするのですが、リスナーの皆さんからの【モヤモヤソング】を是非教えていただきたいと思います(し、ラジオを聴けなかった方は後日でもこのブログエントリーにコメントを残していただけたならば嬉しいです)。いろんな発見がありそうで楽しみです。

 

さてここでは、一足早く自分のセレクト…のヒントを。どうも選出基準が他のスタッフとは異なるんですよね。たとえば。

 

宇多田ヒカルAddicted To You (UNDERWATER MIX)」(1999)

R&Bプロデューサーチームのジミー・ジャム&テリー・ルイスとタッグを組んだ初の作品。2つのバージョンが収録されましたが、ブランディ&モニカ「The Boy Is Mine」を手掛けたロドニー・ジャーキンス(後に宇多田ヒカルさんと「タイム・リミット」(2000)で組むことに)が当時得意とした上モノ使いと、当時徐々その名が知られていったティンバランド印の”チキチキ”を組み合わせたUP-IN-HEAVEN MIXがメインに。UNDERWATER MIXはジャム&ルイスとのコンビで大ヒットを連発したジャネット・ジャクソンによる「That's The Way Love Goes」(1993)をアップデートさせたような内容でメロウ好きにはたまらなかったのですが、結果的にこのバージョンがシングルのみの収録にとどまったことにモヤモヤした次第。

 

Perfume「If you wanna」(2017)

こちらは翌年リリースのアルバム『Future Pop』に収録されたシングル。先月放送の『ジェーン・スー 生活は踊る』(TBSラジオ 月-金曜11時)で音楽ジャーナリストの高橋芳朗氏が、先に取り上げた宇多田ヒカルさんの最新曲でスクリレックスと共に手掛けた「Face My Fears」(2019)にて用いられたフューチャーベースを紹介する際、この曲を取り上げています。

高橋芳朗さんの紹介に付け加えるならば、3分に満たない尺の短さもまた、現在の洋楽のトレンドを意識したものでしょう。個人的に一昨年の私的邦楽ベストにも選んだほど気に入っているのですが、たとえばチャート上だったり、また同年の『NHK紅白歌合戦』だったりで目立ったのはその前のシングル「TOKYO GIRL」(2017)であり、「If you wanna」は霞む印象が。「TOKYO GIRL」もEDM的な盛り上がりはあれど、盛り上がった後にJ-Pop的なサビに着地するわけで、それはそれで好みではあるのですが、より斬新なほうにもっと注目が集まってもいいのに…と思うなど。で、モヤモヤなのです。

 

 

明日のラジオで紹介する予定の自分セレクトの楽曲はこの2曲に似た流れであり、つまりは”なんで自分の好きなほうが目立たないの…!?”という、大げさに書くならば心の叫びの吐露。20年前の名曲を取り上げる予定です。自分のモヤモヤ、言い換えれば【イライラ】かもしれませんね。

嵐は次週のビルボードジャパンソングスチャートトップ10入りは難しい? ならば嵐版”ブリ活”を提案します

弊ブログではビルボードジャパンとオリコンを比較し、ビルボードジャパンがはるかに社会的ヒットの鑑になっていることを伝えています。オリコンは今年度よりシングル合算ランキングをはじめてはいますが、その内容があくまでシングルCD主体であること、またチャートを紹介出来にくい、いや”してはいけない”とも思わせかねない姿勢に疑問を覚えています。

そのオリコンの合算ランキングがスタートするタイミングで、もしかしたらジャニーズ事務所所属歌手の作品群がデジタルに明るくなると思っていたのですが。

結果的にそれが叶わないまま、今に至ります。

 

さて、1月27日日曜夕方に突如飛び込んできたのが、アイドルグループ嵐の活動休止。嵐については長らく事務所でも、いや男性アイドル全体でもトップランナーであり、報道量や熱の凄さは多くの方が知る通り。日曜19時台のNHKラジオニュースのトップまでもが、会見前にもかかわらずその報道だったわけです。

では、この活動休止が、弊ブログで定点観測するビルボードジャパンソングスチャートに反映されるか、トップ10入りなるか…昨日、ビルボードジャパンのシングルCDセールス(月~水曜集計分)の速報が発表され、嵐のシングルが複数ランクインし最も売れているシングルの枚数も紹介されているのですが、難しい状況と言えるかもしれません。

さて、1月27日に発表された嵐の活動休止ニュースによる影響が、早速シングルセールスにも表れている。2018年10月24日にリリースされた嵐の最新シングル『君のうた』は前週の約5倍となる2,329枚を売り上げて現在21位についている。他にも『夏疾風』(37位)、『Find The Answer』(49位)、『Doors ~勇気の軌跡~』(56位)、『Monster』(77位)、『Happiness』(84位)、『I seek / Daylight』(90位)が、前週100位圏外から大幅にジャンプアップ。

【先ヨミ】ジャニーズWEST『ホメチギリスト/傷だらけの愛』が約11.2万枚で現在シングル首位、嵐7曲がトップ100内にチャートイン | Daily News | Billboard JAPAN(1月31日付)より

あれだけ大きな話題になるのならば、3日間で2300枚という数値は少なすぎると思うのです。が、無理はありません。

オリコンにおける月曜のシングルCD売上動向を踏まえて書いたのが上記ツイートですが、実店舗であれネットショップであれ、シングルCDの在庫を豊富に抱えているところは少なく(ましてや全作品抱えるところはほぼ皆無でしょう)、店舗数および売場面積の縮小を踏まえれば近年のシングル群の在庫も1、2枚(もしくは過剰在庫分)が限度でしょう。これはレンタルでも同じで、直近のオリジナルアルバムまでに収録されたシングルは中古として捌かれ、ネットレンタルならまだしも実店舗では置かれないと考えるのが自然。ゆえにビルボードジャパンソングスチャートにおけるシングルCDセールス、およびルックアップ(パソコンに取り入れる際のCDデータベースへのアクセス数)の両指標が伸びにくいことは想像に難くありません。

さらに所属事務所の特性上デジタル未解禁ゆえ、デジタルダウンロード・ストリーミング・動画再生の各指標はカウント対象外(ストリーミングでは歌詞検索もカウントされますが、あれだけ大ヒットしている米津玄師「Lemon」もここ数週はストリーミングが300位未満であることから同指標を多く獲得するのは期待薄でしょう)。ゆえに嵐においては数値が伸びにくいとはいえど先述したシングルCDセールス、ルックアップ、そしてラジオエアプレイ、カラオケおよびTwitterで稼ぐ必要があります。ラジオエアプレイはマスの数値が決まっている、またファンがこぞって嵐の曲を歌うという行動が極端に上昇しない限りは、Twitterがチャート上昇の鍵となります。

(ちなみに「君のうた」は前週400枚台売れていたとみられ、その週を集計期間とする2月4日付ビルボードジャパンシングルCDセールスチャートでは85位に入っていますが、複合指標による同日付ビルボードジャパンソングスチャートにはランクインしていません。「君のうた」のCHARTinsightはこちらに。)

そのTwitter上昇の鍵に大きく作用するのが今日の『ミュージックステーション』出演でしょう。

2月1日に放送される『ミュージックステーション3時間スペシャル』では「感謝カンゲキ雨嵐」と「君のうた」が披露されることが発表されており、活動休止会見から初めてとなる生パフォーマンスに高い注目が集まっていることから、今後のチャートアクションに大きく反映されることが予想される。

【先ヨミ】ジャニーズWEST『ホメチギリスト/傷だらけの愛』が約11.2万枚で現在シングル首位、嵐7曲がトップ100内にチャートイン | Daily News | Billboard JAPAN(1月31日付)より

「君のうた」は直近のシングルでありフィジカルに関連した2指標での伸びも他のシングルに比べれば期待出来ますが、「感謝カンゲキ雨嵐」は19年前のシングルでありシングルでのCD調達は難しいでしょう。ならばファンが中心となってTwitterで盛り上げることがチャートを押し上げる力となります(その際はひとつのツイートに歌手名と曲名の双方を入れることを忘れずに)。実際、三浦大知さんが最新シングル「Blizzard」で”ブリ活”なるTwitter活動をファン主体で実行し、ビルボードジャパンソングスチャートで自身初の6週連続トップ10入りを達成しています。これはこれまでのシングル群での弱さを強さに変えたことで得られた金星といえます。

嵐のファンの多さ、また視聴率以上に『ミュージックステーション』のSNSのつぶやきが多いことを踏まえれば、”ブリ活”の嵐版を実施すれば、ともすればTwitter指標だけで1000ポイントは稼ぎ出し、「君のうた」がトップ10入りする可能性も見えてくるでしょう。

 

 

そこまでチャートに躍起になる必要はないとか、チャートはひとつの指標でしかない等と言われればそれまでです。が、たとえば嵐のメンバーが単独で3年連続司会を務める(個人的には2016年の段階で既に、2020年まで5年連続で順番に司会を担当するものとみていましたが)『NHK紅白歌合戦』(NHK総合等)の人選は明らかに、オリコンよりもビルボードジャパンのチャートを参考にしています。シングルCDの売上だけで社会的なヒットを見極めようとすればDA PUMP「U.S.A.」も星野源「アイデア」もヒットしたとは言えず、ビルボードジャパンが社会的なヒットの、そして社会の流行や世相の鑑になっているといえるのですが、にもかかわらず活動休止発表以降多くの方がその動向を注目する嵐がチャートで反映されないというのはどうなのだろう…そう思うのは自分だけでしょうか。ストリーミングとまではいかないまでも、仮にデジタルダウンロードが解禁されていたならば、「感謝カンゲキ雨嵐」もまたデビュー曲の「A・RA・SHI」(1999)もチャートインしたでしょうし、「君のうた」は間違いなくトップ10入りしたはず。そう考えると、至極勿体無いと思うのです。

まずは嵐の凄さをチャートにも刻むべく、ファンが中心となってTwitter活動を行うことを希望します。その上で、デジタル解禁の是非について考えていただきたいと願います。デジタル解禁するとCDが売れなくなりシングルCDセールスだけのチャートでも立ち位置が危うい…そんな声もあるかもしれませんが、特にアイドルファンにおいてはシングルCDをグッズの側面としても捉えるゆえ、シングルCD購入をやめてダウンロードに移行する人は少ないと思いますし、むしろライトなファンが楽曲の良さに惹かれて購入することから全体的にはむしろ伸びると思うのですが。

中村佳穂、King Gnu…ビルボードジャパンチャートにおける『関ジャム 完全燃SHOW』の影響力を見る

1月21日~27日を集計期間とする2月4日付チャートが昨日発表されたビルボードジャパン。ソングスチャートでは米津玄師「Lemon」が5週連続、通算7週目の首位を獲得しました。

”紅白”効果が未だ残りつつ、緩やかにダウンする傾向は否めず。

特に、シングルCDセールス指標に特化しすぎずデジタル等他指標にも強い歌手(それこそ、ビルボードジャパンの記事でも言及されている欅坂46等)がシングルを出すタイミングで大きく入れ替わるでしょうが、それまでは下降しつつも「Lemon」はしばらくトップ10内に在籍する予感がします。

 

さて、今週はアルバムチャートをチェック。というのもこんな嬉しい出来事が。

これは明らかに『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日 日曜23時10分)効果。

1月20日に放送されたテレビ朝日系『関ジャム 完全燃SHOW』の名物企画「売れっ子音楽プロデューサーが選ぶ2018年の年間ベスト10」で、蔦谷好位置mabanuaがそれぞれ別の曲を選出したことで、本格的に話題に。当週CDセールス47位、ダウンロード11位となり総合26位を獲得、自己最高位を大きく更新するカムバックを果たした。

【ビルボード】バックストリート・ボーイズ『DNA』が総合アルバム首位 中村佳穂『AINOU』が『関ジャム』話題でカムバック | Daily News | Billboard JAPAN(1月30日付)より

総合11位までの作品と各指標毎のランキング、ならびに『AINOU』の動向は下記に。 

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そして蔦谷好位置mabanuaいしわたり淳治各氏が選んだ2018年の年間トップ10はこちらに

放送終了後には日付が1月21日月曜となっており、番組を観て中村佳穂さんに、『AINOU』に惹かれた方が購入した分が1週間フルでカウントされ、アルバムの急上昇に反映された形。『AINOU』はストリーミングでも解禁されていますが、ビルボードジャパンのアルバムチャートではストリーミング指標はカウント対象外のため、仮に対象であったならばもう少し上位に来たのではと推測します。

そしてこの動きはソングスチャートへも。『関ジャム 完全燃SHOW』では2曲が選ばれたことで逆に票割れを起こしたかもしれず、ミュージックビデオが公開されている「きっとね!」は今週も100位以内に入ることは出来ませんでした。が。 

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これまで一度も300位以内に入っていなかったデジタルダウンロード指標が急伸。同指標100位以内とはいきませんでしたが数字を伸ばしています。ラジオエアプレイも一定数、またTwitterもカウントされていますが、デジタルダウンロードの加算は大きいですね。

 

弊ブログではこれまで何度か、中村佳穂さんの「きっとね!」および『AINOU』について取り上げてきました。

仮に、『関ジャム 完全燃SHOW』が昨年末の発表で、インフルエンサーたる米津玄師さんの推薦も同時期だったならば(そのためには「きっとね!」のミュージックビデオが年末に解禁される必要があったのかもしれませんが)、複数の指標で同時に100位以内に入り総合でも100位以内にチャートインした可能性があったのかもしれませんが、それはたらればの話。今は少しずつでも名盤『AINOU』が多くの方に広まることを願うばかりです。ただ、前にも米津玄師さん推薦のタイミングで書きましたが、ラジオが『関ジャム 完全燃SHOW』後に”最初に推薦したのはラジオだ”との自負で再度エアプレイしてくれたならば、ラジオへの信頼も上がっただろうに…と思うと勿体無いなと思うなど。

 

番組でトップ10に選出された曲で他にも似た動きが。たとえば蔦谷好位置さんが6位に選んだKing Gnu「Prayer X」は2月4日付のビルボードジャパンデジタルダウンロードソングスチャートで83位に再登場。前週アルバムチャートに初登場し、「Prayer X」も収録された『Sympa』は4→10位となりましたが、アルバムのCHART insight(1→2週目)を見るとCDセールスよりデジタルダウンロードの下降が緩やかであり、おそらく番組を観て即座にデジタルで購入したであろう方の購買行動が見えてきます。

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このように、『関ジャム 完全燃SHOW』の影響力は小さくないということが中村佳穂さんやKing Gnuから感じられます。番組がこのような購買行動とチャートアクションについて、そしてビルボードジャパンというチャートについて特集してくれたならば面白いと思うのですが…如何でしょうか。

米ゴスペルソングスチャート、次週は首位交代? カーク・フランクリンの新曲が発表

最新2月2日付の米ビルボードゴスペルソングスチャートではトリー・ケリー feat. カーク・フランクリン「Never Alone」が4連覇を達成。前週同様、ライバルだったコリン・ホーソーン「Won't He Do It」(今週2位)が赤丸付いていないため、しばらくは「Never Alone」の独壇場になるのでは…と思われていました。が、次週はその首位の座が入れ替わる予感がします。しかもトリーの共演者に。

・カーク・フランクリン「Love Theory」(2019)

1月25日金曜に突如リリース。次週2月9日付のチャートはデジタル2指標(デジタルダウンロードおよびストリーミング)が1月25日からの1週間を集計期間となるため、同日付チャートでトップに立つ可能性があります。となると、同チャートでカークが初登場で首位発進となるのは「Wanna Be Happy?」(2015年9月19日付)以来ですね。

「Love Theory」に関してはカーク自ら、”購入してツイートしよう”キャンペーンを行っています。

この曲のチャート1位を狙ったキャンペーンというよりは、カーク・フランクリンが主催する5月のゴスペルフェスティバルの宣伝も兼ねている模様。

これ、ゴスペルファンにはたまらないラインナップだと思うんですよね。ゴスペルで販売促進キャンペーンというのは個人的にあまり聞いたことがないのですが、チャンス・ザ・ラッパーやファレル・ウィリアムス等と組み聖俗様々な世界を知るカークには普通というか、それで素晴らしい曲が浸透するならば好いことだと考えているのかもしれません。

 

「Love Theory」は、フェス用のアンセムとしてのシングルという位置づけかもしれませんが、「Wanna Be Happy?」のリリースから1ヶ月半後にアルバム『Losing My Religion』(2015)を発売したことを踏まえれば、来るべきアルバムは既に完成しているのかもしれません。カーク自身寡作の人(リリースペースは3年~4年に1作)ですが、そろそろ本格的に動く時期かもしれず、期待する自分がいます。