イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

星野源「恋」がビルボードジャパンチャートで再浮上、しかしもう少し伸びなかったのかと思うその原因

最新5月15日付のビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)において、星野源「恋」が前週の12位から7位に再浮上、トップ10内に返り咲きました。

ロングヒットといえば星野源「恋」。こちらは動画1位、ダウンロード9位、ルックアップ5位と、3指標のポイントが牽引する形で総合7位と、前週12位からトップ10圏内に返り咲きを果たした。

【ビルボード】V6「COLORS」初登場で総合首位 ダウンロードが急伸しバンプ「リボン」は総合2位 | Daily News | Billboard JAPAN(5月10日付)より

総合ポイント数は4828。前週が3864だったため、1000ポイント近くも急伸した形です。各指標毎の順位を見ると動画再生回数は変わらず1位ですがその他の指標がいずれも上昇。PCによるCD読取数は6→5位、Twitterで歌手と曲名の両方をツイートした回数は19→12位、CDセールスやデジタルダウンロード、ストリーミングの合算では25→16位、そしてラジオエアプレイでも61→51位となっており、それらが総合チャートでの押し上げにつながった形となりました。これは今週月曜に自分が指摘した予想が当たった形に。

エントリーにて上昇の要因として取り上げた『おげんさんといっしょ』(NHK総合 5月4日放送)が主にネットにて爆発的な反響となっているのです。

番組放送中のツイート数およびツイートした人数は星野さんが出演した『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の最終回より多く、またその高いツイート数の理由を『制作者と星野源自身によるソーシャルメディアの上手な活用』(記事より)にあるとして分析しています。たしかにこの番組、放送日の1時間ほど前からTwitterでトレンド入りを果たしていたはずで非常に珍しい事象だと思っていたのですが、『星野源が自身でクロスメディア的なプロモーションを行なっていること』『彼のツイッターアカウントを軸に、ラジオとテレビの間を行き来』(いずれも記事より)したことが功を奏し、放送前からの爆発につながったのかもしれません。そして放送の高い満足度がYouTubeでの視聴等にもつながったと考えるのは自然であり、ビルボードジャパンソングスチャートの再浮上も納得出来ます。

 

 

とはいえ、そこまでTwitterで爆発したのであるならば、チャートのTwitter指標が12位というのはちょっと低すぎるなという印象があります。

 

Twitter指標にてカウント対象となるのは『楽曲とアーティスト名のツイート回数』(Google Play Musicの再生数がBillboard JAPANチャートに合算スタート | Daily News | Billboard JAPAN(2月8日付)より)であり、もっと細かく見ると。

データ計測で最も信頼出来るのは、日本唯一のTwitterデータ再販パートナーとして、膨大なデータ全ての提供を受ける株式会社NTTデータでした。 そこで問題になったのは抽出のアプローチです。

ツイート全体から楽曲名だと、重複楽曲名を識別出来ず、アーティスト名だけだと楽曲チャートに加えるロジックが有りません(実際やってみました)。そこで、楽曲とアーティスト名共に全文/部分一致しているツイートのみを抽出することにしました。以前の方法よりも抽出総数は減りましたが、類推や作為が入らないためにはこれが一番だったのです。

Japan Hot100がリニューアル | Special | Billboard JAPANより

上記リンクにおけるリニューアルのタイミングは2013年のものですが、Twitter指標のポリシー自体は現在までに変わっていないものと考えます。つまり1回のツイートに"星野源"+"恋"の両方がきちんと入っていないと(部分一致ならば"星野"or"源"+"恋")カウント対象にならないということ。番組放送中またはその前後でTwitterが爆発していたにもかかわらずチャートのTwitter指標で順位をさらに上げることが出来なかったのは、もしかしたら番組実況では"#おげんさん(といっしょ)"+"恋"または"おげんさん"+"恋"の組み合わせによるツイートが多く、それらがカウント対象にならなかったから、なのかもしれません。

とはいえ、たとえば番組の中で「恋」が披露された際、"星野源の「恋」がはじまった"とつぶやくのはちょっと回りくどく、"「恋」がはじまった #おげんさんといっしょ"と書いた方が自然だと言えるでしょう。とはいえ、あまりに多くのツイート数が発生しながらTwitter指標がそこまでの伸びを示さなかったのは個人的には勿体無いなと思うのです。星野さんサイドがクロスメディア的なプロモーションを徹底されていたのだとしたら、ビルボードジャパンにチャート反映されるようなつぶやき方法も伝授して欲しかったなと思っています。

畠山美由紀×冨田恵一、9月発売予定のアルバムへの淡くも強い期待

ライブリポートを読んで、行かなかったことをこれほど悔やんだことはありません。それが、先月末日に開催された、畠山美由紀さんのソロデビュー15周年記念コンサート。

ゲストの堀込泰行さんによる提供曲、「若葉の頃や」を堀込さんと共に歌ったり、青森県の企業、味の加久の屋のいちご煮CMソング「海の恵み」をフルバージョンで披露したり...以前ブログで触れたことのある作品群が披露されたと知り、観られた方が心から羨ましくなりました。

これとは別に以前、初心者向けのお勧め曲を紹介したのですが、そちらにもアクセスが。少しでも彼女のファンが触れるならば嬉しいですね。

このエントリーで触れた、冨田恵一さんプロデュースによる「罌粟」も、今回のコンサートで演奏されています。セットリストは上記、音楽ナタリーの記事に掲載されています。

 

 

今回のコンサートで披露された新曲のひとつ、「会いに行く」は冨田恵一さんによるプロデュース。9月リリース予定のアルバムは全編冨田さんによるプロデュースになると、コンサート後に畠山美由紀さんがゲスト出演したJ-WAVEの番組で明かしていました。「罌粟」等での相性の良さを踏まえれば、間違いなく名作の予感がします。おそらくはそのアルバムにも収録されるであろう「会いに行く」は、畠山さんがDJを務めるラジオ番組『Travelin' Light』(Fm yokohama 土曜11時)の最新回でも披露されていますので、radikoタイムフリーで是非確認してみてください。radikoタイムフリーは、首都圏以外の方は有料会員の方のみ聴くことが出来ます。

(5月13日11時まで聴取可能。「会いに行く」は5月6日11時22分26秒よりOA。)

 

ちなみに、コンサートで「罌粟」と共に披露された「真夏の湿原」もまた冨田恵一さんによるプロデュース作品。共に『Wild and Gentle』に収録されていますのでこちらもどうぞ。アルバムが届くまで、冨田さんプロデュースによる楽曲群を聴きながら心待ちにしたいと思います。

ちなみに、冨田恵一さんの歌手名義、"冨田ラボ"に畠山美由紀さんが客演参加した「耐え難くも甘い季節」。こちらも素晴らしいです。冨田さんがバンマスにもかかわらずコンサートで披露されなかったことが意外でしたが。こちらは2003年のアルバム、『Shipbuilding』に収録されています。

米ソングスチャート、DJキャレド等による「I'm The One」がナンバーワンに

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の5月8日月曜(日本時間の火曜早朝)に発表された、5月20日付最新チャート。先週ケンドリック・ラマー「Humble.」から首位の座を奪ったブルーノ・マーズ「That's What I Like」が早くも陥落。代わりに1位に上り詰めたのは、DJキャレド率いるオールスターによる作品、「I'm The One」でした。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

 

ブルーノ・マーズ「That's What I Like」は遂にラジオエアプレイでエド・シーラン「Shape Of You」に代わって首位の座を射止めたのですが、総合で2週連続の首位とはなりませんでした。米ビルボードソングスチャート史上28曲目となる初登場1位を果たした、DJキャレド feat. ジャスティン・ビーバー、クエヴォ、チャンス・ザ・ラッパー、リル・ウェイン「I'm The One」の勢いたるや...恥ずかしながら、個人的には完全ノーマークでした。

「I'm The One」の強さはなんといってもデジタルにあり。4月28日に発売等されたこの曲はデジタルダウンロードおよびストリーミングの2指標を制覇。デジタルダウンロードは171000、ストリーミングは5390万回という驚異的な数字を叩き出しています。エアプレイは3500万回で33位という数値ゆえ、デジタル2指標がカバーした形に。とはいえ既にこれだけの数値を出しているのはいい意味で意外です。

 

「I'm The One」の初登場首位獲得によって生まれた記録は様々。主なところを列記すると。

 

・初登場1位:28曲目であり、ヒップホップではエミネム「Not Afraid」(2010年5月22日付)以来。ジャスティン・ビーバーにおいては「What Do You Mean?」(2015年9月19日付)以来2曲目の記録で、複数曲を初登場で1位に送り出したのはマライア・キャリーブリトニー・スピアーズ(「3」「Hold It Against Me」)、に次いで3組目。マライアは唯一、3曲を送り出しています(「Fantasy」「One Sweet Day (with ボーイズIIメン)」「Honey」)。

 

・ビーバー、リル・ウェイン以外は初のNo.1:DJキャレドのこれまでの最高位はドレイクとリック・ロス、そして(今回も客演参加している)リル・ウェインを招いた「I'm The One」(2011)の10位。クエヴォはミーゴスのメンバーとしては「Bad And Boujee」で首位獲得済ですがソロとしてはトラヴィス・スコットと共にドレイクにフィーチャーされた「Portland」(2017)の9位が最高。そしてチャンス・ザ・ラッパーに至ってはこれまで、ジャスティン・ビーバーに招かれた「Confident」(2013)の41位が最高だったわけで、一気に最高位を更新した形に。

 

ジャスティン・ビーバー、アルバム『Purpose』以降の客演仕事で4曲目のトップ5入り:「What Do You Mean?」「Sorry」そして「Love Yourself」という3曲のNo.1ヒットを輩出した『Purpose』(2015)発表以降、客演仕事が飛び込むようになったジャスティン。そして出す曲出す曲大ヒットという流れが生まれています。今回この曲での1位をはじめ、MOと共に参加したメジャー・レイザー「Cold Water」(2位)、DJスネイク「Let Me Love You」(4位)、そしてこちらも現在ものすごく勢いがある、ルイス・フォンシ&ダディー・ヤンキーとの「Despacito」(3位)という4曲が客演仕事でトップ5入りを果たしています。

「Despacito」をみてみると、最新チャートにおいてデジタルダウンロードで10万を売り上げていますが、そのうち7割がジャスティン参加のリミックス版とのことですから、如何にジャスティン人気が高いかが解ります。ストリーミングでも4800万回、ラジオエアプレイでは18位ながら前週比30%もの大幅アップ。次の台風の目と言えるでしょう。

 

・5組参加曲での1位は史上初:4組でクレジットされた曲では2曲が1位を経験済。ピットブル feat. ニーヨ、アフロジャック、ネイヤー「Give Me Everything」(2011)、そしてクリスティーナ・アギレラリル・キム、マイヤ&ピンク「Lady Marmalade」(2001)。後者に関しては最後にほんの少しミッシー・エリオットが登場するので、仮にミッシーをクレジットに入れていれば...とふと。今更ですが。

 

・クエヴォ、グループ・ソロ共に同じ年に1位を獲得:クエヴォはミーゴスのメンバーとして「Bad And Boujee」で2017年1月21日付以降3週に渡って1位を獲得。同じ年にグループとソロ双方で首位を獲得したのはブラック・アイド・ピーズとウィル・アイ・アム。前者は「Imma Be」(2010年3月6日付)、後者はアッシャーに客演参加した「OMG」(2010年5月15日付)で達成。

 

 

…と、主だったところを並べてもとんでもない記録だということが解ります。とりわけジャスティン・ビーバーの人気たるや。無論、他のラッパーの力や人気もさることながら、ジャスティン様様なのかもしれません。

 

さて次週では、5月3日に公開されたエド・シーラン「Galway Girl」や5日に公開されたフューチャー「Mask Off」のミュージックビデオが丸々1週間分、ストリーミング部門に反映されます。少なからずチャートをかき回してくれることでしょう。

星野源「恋」がビルボードジャパンチャートでトップ10から陥落も再浮上するだろう理由

遅ればせながら取り上げるのですが、先週水曜に発表された、5月8日付のビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)において、星野源「恋」が12位に後退。遂にトップ10から陥落してしまいました。

「恋」のチャート推移は下記に。

8月29日付で一度登場し、その後9月19日付で再登場(いずれも100位圏外)。登場6週目となる10月3日付でトップ10入り(9位)を果たして以降、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の大ヒットや『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)等での披露も相俟って大ヒットに。都合31週もの間、それも連続でトップ10をキープしたことになります。

 

さて、この「恋」、再びトップ10内に浮上する可能性を十分に秘めています。それは先週木曜に放送された特番『おげんさんといっしょ』(NHK総合)でこの曲が披露されたゆえ。

記事というよりほぼ実況ではありますが解りやすいので紹介。Twitterでは番組開始前からタイトルが最上位にトレンド入りする等注目を集め、自分の周囲ではこの番組への称賛の声が多く発せられていました。現に、自分が関わるラジオ番組の大学生スタッフが放送直後に細野晴臣さんのCDを借りに行くほど、その影響力は大。となると、チャート構成指標である【ツイート】や【YouTubeの再生回数】、【販売やストリーミング】および【(購入やレンタルに基づく)CDのPCへの読み込み】が上昇し、結果として明後日発表される5月15日付チャートでトップ10への再浮上が期待出来るのではないかというのが私見です。

 

 

今回の特別番組についてはおそらくは偶然このタイミングでの放送だったゆえ、「恋」のランクアップを狙ったということはほとんど考えにくいでしょう。とはいえ、アメリカのビルボードチャートを調べると、"どのタイミングで仕掛けてくるか"が見えてきて非常に面白いのです。直近のチャートでブルーノ・マーズ「That's What I Like」が制したのはリミックスのリリースおよびストリーミング開始ゆえのこと。

また、同じく直近のチャートで5位のFuture「Mask Off」については先週金曜にミュージックビデオが公開。ストリーミングおよびデジタルダウンロードの対象期間は金曜から翌週木曜ゆえ、YouTubeでの再生に伴うストリーミングの上昇が1週間分丸々チャートに反映されるわけです。

ミュージックビデオは、最近のチャートイン曲では作られていない(用意が遅れている)ことが少なくないですが、おそらくヒットの速さにビデオ公開はおろか制作自体が追いついていないのかもしれません(ゆえに、リリックビデオの存在はメインのビデオを公開するまでの穴埋めとしても重宝されているのではないかと)。そして公開のタイミングを金曜にする等を施すことで、チャートにより高く影響するよう仕掛けているように思います。

他にもチャートへの仕掛けとしては【デジタルダウンロードを69セントで安価販売】などが挙げられますし、初登場時のインパクトをより大きくする場合には【有名音楽賞やスポーツイベントの中継の際のCMで初披露】や【突如デジタルダウンロードやストリーミングを解禁】といったものが挙げられます。これらはいずれも、売り出したい楽曲がより上位に行って欲しいという思い、動機ゆえの戦略であり、チャートがそれだけ世間の注目の、ヒットの鑑であることを意味しています。

 

翻って日本では...未だにチャートといえばビルボードジャパンよりオリコンという風潮があるでしょう。が、昨年の世間のヒット曲のアンケートを見ても、ヒットの鑑が【オリコンビルボードジャパン】であることは以前のエントリーで明確に示させていただいております。

今後メディアには、持ち合わせているであろうしがらみ(その一要素については最近のエントリー、極私的、"Mステに出て欲しい"男性歌手4組と出演の現実味(5月6日付)で示しています)を早く自らの手で脱し、ビルボードジャパンチャートを紹介するようにしてほしいと切に願います。ビルボードジャパンチャートの存在が浸透し、より信憑性があると認知されれば、米チャートと同様に日本でも今後は様々な"仕掛け"が出て来ることでしょう。その動きは、私達にとっても音楽業界やマーケティングを学ぶ良い教材となりますし、チャートを多角的に見る(診る)意味でも非常に面白いと思いますよ。

CDリリースイベントで多用される弘前市ヒロロへの願い

昨日はこのようなエントリーを記載しました。

取り上げた歌手のうち、SKY-HIとDa-iCEが青森で発売記念イベントを開催。それも共に5月28日というのですから驚きです。SKY-HIは現段階で詳細未定ですが、Da-iCEについては弘前市のヒロロにて行う、と先週アナウンスがありました。

Da-iCE ニューシングル「トニカクHEY」発売記念ミニライブ&握手会開催決定@青森 - NEWS | Da-iCE (ダイス) OFFICIAL WEBSITE

6月14日にリリースされるシングル「トニカクHEY」の予約者を対象に、1枚で全員との握手会参加券、2枚で個別握手会参加券がもらえる仕組み。個別握手会参加券では全員握手会に参加出来ないとのことで、推しメンバーが複数いらっしゃる方には悩ましいのでは。個人的にはシングルCDセールスにおける(実際には何人の方が購入したかを示す)ユニークユーザー数が見えにくいという意味でこういった販売手法はあまり好ましい方策とは思えないのですが、それはアイドルを中心にほとんどの歌手が行っていること。仮に自分の意見がまかり通り、全ての作品が1種発売且つひとり1枚のみ購入というルールがイベント内外にかかわらず徹底されたならば、今すぐにでも音楽業界は滅びかねないゆえ、その点には寛容にならざるを得ません。

 

しかし、個人的に無視出来なかったのが、上記開催決定案内において『ご予約された商品の受け取りは、2017年6月14日(水)以降に、未来屋書店ヒロロへお越しください』という一文でした。フライングゲットが出来ないという問題もありますが、ヒロロにある未来屋書店では、そもそもCDを販売していないのです。

未来屋書店|ショップリスト|ヒロロ(HIRORO)弘前駅前ショッピングモール&公共施設

これでは、Da-iCEの過去作はおろか、Da-iCEの関連歌手等の商品をついで買いする需要喚起が見込めません。これは機会損失といえるのではないでしょうか。

 

さて、弘前市の新品CD購入環境については以前掲載しています。

2年前の段階で新品CDの取扱を終了していたメディアイン2店舗が、親会社の清算により閉店(弘前市のレンタル店、メディアイン2店舗閉店...その最終日(2015年7月1日付)より)、CDをレンタル出来る環境まで減ってしまいました。特に弘前駅前の現状は酷く、駅を起点に行動する高校生等には、弘前の音楽環境はとても豊潤とは言えません。そんな中で最近ではヒロロが、3階のイベントスペースをほぼワンフロア自由に使えるという空間のメリットを活かし、EXILEのメンバーやはるな愛さん、昨年は森山直太朗さん等、様々な歌手やタレントを招聘しています。それは素晴らしいことですし自分も森山直太朗さんのイベントで感動した身ではあるのですが(森山直太朗の生歌に圧倒される(2016年9月11日付)より)、その際もインストアライブのみならず、CD予約者向けの特別イベントが用意されていました。つまり、CD購入を前提とした催しとなっているわけです。

ならば、ヒロロ側がCDショップを展開させるという考えになぜ至れないのか、疑問をいだいてしまうのです。CD自体のニーズは減少しているのは重々承知で、それでもこのようなイベントを積極的に展開するのはともすれば矛盾だと考える自分がいます。新規出店を望まずとも、たとえば未来屋書店のほんの一角、売れ筋のみでもいいので(それこそCDセールスが見込めるアイドル等を主体とした取り揃えでも可。市内の別店舗と差別化を図ることが出来ます)、CDコーナーを作るなりしていただきたいものですが如何でしょう。火曜日等のフラゲ日にヒロロに立ち寄るという動機も生まれますし、イベント開催時により大きなメリットが店舗ならびにヒロロ自体にも生じると思うのですが。今のままではなんだか寂しいと思ってしまう自分がいます。

(訂正あり) 極私的、"Mステに出て欲しい"男性歌手4組と出演の現実味

(※追記(2021年6月24日8時21分):漢字の誤りについて、訂正を行いました。)

 

 

 

ミュージックステーション』(テレビ朝日系 金曜20時 以下"Mステ")の前回放送(4月28日)の際、次回出演者の欄にジャニーズ事務所所属歌手がいなかったのですが、その枠に今回は東京B少年というグループが。検索しても公式ホームページがない状態ゆえ新ユニットであることは間違いないでしょう。これまでもCDデビュー前からのMステ出演はよくあることでしたが、今回のように追加発表ではじめてジャニーズ事務所所属歌手の出演がアナウンスされるというのは異例ではないかと。尤もこの時期に、事務所の他の歌手によるリリース作品がないゆえの出演かもしれないのですが。

これで解ったことは、Mステとジャニーズ事務所との強固なつながり。それを決して否定しているつもりはないのですが、しかしながらそれによって、出演したくても出来ない歌手がいるように思えてならないのです。

Mステに限らず、ジャニーズ事務所所属歌手とライバルになるであろう歌手の出演が叶っていない事態を憂い、上記エントリーを掲載したのは2年前。昨年、三浦大知さんがMステに出演したことで事態はわずかながら、でも確実に変わりつつあることは感じていますが、それでもなお出演出来ていない方は少なくありません。アイドルグループの方や元ジャニーズ事務所所属歌手の方も含まれますが、今回はあくまで個人的に出演して欲しいと願う実力派男性歌手を4組取り上げ、その出演の可能性を考えてみます。

 

 

●出演可能性 Aランク:ぼくのりりっくのぼうよみ

CDセールス面では今回取り上げる他の歌手より少ないかもしれませんが、全国ツアーの完走や相次ぐフェスの出演等で実力を磨き、また今年に入ってからは映画『3月のライオン (前編)』主題歌や資生堂アネッサCMソングという大型タイアップに曲提供。後者、「SKY's the limit」に関しては今月24日にCDがリリースされるため(先行配信中)、そのタイミングでの出演が有り得そう。なにより関ジャニ∞と既に共演済であり(関ジャニ∞×ぼくりり、『関ジャム 完全燃SHOW』の華麗なるセッションを観た! | ロッキング・オンの音楽情報サイト RO69(3月6日付)より)、ジャニーズ事務所所属歌手との共演に支障がないように思われます。

 

●出演可能性 Bランク:SKY-HI

AAA日高光啓さんのラッパーでの名義がSKY-HI。アルバム『OLIVE』(2017)を引っさげて今月、日本武道館2デイズを成功、さらに今月31日にはニューシングル「Silly Game」をCDリリースへとどんどんステップアップしています。現在のヒップホップムーブメントのきっかけの一つである『フリースタイルダンジョン』にテーマソングを、またAAAとしては話題となった今冬のドラマ『奪い愛、冬』に主題歌を提供し、共に放送元であるテレビ朝日との強固なつながりがあるのみならず、Mステには昨年AAAとして6年ぶりに出演し、今年も『奪い愛、冬』の主題歌「MAGIC」で出演。ただ、グループで出演出来てもソロでは...という場合もあるものの(その逆もあり)、最早"アイドルがヒップホップだなんて..."と揶揄されないまでの高い地位に自ら上り詰めただけに、これ以上世間が無視してはいけないと思います。新曲のミュージックビデオが現段階で公開されていないので、昨年末のシングル「Double Down」を下記に。ちなみに今月のフェスでぼくのりりっくのぼうよみと共演済。

 

●出演可能性 Cランク:Da-iCE

ダンス&ボーカルユニットとしてこちらも今年1月に日本武道館公演を成功させた5人組。たとえば青森公演においても、昨年千人弱だった会場のキャパシティが今年は倍になるなど、確実に勢いを増しています。6月14日にリリースされるニューシングル、「トニカクHEY」のリリックビデオが既に公開されていますが、顔面偏差値の高さだけではない、歌唱力も一級品であることはこれだけでも十分伝わってきます(顔やダンスを排したビデオなら尚の事、集中して聴くことが出来ますね)。こちらも、昨年リリースのアルバム『EVERY SEASON』(2016)収録曲「SUPER FICTION」にてSKY-HIと共演済。

 

●出演可能性 Dランク:w-inds.

ここでは何度か、彼らの素晴らしい音楽性に触れているのみならず、最新アルバム『INVISIBLE』(2017)がタワーレコードのフリーペーパー『bounce』の新作一覧において巻頭を飾る等、音楽業界からも注目を集めています。

以前のブログエントリーにおける"次のシングル"とは「We Don't Need To Talk Anymore」(2017)のこと。このエントリーがこれまでになく拡散され驚いたのですが、これを機にw-inds.の高い実力が少しでも多くの方に理解してもらえるならばと嬉しくなりました。しかし、好事家等にその実力が浸透し、またはテレビでも深夜番組等でのパフォーマンスがあるものの、音楽番組で最も影響力があるであろうMステで紹介されないのは音楽業界全体の機会損失といっても大袈裟ではないでしょう。橘慶太さんはソロアルバム『声』(2006)からの先行シングル「道標」リリースのタイミングで一度Mステには出演していますがその後はソロ、w-inds.共に出演には至れずじまいなのが悲しい限り。しかし同じ事務所所属の三浦大知さんがMステに出演出来た事実が、極々僅かではあるものの一筋の光になりそうな予感がしています。ちなみに橘慶太さんは、KEITA名義でリリースした「Slide 'n' Step」(2013)のリミックスにSKY-HIを招聘しています。

 

 

思えば、三浦大知さんのMステ出演が叶ったのは、その実力の凄さをMステ側が最早無視出来ず、ジャニーズ事務所への配慮を打破せざるを得なかったほどの衝動に駆られたゆえだと想像しますし、もしかしたら昨年始めの段階で、同局の仮面ライダーシリーズ最新作での主題歌起用が決定済で、放送開始時期から逆算すれば昨年春の段階で出さざるを得なかったという側面もほんの僅かながらあったのかもしれません。ただ、もし彼がソロではなくユニットだったならばと考えると状況が違っていたのでは、と思う時があります。ジャニーズ事務所所属歌手にソロの方が圧倒的に少なく、他事務所でもソロ歌手ならばライバル視されにくい、脅威に思われにくいゆえ出演出来やすいのではないかと。一方で、今回取り上げた4組のうち、ぼくのりりっくのぼうよみ以外はアイドル性が強く(SKY-HIにはその要素が感じられにくいものの、AAAにはアイドル性があるゆえSKY-HIにもそれを求める人は少なからずいらっしゃるでしょう)、後者2組においてはさらにグループであるためジャニーズ事務所所属歌手と立ち位置が被ります。仮に自分たちはアイドルというよりダンス&ボーカルユニットなんだと説明しても世間やファンがアイドル性を強く感じていれば、ジャニーズ事務所側は脅威に感じるはず。そして実際にMステに出演しパフォーマンスすることで、4組との歴然とした実力差(とりわけ歌唱力)が判明することを恐れるでしょう。ゆえにジャニーズ事務所側がおそらくは共演させないというカードを出し続けていると思いますし、Mステ側は過剰なまでに配慮していることは容易に想像出来、それゆえに出演が叶わないという状況が続いているものと捉えています。

 

しかし、w-inds.の欄でも書きましたが、そういう過剰なまでの体制は、今の音楽業界において真の実力者の芽を摘み、圧倒的な機会損失を生むわけです。それはテレビ出演に限らず、どんどん落ち込みが激しくなるシングルCDのセールスのみを対象としたオリコンチャートが未だに厚く支持され続ける構図も同様で、ダウンロードやストリーミング等ネットとの親和性も示すビルボードジャパンの複合ソングスチャートがテレビで紹介されにくいのはネットに未だ懐疑的な態度を示し続けるジャニーズ事務所側への過度な配慮とも言えるかもしれません(尤も、アイドル全体が未だシングルCDセールスに固執している側面がありますし、ビルボードジャパンのチャートで4組が高い位置をキープ出来ているかと問われれば疑問が残ります)。ジャニーズ事務所側が直接Mステ側へ指示したのか、Mステ側が過度な配慮したのか...その真相は解りませんが、おそらくはどちらもあるのだろうと考えます。その方策、いわば(括弧付きの)オトナの対応が出演させないという不条理を徹底させてしまっているわけで、今のネット社会においてそういうオトナの対応が透けて見えてしまっている以上、早く状況を改善していただかないと不信感が生じるのでは?と強く思うのです。その不信感はMステに対してのみならず、ジャニーズ事務所やその所属歌手全体にも蔓延りかねないのではないか、と。

 

と、ここまで書いてきたのですが、そもそも論としてMステに今回取り上げた4組とジャニーズ事務所所属歌手を共に出演させることに何の支障があるというのでしょう。世間的なイメージとは別に個人的な見方を述べるならば、4組はアーティスト、ジャニーズ事務所所属歌手はアイドル。前者は音楽に特化したスペシャリスト、後者はバラエティ等へも進出するジェネラリスト...そう区分すると、両者に実はバッティングは存在しないかもしれないんですよね。

もはや青森での大規模音楽フェス開催は無理なのか?

2週間近く前の話になるのですが、書き記さねばと思いエントリー。

青森で開催されなくなったことは、残念という一言に尽きます。

まさに寝耳に水。半日遅れでこの事を知ったのですが。

厳密には、『問題提起が今回の一因』ではなく、『問題提起したその内容が今回の一因』でした。結構気が動転していたのか、きちんと推敲していなかったのが恥ずかしい限り。

 

 

夏の魔物フェスについては、ボランティアスタッフの中にラジオ番組『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)のスタッフもいますし、また昨年は夏の魔物出演歌手の特集も組ませていただいたほど。この特集については番組後半でボランティアスタッフの代表も登場してくださり、アンオフィシャルな特集企画だったものが最終的には大きな潮流を作れたのではと実感していました。そして自分は昨年のフェスに参戦したのですが、そこで実感したのはこのフェスがごった煮で、あまりに独特過ぎる故に、仮にハマった人がいたならば病みつきになること必至だということ。自分は結果的にファンになり、ゆえに『また来年!』と書き記したんですよね。

昨年どうやらバックアップが付いたことで主に金銭的に余裕が生まれ(申し訳ないのですがこのあたりの記憶は漠然としています)、ゆえに安定した運営が出来るのでは、その点では翌年以降ポジティブに変化するのでは…と考えていたゆえ、今回の川崎移転はとにかく残念。あと1年、実験的に青森で開催し状況を判断しても良かったのではないかと思うのです。主催がついてわずか1年での移転は、正直見放された感も芽生えてしまっています。

 

しかし、夏の魔物フェス側にも移転しないといけない理由があったことでしょう。つまりは青森に”こだわる必要がなくなった”ということ。その理由は何かを考えていくうち、あるフェスの問題に行き着きました。

エントリーを記載したその前年、晩夏に青森市中心部で開催されたフェス、【AOMORI SHOCK ON】についての私見。当初から第二弾は開催されないだろうという前提でこのエントリーについて書きました。

その後、このような文言が掲載されていました。

2015年度の開催について

昨年以上のより良いお祭りとするために、昨年の内容を検証し、皆様から頂いたご意見やご要望を、実行委員会及び関係者にて検討・立案してまいりましたが、本プロジェクトの想いを表現するためには検討時間が足らず、大変悩みましたが断腸の思いで、今年は開催を断念することを決めました。

青森食音「AOMORI SHOCK ON」2014.9.27・28青森港新中央埠頭特設ステージにて開催!トップページより

ブログエントリーの2ヶ月後、2015年7月17日に実行委員長の大嶋憲通氏名義で記載されたこの内容を、実はつい最近知りました。今まで知らなかった自分を恥じたのですが、それより遥かに強い違和感を覚えたのです。遠慮なく書かせていただくならば。

 

まずは、【真剣に検証したのだろうか?】ということ。晩夏開催であり、翌年も開催するのであれば開催後早急に検証すべきだったはず。その上で第二弾の開催が相応しくないと決まればチケットを発売する時期(春頃、遅くても初夏あたりでしょうか)の前にはアナウンスするのが自然です。フェスの継続性を訴えていたのならば尚の事。

【第二弾中止のアナウンスの仕方が不親切では?】とも言えます。もしかしたらテレビやラジオ等のメディアでは第二弾開催中止が発表され、単に自分が知らなかっただけかもしれません。が、SNSにおいてはFacebookでもTwitterでもアナウンスされていません。これでは、不都合な真実を隠していると思われてもおかしくないはずです。実際、FacebookでもTwitterでも開催後の報告がきちんと記載されていないのですから邪推してしまうのは自然のことでしょう。

そして。今回の検討は、実行委員会や関係者と行われたとのこと。特別後援のRAB青森放送をはじめ、後援には青森県は勿論のこと東北の放送局が、協賛には青森県内の企業が参加しています。これら企業に対し、【AOMORI SHOCK ONの失敗が、フェス単体の失敗ではなく”青森でフェスを開催すること自体に魅力がない”と思わせたのではないか?】という懸念を抱いています。昨年の夏の魔物フェスにおけるブースの物足りなさは、これら企業がAOMORI SHOCK ONの失敗を必要以上に悪く捉えてしまったゆえの結果ではないか、もっと言えばAOMORI SHOCK ONがきちんと自身の失敗を検証せずもしくは検証自体が後手後手だったため、しびれを切らした企業側がフェス自体に非協力的になったのではないか…そう考えれば、AOMORI SHOCK ONの"後味の悪さ"は、青森での音楽フェスの可能性を潰してしまったと言っても過言ではないでしょう。

 

 

さて、では青森県に音楽フェスを呼び込むにはどうすればいいかを考えてみたのですが、その前に、”どうしたらAOMORI SHOCK ONや夏の魔物フェスにより多くの人が呼べただろうか?”というそもそも論が自分の頭の中をよぎったわけで。つまりは、AOMORI SHOCK ONがきちんと検証していなかったかもしれない、フェスの反省点...どこかでまとめないといけませんね。