イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

テイラー・スウィフト記録達成週における米ビルボードチャート公開スケジュールへの強い違和感

最新10月18日付米ビルボードソングチャートでは、同日付アルバムチャートで週間最多ユニット数を記録したテイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』の収録曲が12位までを占めています。このことは昨日付エントリーにて紹介しました。

一方で今回の発表の流れに対し、強い違和感を抱いています。それは米ビルボードが、テイラーシフトとも呼ぶべき公開スケジュールを組んだ可能性があるということです。

 

 

ビルボードのチャート公開スケジュールは、日本時間の月曜早朝(現地時間の日曜)にアルバムチャートの、火曜早朝(同月曜)にソングチャートおよびグローバルソングチャートの速報記事を発信し、火曜夕方以降にその全容を公開するという流れとなっています。一方で現地時間の月曜が祝日の場合、その多くにおいてソングチャート速報記事は1日遅れて発信されます。

速報記事の発信には数時間のずれがあるものの、1日遅れるということはほぼありません(ただし1位と2位が僅差の場合は1~2日ずれこむことがあります)。そして米ビルボードにおいてはその遅延について、たとえ1日遅れたとしてもX等で発信しない、また遅れて公開した記事にお詫びを載せないことが大半であり、その点については日頃から不信感を抱いているというのが正直なところです。当週もアナウンスはありませんでした。

 

 

最新10月18日付チャートをみると、2位に圧倒的な差をつけ、週間最多ユニット数を記録したテイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』の首位初登場を伝えるアルバムチャート速報記事は、日本時間の火曜早朝に発信。1日遅くなっています。

一方でソングチャートについてですが、10月第2月曜がコロンブス・デー(コロンブス記念日)として多くの州で祝日になっているにもかかわらず、通常通り日本時間の火曜早朝に発表されています。

日本時間の月曜早朝にアルバムチャート、水曜早朝にソングチャートの速報記事が発表されると見込まれていたものが双方同日発表された形です。これによりテイラー・スウィフトの偉業達成がよりくっきり示されたと捉えていいでしょう。

 

なおこれら記事については、ビルボードジャパンが翻訳し公開しています。ただ通常は公開日(日本時間)の午前10時頃までにアップされる記事翻訳版がアルバムチャートは昨日午前11時台、ソングチャートにおいては同午後1時台に公開されています。

翻訳はすべて本家一成さんが担当されているのですが、おそらく本家さんもこちらが想起していたスケジュール通りに公開されるものと考えていたのではないでしょうか。ビルボードジャパン側の手助けがあったのか、気になるところです。

 

 

さて、米ビルボードにおける当週のチャート発表がイレギュラーになった理由を探るうちに、こちらの記事が出てきました。

上記は本家一成さんではなくビルボードジャパン側が翻訳した記事ですが、元記事の写真をみると気になることがみえてきます。

記事に登場する写真では、テイラー・スウィフトが米ビルボードアルバムチャート首位獲得のボードを持っていますが、しかしチャート発表は先述した通り日本時間の火曜早朝であり、そしてこちらの記事を紹介したXのポストはそこから4時間程度経過したものです。また、英チャート紹介時にはトロフィーを持った歌手が登場することが多い一方、米ビルボードチャートを制した歌手がボードを持つ画はほぼ記憶にありません。

 

 

これらを踏まえ、想起したことを記すならば。

ビルボード側はテイラー・スウィフトのインタビュー記事をその際撮影した写真を添え、チャート発表と同じタイミングで掲載すべく、アルバムチャート速報記事の公開を1日遅らせ、他方ソングチャート速報記事の発信を遅らせることなく発表したのではないでしょうか。邪推と前置きしますが、しかし疑問は拭えません。テイラーやファンダムのためかもしれませんが、自身を目立たせるための施策だったとも捉えています。

 

実際、他の音楽関連サイトでも似たようなことが起きています。

評論家や評論サイト、またユーザーレビューをまとめているAlbum of The Yearのサイトではその週リリースされる作品から9つをピックアップし、リリースのタイミングで”まずどれを聴く?”とXにて尋ねるのが恒例ですが、10月3日リリース分はすべてテイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』となっていました。自分は厳しく批判していますが、他にも”恥を知れ”等の非難が散見されています。

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またShazamでは楽曲検索時にテイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』の画像が登場していました。これは歌手側の施策に因る部分が大きいのかもしれませんが、しかし違和感を抱いた点は否めません。

もっといえば、一部メディアが来年開催のグラミー賞においてテイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』が、対象期間後(それも1ヶ月以上後)のリリースながら最優秀アルバム賞にノミネートされる可能性を報じています。勿論期間対象外となるのですが、それを報じた下記記事のタイトルからは、”ノミネートできたのにしなかった”と受け止められかねないのではと感じています。

 

 

これら仮定が正しいならば、今回採り上げた音楽メディアの動きは自身の客観性を自ら削いでいると考えます。

ましてや、音楽チャートはデータに温度を乗せてはならず、とりわけ客観性や冷静さが求められるはずです。当週における不自然な公開スケジュールも踏まえれば、米ビルボードは音楽チャート管理者としての尊厳を自ら失ったと言っても過言ではないというのが、厳しくも私見です。