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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ビルボードによるグローバルチャートでの米津玄師による記録樹立と、次週の後退予想について

ビルボードによる最新10月11日付グローバルチャート(Global 200、およびGlobal 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.)では、米津玄師「IRIS OUT」がGlobal 200で5位およびGlobal Excl. U.S.で2位をキープ。また米津玄師, 宇多田ヒカル「JANE DOE」がGlobal 200で90→32位、Global Excl. U.S.では30→10位と推移しています。

ビルボードによる最新ソングチャートの記事は(追記あり)【海外ビルボード】HUNTR/X「Golden」が首位キープ、「JANE DOE」がGlobal Excl. U.S.でトップ10入り(10月7日付)にて意訳しています。今回日本の楽曲が初めて、さらに米津玄師さんの楽曲が日本の歌手として初めて、2曲同時にGlobal Excl. U.S.でトップ10入りしたことになります。

 

前週10月4日付グローバルチャートにて米津玄師「IRIS OUT」がトップ10入りしたタイミングで、それまでGlobal Excl. U.S.、もしくはGlobal Excl. U.S.とGlobal 200の双方にてランクインした日本の楽曲を紹介するエントリーを用意していますが(上記表はその際貼付した分に最新チャートの動向を加えたもの)、その際このようなことを記しています。

ビルボードによるグローバルチャート記事においてトップ10入りした曲すべての構成指標における数値は記載されていませんが、過去掲載分を踏まえるにGlobal 200のストリーミング数に対するSpotifyグローバル週間再生回数は5割が平均と捉えています。その中にあって最新10月4日付Global 200で5位を記録した米津玄師「IRIS OUT」のSpotify比率は23.6%となり、YOASOBI「アイドル」の22.4%(2023年5月6日付)、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」の23.7%(2024年3月23日付)と同水準といえます。

この点やYouTubeチャート等を踏まえるに、日本の楽曲はストリーミングサービス(動画を含む)のうちYouTubeで強いことが読み取れると共に、今挙げた3曲はいずれもダウンロード数が大きいことから所有指標もプラスに作用することが解ります。言い換えれば、SpotifyApple Music等で如何に強くなるかが日本の楽曲における今後の課題だというのが、厳しくも私見です。

 

 

※ 米ビルボードによる米やグローバルソングチャートにおいては、ストリーミング指標に動画再生分が含まれます。なおビルボードジャパンソングチャートにおいては、YouTubeは動画再生指標に加算されます(YouTubeのオーディオストリーミングはストリーミング指標に加算)。

米津玄師「IRIS OUT」においては昨日新たな動画が公開され、グローバルチャートのストリーミング指標増強に一役買うものと思われます。一方で、前週のエントリーで述べたようにSpotify等のサービスで如何に強くなるかが、同曲をはじめとする日本の楽曲全体の課題であると言っていいでしょう。

 

 

さて、米ビルボードによる次回10月18日付の米およびグローバルチャートは大きく変貌するとみられています。米津玄師「IRIS OUT」や米津玄師, 宇多田ヒカル「JANE DOE」がトップ10内から後退する可能性は小さくありません。

次週のチャートは10月3日からが集計期間ですが、その初日にリリースされたテイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』収録の12曲が米ソングチャートを占拠するとの予想が登場しています。さらにはそのデラックス盤ともいえる、語りをインタールード的な形で挿入したバージョンが集計期間5日目に登場したことで、その語りパートも楽曲としてソングチャートにランクインするかもしれません。

 

実際、テイラー・スウィフトは前作『The Tortured Poets Department』が米アルバムチャートで首位初登場を果たしたタイミングで、各ソングチャートを占拠しています。

(中略)

 

ビルボードによる2024年5月4日付各種チャートでは、米ソングチャートで14位まで、Global 200では9位までを、そしてGlobal Excl. U.S.ではトップ10のうち6曲をテイラー・スウィフト『The Tortured Poets Department』収録曲が占めています。

テイラー・スウィフトにおいては今作『The Life Of A Showgirl』でも施策を徹底しています。また現時点にてソングチャートにおける上位曲がポイント面で強くないだろうこともあり尚の事、10月18日付各種チャートにてニューアルバムの収録曲が大挙上位を占めることでしょう。

 

一方で『The Tortured Poets Department』の登場2週目となる2024年5月11日付ではテイラー・スウィフトによるトップ10ヒットが米ソングチャートで10→3曲、Global 200で9→3曲、そしてGlobal Excl. U.S.では6→1曲と推移しています。

(中略)

 

この流れを踏まえれば、テイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』の登場2週目における収録曲の後退を見越して新たな施策を投入し、上位に復帰する可能性を高めることが大事といえます。その点にて先述した米津玄師「IRIS OUT」における新たな動画の公開は効果的かもしれず、Spotify等へのアプローチを続けつつも動画を訴求することが必要といえるでしょう。再来週の動向に注目です。