イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

MUSIC AWARDS JAPANにおける”投票行動”を想起する(主要部門の予想も記す)

MUSIC AWARDS JAPANが今週初めて開催されます。授賞式は水曜および木曜に開催され、2日目はNHK総合で生中継。なお月曜には最優秀演歌・歌謡曲 楽曲賞の授賞式が開催されており、今度の日曜日にテレビ東京で放送されます(→こちら)。

今回のブログエントリーでは、”Grand Ceremony”と題した2日目の授賞式にて発表される主要6部門のうち最優秀アジア楽曲賞を除く5部門について予想も行いますが、その”投票行動”が気になるゆえ、今回はそちらの予測をメインに記します。

 

さて、テレビ中継が行われるGrand Ceremonyでは以下の8組がパフォーマンスを行います。

AI、宇多田ヒカル、Awich、Creepy Nutsちゃんみな、藤井 風、Mrs. GREEN APPLE、YOASOBIの 8組のアーティストによるパフォーマンス披露が決定しました。

※パフォーマンスアーティストの皆さまには、最優秀作品/アーティストの受賞と関わらず、ご出演いただきます。

重要なのは、パフォーマンスするからといって受賞するわけではないということ。ブッキングについては『日経エンタテインメント!』6月号にて経緯が紹介されており、ここからも受賞と関係ないことが解ります。主要部門のうち最優秀楽曲賞、最優秀アーティスト賞ならびに最優秀アルバム賞にノミネートされたもののパフォーマンスしないロゼ & ブルーノ・マーズ、Vaundyさんおよび米津玄師さんが選ばれる可能性もあります。

 

 

さて、MUSIC AWARDS JAPANにおいては、”投票行動”に注目しています。

 

MUSIC AWARDS JAPANは”アジア版グラミー賞”とも形容されますが、米グラミー賞には受賞作品や受賞歌手に傾向があります。

グラミー賞では以前からジェンダーや人種のバランスが偏っていると批判されており、グラミー賞は投票会員のバランス是正に努めています。また特に黒人歌手が主要部門に選ばれないということも差別的だ批判され続けてきました。是正を続けたことで、この10年近くではよりヒットしている作品が選ばれるようになってきたという印象があります。また今年はケンドリック・ラマーやビヨンセが主要部門を受賞しています。

他方、MUSIC AWARDS JAPANは今回が初開催ゆえ、”選ばれないのはおかしい”等の理論はまだありません。新設音楽賞の投票会員に関するバランスは開示されていない模様ですが、主催するCEIPAは『エントリー作品に関わるアーティストやクリエイターの皆様で、半数以上の割合となる予定』、投票基準については『音楽的に創造性、芸術性が優れていると思う楽曲/アーティスト』と発信しています(『』内は下記リンク先より)。

世界へ発信する国内最大規模の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」総勢5,000人の投票メンバーの選定・投票方法を発表 | MUSIC AWARDS JAPAN 実行委員会のプレスリリース - PR TIMES(2024年12月18日付)より

 

そのような投票基準が設けられているMUSIC AWARDS JAPANですが、しかしながら投票資格を有した会員(投票メンバー)が何を基準に投票するかはある程度自由といえるでしょう。私見と前置きした上で、以下の投票行動心理が生まれるものと考えます。

<MUSIC AWARDS JAPANにおける投票メンバーの投票行動心理予測>

・ほぼ日本でヒット          ←→ グローバルでもヒット(または通用可能)

・エントリー対象期間前にリリース   ←→ エントリー対象期間内のリリース

・過去曲も重視            ←→ この一年でのヒットを重視

最も解りやすく、しかし乱暴な表現を用いるならば、左は保守的、右は革新的といえるかもしれません。言い換えれば、投票メンバーが右を選ぶほどMUSIC AWARDS JAPANをグローバルに広めたいという心理もみえてくるのではないでしょうか。

 

実際、エントリー作品からノミネートが選ばれた際、自分は一部において『無難に落ち着いたと思われかねない選定』と問題提起しています(MUSIC AWARDS JAPAN、発表されたノミネート内容や経緯を踏まえて改善策を提案する(4月21日付)参照)。投票メンバーの中には日本の音楽業界に貢献し活躍してきた方も含まれており、ともすればそのことが背景にあるかもしれません。

一方で、『主要6部門のうち「最優秀楽曲賞」「最優秀アーティスト賞」「最優秀アルバム賞」「最優秀ニュー・アーティスト賞」の4部門は、一次投票は国内投票メンバー全員が、最終投票は、国内外投票メンバー全員が投票するものとする』とあります(先述したプレスリリースより)。ノミネートから受賞作品や受賞歌手を選定する際には海外の投票メンバーが加わることで、投票行動は先述した表の右側に寄るかもしれません。

 

 

受賞作品や歌手がどのような傾向になるか、2回目以降の礎となる今回の結果を注目していきます。

 

 

なお、MUSIC AWARDS JAPANにおける主要6部門は以下の通りです。

<MUSIC AWARDS JAPAN 主要6部門ノミネート一覧>

・最優秀楽曲賞

 

・最優秀アーティスト賞

 

・最優秀ニュー・アーティスト賞

 

・最優秀アルバム賞

 

・Top Global Hit from Japan

 

・最優秀アジア楽曲賞

 

(上記画像のうち上段は「MUSIC AWARDS JAPAN」ノミネート作品を発表いよいよ最終投票開始!5月21日・22日に授賞式開催 | MUSIC AWARDS JAPAN 実行委員会のプレスリリース - PR TIMES(4月17日付)より。また下段はMUSIC AWARDS JAPANのXアカウント(→こちら)、3月13日18時前後のポストより添付画像のみ引用しています。)

主要6部門以外も含むノミネート一覧については、下記リンク先をご参照ください。

 

最後に自分の予想についてですが、自分は以前から日本版グラミー賞の創設を望んでおり、その仮想賞を踏まえたノミネート選定と受賞作品/受賞者を選んできました。

上記は最新2024年度版のものですが、こちらでは米グラミー賞に準じて部門を用意しているため、MUSIC AWARDS JAPANにはない最優秀レコード賞が存在します。ちなみに、MUSIC AWARDS JAPANに当該部門がないことは以前から気になっています。

この日本版グラミー賞企画をMUSIC AWARDS JAPAN主要部門(のうち海外2部門を除く)に当てはめるならば、最優秀楽曲賞は藤井風「満ちてゆく」、最優秀アーティスト賞はMrs. GREEN APPLE、最優秀新人賞はNumber_i、最優秀アルバム賞は米津玄師『LOST CORNER』が受賞予想となります。

ただ、MUSIC AWARDS JAPANが”国際音楽賞”と謳うならば、最優秀アーティスト賞は異なる結果になるかもしれません。Mrs. GREEN APPLEの作品はビルボードジャパンのGlobal Japan Songs Excl. Japanで一度も20位以内に入っていないことを踏まえれば、Top Global Hit from Japanに「死ぬのがいいわ」がノミネートされ、且つ最多ノミネートを記録した藤井風さんが選ばれるのではというのが私見です。

 

最優秀アジア楽曲賞についてはアジア音楽への知見が乏しいため記載を控えますが、Top Global Hit from Japanについては松原みき「真夜中のドア~stay with me」が選ばれるかもしれませんし、これは”希望”だとはっきり記しておきます。1979年リリースと最も古い作品ではありますが、デジタルに明るければいつでもフックアップされヒットする可能性があることを、受賞すればより強く業界内に訴求できるというのが理由です。