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【海外ビルボード】米ではイェー(カニエ・ウェスト)等のコラボ曲が初の首位、グローバルはベンソン・ブーンが首位キープ

現地時間の3月11日月曜に発表された、最新3月16日付米ビルボードソングチャート(集計期間:3月1~7日)。前週まで2連覇を達成していたビヨンセ「Texas Hold 'Em」は5位に後退、イェー(カニエ・ウェスト) & タイ・ダラー・サイン feat. リッチ・ザ・キッド & プレイボーイ・カルティ(”プレイボーイ・カーティ”と表記するメディアも)「Carnival」が初の首位を獲得しました。

(※関連動画がYouTubeに公開されていないため動画貼付はできません。また、記事においても動画は未掲載となっています。)

ビルボードソングチャート65年の歴史において1,165曲目の首位を獲得したイェー(カニエ・ウェスト) & タイ・ダラー・サイン feat. リッチ・ザ・キッド & プレイボーイ・カルティ「Carnival」は、ストリーミングが前週比4%アップの3370万(同指標3週目の首位)、ダウンロードが同15%アップの3,000(同指標13位)、ラジオが同85%アップの390万(同指標50位未満)を記録しています。

「Carnival」はイェーとタイ・ダラー・サインによるコラボアルバム『Vultures 1』収録曲で、双方にとってメジャーから離れてリリースした初の作品。これはイェーがヘイトスピーチ反ユダヤ主義的発言を繰り返したことに因るものですが、『Vultures 1』は2月24日付米ビルボードアルバムチャートを初登場で制し、翌週も首位に。最新3月16日付では3位につけています。

 

「Carnival」により、イェーはトゥイスタにジェイミー・フォックス共々客演参加した「Slow Jamz」(2004年2月 1週)、ジェイミーを招いた「Gold Digger」(2005年9月以降 10週)、単独での「Stronger」(2007年9月 1週)、ケイティ・ペリーに迎えられた「E.T.」(2011年4月以降 5週)に続く、5曲目の首位を獲得しています。また初登場から首位に至るまでの週数においては「E.T.」の7週を上回り、今作「Carnival」が最速となる4週となります。

タイ・ダラー・サインはポスト・マローンに客演参加した「Psycho」(2018年6月 1週)に続く2曲目の首位、リッチ・ザ・キッドおよびプレイボーイ・カルティにとっては初となります。

 

イェーの首位獲得は12年10ヶ月ぶりとなり、ブレンダ・リーによる63年1ヶ月と2週(1960年の「I Want To Be Wanted」から2023年12月の「Rockin' Around The Christmas Tree」まで)以来となる長期間記録を達成。クリスマス関連曲以外の記録としてはコールドプレイの13年3ヶ月2週(2008年の「Viva La Vida」から2021年のBTSとのコラボレーションによる「My Universe」まで)以来となります。

イェーは2000年代以降3つのディケイドで首位を獲得した最初の男性歌手となり、女性も含めればビヨンセマライア・キャリーおよびレディー・ガガに並びました。なおマライアは、1994年リリースの「All I Want For Christmas Is You」が2019年以降首位に立ち続けています。またイェーは、3つのディケイドで首位を獲得した初のラッパーとなりました。

 

イェーが「Slow Jamz」にて初の首位を獲得して以来、今回の「Carnival」までの期間は20年1ヶ月。この20年超えという記録はラッパーとして初となります。

<初の首位獲得から最新の首位獲得までの最長スパン>

ブレンダ・リー 63年5ヶ月3週 (1960年7月18日付-2024年1月6日付)

マライア・キャリー 33年4ヶ月3週 (1990年8月4日付-2023年12月30日付)

・シェール 28年5ヶ月 (1971年11月6日付-1999年4月3日付)

エルトン・ジョン 24年11ヶ月1週 (1973年2月3日付-1998年1月10日付)

ビーチ・ボーイズ 24年4ヶ月 (1964年7月4日付-1988年11月5日付)

マイケル・ジャクソン 22年10ヶ月3週 (1972年10月14日付-1995年9月2日付)

スティーヴィー・ワンダー 22年6ヶ月 (1963年8月10日付-1986年2月8日付)

ロッド・スチュワート 22年4ヶ月 (1971年10月2日付-1994年2月5日付)

ビヨンセ 20年8ヶ月 (2003年7月12日付-2024年3月9日付)

・イェー 20年1ヶ月 (2004年2月21日付 - 2024年3月16日付)

なお前週「Texas Hold 'Em」で首位を獲得したビヨンセも、初の首位獲得から20年以上のスパンを経て首位に。両者とも20年以上のスパンを持つ歌手による首位曲の交代は、クリスマス関連曲を除けば初となります(なおクリスマス関連曲においてはマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」とブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」とで、2023年のクリスマスシーズンに二度の交代が生まれています。

 

テディ・スウィムズ「Lose Control」が5→2位に上昇。ダウンロードは前週比230%アップの26,000を記録し、同指標通算2週目の首位に。これは集計期間中の3月1日にアカペラバージョンおよびインストゥルメンタルバージョンが、また3月5日にフリーク・フリーリーとの”Live At The Ryman”バージョンがリリース、加えて今回の集計期間中に「Lose Control」の11バージョンが0.69ドル(69セント)の安価販売を行っていたことが要因となります。

ジャック・ハーロウ「Lovin On Me」は3位をキープ。ラジオは前週比4%ダウンの7650万を記録し、同指標8週目の首位を獲得しています。

シザ「Snooze」が9→8位に上昇。2012年にスタートしたホットR&Bソングチャートでは同曲が31週目の首位を獲得し、自身の「Kill Bill」を上回り、女性歌手による作品として最長記録を更新しました。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (2位) イェー(カニエ・ウェスト) & タイ・ダラー・サイン feat. リッチ・ザ・キッド & プレイボーイ・カルティ「Carnival」

(※ "プレイボーイ・カーティ"と表記するメディアも)

2位 (5位) テディ・スウィムズ「Lose Control」

3位 (3位) ジャック・ハーロウ「Lovin On Me」

4位 (4位) ベンソン・ブーン「Beautiful Things」

5位 (1位) ビヨンセ「Texas Hold 'Em」

6位 (8位) テイト・マクレー「Greedy」

7位 (7位) ザック・ブライアン feat. ケイシー・マスグレイヴス「I Remember Everything」

8位 (9位) シザ「Snooze」

9位 (12位) ドージャ・キャット「Agora Hills」

10位 (10位) テイラー・スウィフト「Cruel Summer」

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。3月16日付ではベンソン・ブーン「Beautiful Things」がGlobal 200にて2週連続、通算4週目の首位となり、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.では4連覇を達成しています。

ベンソン・ブーン「Beautiful Things」はGlobal 200においてストリーミングが前週比9%アップの7760万、ダウンロードが同46%ダウンの16,000を、Global Excl. U.S.ではストリーミングが前週比11%アップの5420万、ダウンロードが同11%アップの6,000を、それぞれ記録しています。

ストレンジャー・シングス 未知の世界』(Netflix)や『ファーゴ』(FX)で人気の俳優、ジョー・キーリーがジョー(Djo)名義でリリースした「End Of Beginning」が、双方のグローバルチャートでトップ10入り。Global 200ではストリーミングが前週比43%アップの4730万およびダウンロードが同57%アップの1,000を記録し15→6位、Global Excl. U.S.ではストリーミングが前週比54%アップの3360万を記録し20→7位に上昇しています(Global Excl. U.S.においては記事にてダウンロード指標の記載なし)。

Global Excl. U.S.ではフロイメナー & クリスMj「Gata Only」が19→10位に上昇。ストリーミングは前週比20%アップの3370万を記録しています(記事にてダウンロード指標の記載なし)。チリ出身の両者にとって、このチャートでのトップ10入りは初。なおチリのビルボードによるソングチャートでは、この曲が4週目の首位を獲得しています。