イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり)『24時間テレビ』放送中、なにわ男子の番組パフォーマンス映像がYouTubeで公開された件から考えること

(※追記(9時27分):今回紹介された映像は番組内では流れなかった(会場内でのみ披露された)ものであるというご指摘を直接いただきました。こちらの内容(解釈)に一部誤りがあったことについて、お詫び申し上げます。一方で、番組やテレビ局側と芸能事務所とのスムーズな連携について(番組で公開されなかったこともあってより強く)感じられたことから、基本的な文言はそのままの状態で今回のエントリー公開を続けます。)

 

 

 

昨日まで放送された『24時間テレビ 46』(日本テレビ)でメインパーソナリティーを務めたなにわ男子による同番組でのパフォーマンス映像が、彼らの公式YouTubeチャンネルにてアップされました。

(上記動画は期間限定の可能性があります。)

 

今回の公開は、4月以降のジャニーズ事務所による動画の対応を加速させたものと捉えています。

 

 

ジャニーズ事務所所属歌手はその大半(シングルのフィジカルセールスが週間10万枚を超える歌手の場合はそのほぼすべて)がダウンロードやサブスクで解禁していません。加えて地上波テレビ番組での見逃し配信においては『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)が始めたものの、当該事務所所属歌手の出演部分はしばらくの間割愛されていました。

その姿勢が大きく変化したのは4月以降。『CDTVライブ!ライブ!』の見逃し配信がノーカット完全版となり、その配信終了後に各歌手もしくはレコード会社の公式YouTubeチャンネルにて(期間限定ながら)公開されるように。それら動画はビルボードジャパンソングチャートの動画再生指標の加算対象にもなっています。

そして今夏の地上波長時間音楽特番でのジャニーズ事務所所属歌手によるパフォーマンス映像もまた、YouTubeにて公開されています。これは『CDTVライブ!ライブ!』を放送するTBSのみならず、日本テレビ読売テレビテレビ東京においても同様の措置が採られています。

 

テレビパフォーマンスの映像を番組や放送局ではなく歌手のYouTubeアカウントから発信するという取組はK-POP歌手や一部J-POP歌手ではみられたものの、4月以降のジャニーズ事務所における徹底はこれまでの日本のエンタテインメント業界では記憶にありません。

この動向の変化には、3つの理由が考えられます。ひとつは番組制作側との連携強化。地上波長時間音楽特番におけるジャニーズ事務所所属歌手やタレントの司会起用が目立っていることから考えられます。またテレビパフォーマンス映像のYouTube公開には潤沢な資金が必要であり(以前そのような指摘をいただいています)、ジャニーズ事務所側がその点に長けていることが2点目。そして3つ目は動画への意識の拡大、でしょう。

(この動画への意識の拡大については、ソングチャートに動画再生指標を含むビルボードジャパンの存在(およびその存在感が高まっていること)も大きいと考えます。ならば本来、真の社会的ヒット曲を可視化したこのビルボードジャパンソングチャートでも勢いを示すべく、ジャニーズ事務所側はデジタル解禁を拡充させる必要があるはずです。)

TVerでは現時点で、『24時間テレビ46』の番組内VTRは配信されていますが、生中継パートは登場していません。先程はテレビパフォーマンス→見逃し配信終了後のYouTube配信という流れを紹介しましたが、番組の見逃し配信がないことを踏まえ、また番組後半の盛り上がりを生み出すべく、日曜朝の公開に至ったものと考えます。

 

 

今回の状況から思うことは様々あります。

 

まずはジャニーズ事務所とメディアとのスムーズな連携。これは良い意味でもそうでない意味でもあり、迅速な公開は可能だという喜ばしい気付きが前者です。

他方後者においては、なにわ男子以外の番組パフォーマンス映像が現段階でアップされていないこともあり、ジャニーズ事務所所属か否かでの待遇差に懸念を抱いています。今回はなにわ男子がメインパーソナリティーであるゆえの措置かもしれませんが、日本のエンタテインメント業界全体がテレビパフォーマンス映像のYouTube公開を行うべくメディアが積極的に改善に動くべきだと、以前からブログで提案しています。

(加えてジャニーズ事務所には解決が必要な前社長の性加害問題があり、それを妨げかねない存在が事務所に対するメディアの強い協力的姿勢といえます。その解決のために、業界内の優遇と冷遇という差をメディアが自発的に解消させる必要があるはずです。その点等についてはジャニーズ事務所の姿勢転換とそれまでのメディアによる”報じないこと”の問題、音楽チャート面を主体に私見を記す(5月15日付)で私見を述べています。)

 

(上記キャプチャは本日4時59分時点でのもの。動画公開終了の可能性を踏まえ、キャプチャしています。問題があれば削除いたします。)

そして今回公開された動画において、タイトルには特別公開と銘打っている一方、概要欄には期間限定の旨が記されていません。ともすればこの動画はずっと残る可能性もありますが、本来パフォーマンス動画を期間限定にする必要はないということはK-POPや一部J-POP歌手のテレビパフォーマンス動画発信からも明らかです。その点において、メディアとジャニーズ事務所側に方針の転換が芽生えたならば嬉しく思います。

 

 

あくまで私見と前置きすれば、『24時間テレビ』以外に日本テレビが福祉や障害等について積極的に取り上げる機会がどれだけあるのか等、番組や放送局に対する疑問は少なくありません。またチャリティーのあゆみ|チャリティー活動|24時間テレビチャリティー委員会でわかるように、『24時間テレビ』には2003年以降ジャニーズ事務所所属歌手が毎年出演を続けており、その点に違和感を持つ方もいらっしゃることでしょう。

先述した問題の解決への取組が不十分といえることも踏まえ、『24時間テレビ』は人選等の見直しを図る必要があるとも考えますが、同時にメディアや芸能事務所に自省と自浄の気概を生ませるべく促すことも重要です。春以降のYouTube発信についてはメディアが日本のエンタテインメント業界全体を厚遇する方向にシフトすべきであり、ジャニーズ事務所側も自らが優先されているであろう環境に慣れてはならないと考えます。