イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週および当週の上位初進出曲におけるCHART insightから、真のヒット曲に成るかを読む (2023年8月9日公開分)

今回のエントリーでは、ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週上位に初めて進出した曲(下記エントリー参照)の翌週動向、そして最新週における上位初進出曲の動向をチェックし、真の社会的ヒット曲に成るかを読みます。

最新のソングチャートは下記をご確認ください。

 

まずは前週のエントリーにて紹介した上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。

CHART insightについては下記ツイートにて簡潔に説明しています。

 

<2023年8月2日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて

 20位までに初めて登場した作品の、翌週におけるCHART insight>

 

・日向坂46「Am I ready?」 前週4位→54位

・OCHA NORMA「ちょっと情緒不安定?...夏」 前週6位→100位未満(300位圏内)

・LIL LEAGUE from EXILE TRIBE「Higher」 前週7位→100位未満(300位圏内)

・NewJeans「ETA」 前週11位→11位

 ・山下達郎「Sync Of Summer」 前週13位→100位未満(300位圏内)

緑黄色社会サマータイムシンデレラ」 前週17位→12位

前週初のトップ20入りを果たした6曲のうち今週100位を下回ったのは3曲、一方トップ20内に残っている作品は2曲にとどまります。その中で順位を上げた緑黄色社会サマータイムシンデレラ」はストリーミング指標が70→26位に上昇。次週の集計期間初日となる8月7日月曜にミュージックビデオが解禁され、また来月にはフィジカルシングルがリリースされることもあり、上位安定の可能性が十分考えられます。

Spotify Canvas(楽曲再生画面の後ろで流れるショートムービー)に掲載する写真をみなさまから募集いたします。

サマータイムシンデレラ」ではこのような企画も展開。Canvasへの反映は明後日以降となること、またCanvas効果はLINE MUSIC再生キャンペーンほど大きくないゆえこの企画がどこまで効果を発揮するかは不明ですが、Canvas機能を用いた今回の施策を興味深く感じています。

 

LINE MUSIC再生キャンペーンといえばNewJeans「ETA」でも採用されていましたが(詳細はこちら)、再生対象期間は7月30日までであり最新チャートの集計期間には重なっていません。しかしながら「ETA」はストリーミング指標の順位をひとつ上げ9位に、再生回数は5,744,117→5,667,993回と微減とはなりながら、LINE MUSIC再生キャンペーン終了後としては特筆すべき数値となっています。

ソングチャートとアルバムチャートを合算したビルボードジャパンによるトップアーティストチャート(Artist 100)では、NewJeansが3位に上昇し最高位を更新。このチャートではMrs.GREEN APPLEも3連覇を達成していますが、アルバムチャートでは前者(『Get Up』が登場3週目、後者(『ANTENNA』)が同5週目にて20位以内をキープしているのも特徴です。

アルバムチャート初ランクイン週にトップアーティストチャートで上昇するのは自然なことであり、その後のチャート推移をみてアルバムが(チャート上において)歌手としてのステップアップにつながっているかどうかを判断する必要があると考えます。その点においてストリーミングが安定するNewJeans、そしてMrs.GREEN APPLEは着実に一段高いステップへ到達していると言えるでしょう。

最新のソングチャートでもNewJeansが6曲、Mrs.GREEN APPLEが10曲を100位以内に送り込んでいます。トップアーティストチャートにおける安定も踏まえれば、この2組の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)出場は十分考えられます。

 

 

続いて、最新ソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックします。

<2023年8月9日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 20位までに初めて登場した作品のCHART insight>

 

・2位 (初登場) THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「Summer Riot ~熱帯夜~」

・5位 (初登場) NGT48「あのさ、いや別に•••」

・10位 (前週40位) 宇多田ヒカル「Gold ~また逢う日まで~」

・13位 (初登場) サザンオールスターズ「歌えニッポンの空」

 

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「Summer Riot ~熱帯夜~」については、フィジカルセールスの多さに注目。23万枚近い週間セールスはキャリア最高となっています。さらにはリリース直後に売上が集中する傾向の高いフィジカルセールスにおいて同曲が『週後半で約10万枚のセールスを伸ばして』いることも注目です(『』内は下記ツイート内記事より)。

THE RAMPAGEは前作「16BOOSTERZ」が初週197,450枚を記録し、その前の作品の5倍以上となる初週セールスに至っています(「ROUND UP feat. MIYAVI/KIMIOMOU」は2022年12月7日公開分で34,133枚を記録)。EXILE TRIBE関連ではFANTASTICSが「PANORAMA JET」にて127,066枚(4月26日公開分。前作は初週20,674枚)、三代目J SOUL BROTHERSが「STARS」にて104,841枚(2月8日公開分。前作は初週71,040枚)と、共に伸びています。

THE RAMPAGE NEW SINGLE『Summer Riot 〜熱帯夜〜 / Everest』デジタルキャンペーン第2弾実施決定! | NEWS | EXILE TRIBE mobile(7月30日付)より

(キャンペーン関連記事は、そのキャンペーン終了後に消去される傾向があるためキャプチャしたものを貼付しました。問題があれば削除いたします。)

彼らが所属するLDHの、フィジカル表題曲を複合指標から成るチャートでも伸ばすという意気込みを各種デジタルキャンペーンからも感じることができます。先述したLINE MUSIC再生キャンペーン、Spotify Canvasに関連した企画に加えて、Spotifyでの月間リスナー数を増やすことも視野に入れているのは注目すべきことだと感じています。

 

他方、前週トップ10入りを果たしたLIL LEAGUE from EXILE TRIBE「Higher」はLINE MUSIC再生キャンペーン(→こちら)の期間中にもかかわらず総合ソングチャートで急落しています。再生キャンペーンはコアファンが再生回数のハードルをクリアすることで企画から離れるため、キャンペーン期間中でも勢いがシュリンクする傾向にあります。

LINE MUSIC再生キャンペーンは、ライト層の長期に渡る支持が可視化される接触指標のストリーミングにコアファンの熱量が大きく反映されるものであり、指標動向は所有指標的な急落を伴います(ゆえにキャンペーン後も勢いが衰えないNewJeans「ETA」が如何に特筆すべきかが解るはずです)。キャンペーン終了後、いやその途中段階でも再生回数が大きく下がるならば、ライト層の獲得にこそ注力する必要があるでしょう。

 

最後に。宇多田ヒカル「Gold ~また逢う日まで~」については金曜リリース→初の1週間フル加算に伴い上昇しています。金曜リリースについては昨日付エントリーをご参照ください。

同曲は昨日ミュージックビデオが公開、また本日は『ライブ・エール2023~新しい夏~』(NHK総合)で披露されることから、来週以降の動向にも注目です。