最新8月2日公開分ビルボードジャパンソングチャート(集計期間:7月24~30日)ではYOASOBI「アイドル」が初登場から16週連続で首位を獲得。2週前にOfficial髭男dism「Subtitle」を上回り単独最長首位記録を樹立したこの曲が、記録をさらに伸ばしています。
【ビルボード】YOASOBI「アイドル」総合16連覇でまだまだ記録更新中、米津玄師「地球儀」が2位にランクアップ<8/2訂正> https://t.co/kwOVGBMiJ6 pic.twitter.com/pzHMaNDm6x
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年8月2日
YOASOBI「アイドル」は前週こそポイント前週比が100%を超えたものの、ここ最近は9割未満で推移。当週においてポイント前週比92.9%と比較的高く推移したのはアナログセールス初加算の影響に伴うもので、同指標は84→12位と上昇しています。
ただ一方では、フィジカルセールスがリリースされた作品はその加算2週目のみならず、全体でもポイント前週比がデジタルのみリリースの曲より下がる傾向があると捉えています。アナログセールス加算2週目となる次週、ポイント前週比がどうなるかに注目です。
他方、前週3位に初登場した米津玄師「地球儀」はフィジカルセールス初加算となる当週において2位に上昇。12,206ポイント(前週比151.3%)を記録していますが、首位獲得には至れませんでした。
当週はフィジカルセールスおよび動画再生指標が初加算となりましたが、その売上は74,042枚。フィジカルシングルの前作「KICK BACK」が昨年度最終週に記録した初週セールス289,147枚のおよそ4分の1にとどまっています。またストリーミング再生回数も5,417,188→4,601,063回再生に減少(再生回数前週比84.9%)。これらがYOASOBI「アイドル」を逆転できなかった要因と考えられます。
フィジカルセールスが前作並とはいかなくとも20万枚を記録していれば、あと数百ポイントは加算されたと考えられます。またフィジカルセールスリリース週はデジタルも伸びる、もしくはダウンしても微減にとどまる傾向がみられるのですが、「地球儀」ではあまり感じられません。デジタルとフィジカルのリリース間隔が近かったことも影響しているでしょうが、それだけにとどまらないのではと実感しています。
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— REISSUE RECORDS (@reissuerecords) 2023年7月27日
米津玄師「地球儀」
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シングルに同梱された写真集は、米津玄師と宮﨑駿監督、鈴木敏夫プロデューサーとの5年に渡るドキュメンタリー写真となっております。… pic.twitter.com/M5dHz6IDHy
「地球儀」は映画『君たちはどう生きるか』の主題歌であり、フィジカルには160ページに渡る写真集が同梱。ただし初回版と通常版では写真集のカバーの違いおよびケースの有無の差にとどまること、フィジカルとしては久々となる2種のみでのリリースでありCD単体でのリリースがないこと、「KICK BACK」に同梱されていたライブツアーの抽選予約シリアルナンバーが今回ないこと等が売上に影響したといえるでしょう。
加えて、映画『君たちはどう生きるか』が一切の宣伝を行わないという姿勢を貫いていることが、ともすれば「地球儀」の認知度上昇につながっていない可能性が考えられます。事前の情報解禁を制限する映画としてはたとえば『THE FIRST SLAM DUNK』(2022)がありましたが、2曲の主題歌は公開の1ヶ月前に解禁され、同日には予告も解禁されています。
上記動画において、現時点で”リプレイ回数が最も多い部分”として表示されているのが、10-FEET「第ゼロ感」が流れ始める箇所。同曲は当週も36位に入りロングヒットしていますが、映画公開前から注目を集めていたことが理解できるのではないでしょうか。
一方で映画『君たちはどう生きるか』は現時点でもYouTubeにてCM等関連動画が公開されていません。監督の知名度やジブリブランドの強さでコアファンを中心に観に行くものと思われますが、予告を観て映画館に足を運ぶというライト層(といえる方々)を掴むことができるかは疑問です。その状況が、主題歌となった米津玄師「地球儀」におけるフィジカル、そしてデジタルでのライト層の強くなさにもリンクすると捉えています。
ともすれば「地球儀」において「KICK BACK」並のフィジカル枚数を用意したかもしれず、だとすれば在庫状況を懸念する自分がいます。宣伝しないことが実はライト層獲得につながらず、ともすればコアファンの動向にも影響している可能性を制作側が考慮し、顧みるようになるかについて注視したいと思います。