最新5月10日公開分のチャートを紹介するビルボードジャパンのポッドキャストでは、最新ソングチャートのラジオ指標において男性ダンスボーカルグループ(男性アイドル)が4組トップ10入りしたことが紹介されています。
他にもポッドキャストでは、ラジオ指標におけるLDH所属グループの強さ、男性ダンスボーカルグループのプレゼンス(存在感)の上昇が指摘されています。
ラジオ指標は全国31のFMおよびAM局におけるOA回数を基に聴取可能人口等を加味して算出されますが、プランテックによるOAチャートについてはミュージックマンにて記事が掲載。最新チャートにおいて、BE:FIRST「Smile Again」はこのように記されています。
4月26日にリリースされた3rdシングルからの同リード曲。24日の先行配信とともにオンエアが開始され前週3位でチャートデビューすると、今週も勢いそのまま、伸び続けたオンエア数はリリース翌週ながら前週の2倍以上へと増加した。引き続き帯番組・コーナー枠にてオンエア数を稼ぎつつ、他番組への波及およびコメントゲスト出演、リクエストオンエアなどが後押ししてのものだろう、高い注目度を維持しチャートイン2週目で堂々首位となった。
THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「16BOOSTERZ」についても帯番組やコーナー枠でのOA数が多いと紹介されていますが、「Smile Again」についてはリクエスト等も後押しする形で、前週の倍以上となるOA数を獲得しています。
最新チャートの集計期間は5月1~7日。ゴールデンウイーク中ゆえラジオ業界では特別番組が組まれることがあり、通常とは異なるOA傾向もみられたはずです。その中にあって、BE:FIRST「Smile Again」の強さは特筆すべきといえるでしょう。
では、男性ダンスボーカルグループのラジオにおけるプレゼンスは本当に上昇しているのでしょうか。そこで2022年度以降のソングチャートにおけるラジオ指標トップ20の表を掲載し、検証します。
<ビルボードジャパンソングチャート 2022年度以降のラジオ指標上位20曲>
・表の色について:
青:ジャニーズ事務所所属歌手(ソロ歌手含む)
緑:ジャニーズ事務所所属以外の男性ダンスボーカルグループ(ソロ歌手含む)
紫:K-POP男性ダンスボーカルグループ(ソロ歌手含む)
※香取慎吾 × SEVENTEEN「BETTING」は緑で表示しています。
※参考として、K-POP以外の洋楽はオレンジで表示しています。
ラジオ指標は上位の維持が難しいのが特徴です。昨年度はOfficial髭男dism「ミックスナッツ」がOAチャートを制していますが(2022年 年間ラジオ・エアプレイはOfficial髭男dism「ミックスナッツ」テレビMVはAimer「残響散歌」が1位 | Musicman(2022年12月19日付)参照)、同曲のビルボードジャパンソングチャートにおけるラジオ指標は他指標よりも早く下降し、加えて乱高下していることも解ります。
(上記はOfficial髭男dism「ミックスナッツ」におけるCHART insight。総合は黒、ラジオ指標は黄緑で表示。またロングヒットの要である接触指標群については、ストリーミングが青、動画再生が赤等で示されます。)
ゆえにラジオ指標で2週続けて上位を維持すること自体が難しいと言える中、BE:FIRST「Smile Again」は2週連続で首位に立ち、さらに「Bye-Good-Bye」では2022年度第2四半期に通算3週首位を獲得しています。Novel Coreさんのランクイン等も含め、ラジオにおけるBMSGの存在感の高さを実感できるはずです。またBE:FIRSTと同日フィジカルデビューしたINIや、先輩にあたるJO1もラジオで上位に登場しています。
LDHにおいても、20位以内に2週連続でランクインしている曲が少なくなく、加えて女性ダンスボーカルグループのiScreamも複数週ランクインが確認できることから、ビルボードジャパンポッドキャストでの指摘は正しいと言えます。
ラジオについてはレギュラー番組を持つ方、さらにはベテラン歌手が強いという傾向があります。BMSGにおいてはSKY-HIさんおよびBE:FIRSTがJ-WAVEで、またSKY-HIさんがBE:FIRSTに次いで手掛けるMAZZELにおいてもデビュー前からTOKYO FMでレギュラー番組を担当しています。このこともラジオ指標を押し上げるのに有効な要因と言えるでしょう。
持続力はBMSGやLDHに及ばないかもしれませんが、ジャニーズ事務所所属歌手もラジオで上位に進出することが特徴です。その中で2022年度におけるSixTONESの勢いは注目と言えます。ジャニーズ事務所所属歌手の多くはラジオ番組を担当していますが、SixTONESは土曜夜の全国ネットを担当していること、また洋楽OA率の高いFM局で実績を残していることも大きいといえます(後者については下記エントリー参照)。
(ちなみに洋楽においてはOAが減っていると感じており、以前からブログで違和感を指摘してきたのですが、今回の調査にて今年度トップ10入りする曲がさらに減ってきていることが可視化されました。ラジオ局の音楽サーチ力が弱まっている、またレコード会社の洋楽部門が強くなくなった可能性を感じる自分がいます。)
今回掲示した表により、BMSGやLDH、ジャニーズ事務所等男性ダンスボーカルグループ(男性アイドル)がラジオで存在感を示していることが証明されたのではないでしょうか。
この結果、ゴールデンウイークというイレギュラーな期間ながら、最新5月10日公開分のビルボードジャパンソングチャートにおけるラジオ指標ではBE:FIRST「Smile Again」(1位)、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「16BOOSTERZ」(2位)、MAZZEL「Vivid」(7位)およびSexy Zone「Cream」(10位)の4曲がトップ10入り。日本の男性ダンスボーカルグループによる4曲同時トップ10入りは、2022年度以降では初となるのです。
男性ダンスボーカルグループがラジオに深くアプローチする、その厳密な理由は分かりかねますが、ともすればライト層獲得に有効と考えているのではというのが自分の見方です。そしてそのライト層獲得にラジオが有効であることについて、このブログにて以前紹介しています。ラジオはプロモーションやパワープレイもOA数の上昇に大きく影響しますが、そこからリクエストをきっかけとした自発的なOAに移すことが重要です。
実際、上記エントリーは男性ダンスボーカルグループのコアファンの方々から多くの反応をいただいており、このエントリーが推す歌手のラジオにおける存在感上昇に役立ったならば幸いです。なお自分は現在、ラジオにおいてライト層へのリーチをさらに強固にさせるアイデアを捻出する必要があると感じています。