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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】JO1「Tiger」が首位、各指標動向から見えてくるものとは

4月3~9日を集計期間とする最新4月12日公開分ビルボードジャパンソングチャートは、JO1「Tiger」が総合首位を獲得しました。

構成6指標のうちフィジカルセールスが初加算となったことで前週の84位から首位に到達したJO1「Tiger」。ダウンロードおよびラジオも首位となり、3指標を制しています。前作「SuperCali」は米津玄師「KICK BACK」に僅差で破れたため、フィジカルシングルとしては「僕らの季節」以来2作品ぶりの首位獲得となります。

では「Tiger」を、前作「SuperCali」と比べてみます。「SuperCali」のフィジカルセールス指標初加算時のCHART insightを下記に。

「SuperCali」は2022年度に首位を獲得していますが、ビルボードジャパンは2023年度になってルックアップ(上記CHART insightではオレンジで表示)およびTwitter(水色)を廃止しています。フィジカルセールス初加算週のポイントは「SuperCali」が15,496(2022年10月19日公開分)に対し「Tiger」が12,206(2023年4月12日公開分)であり、2指標の廃止も影響しています。ただその分を除いても今作のポイントはダウンしています。

フィジカルセールス(CHART insightでは黄色で表示)は602,958→416,473枚、ダウンロード(紫)は19,331→13,590DL、ストリーミング再生回数(厳密にはストリーミング指標(青)とは異なります)は4,270,143→3,169,422回再生といずれもダウン。キャンペーンや特典等で数値が変わりやすい指標ではあるものの、ダウンという事態は気になります。

 

一方で「Tiger」は、前作「SuperCali」同様ラジオ指標を制覇。CHART insightのチャート構成比から、前作を上回っていることが解ります。この指標の動向は、基となるプランテックのOAチャートでも言及されています。なお「SuperCali」についてはJO1前作からOA拡大し1位、藤井風リクエスト最多の2位、aiko新曲TOP3入り、米津/ヒゲダン…上位で強者揃い踏み【エアモニ】 | Musicman(2022年10月19日付)をご参照ください。

2023年4月12日発表のラジオ・オンエア・チャート(集計期間:2023年4月3日〜4月9日プランテック調べ)では、JO1「Tiger」が1位を獲得した。

(中略)

多数の帯番組/コーナーなど固定枠における複数オンエアを積み上げてのものだが、FM/AM問わず71%のステーションでオンエアを獲得するなど、広範囲におよぶ丁寧なプロモーションの形跡がみられる。また、熱心なファンダムによる尽力もあってのことだが、今週最も多くのリクエストオンエアを獲得している点も特筆すべきだろう。特定層/番組からの厚い支持が広がり好結果をもたらした。

ラジオについては伸びる余地があると考えます。OA局は調査対象の31局中19局であり、これは2週前にOAチャートおよびビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標を制した米津玄師「LADY」の29局とは大きく異なります(米津が全エリア制覇の圧勝/BiSHラストSgで2位/OchunismがTOP3入り/WBC熱でアノ洋楽2曲チャートイン【エアモニ】 | Musicman(3月29日付)参照)。特定層や番組(内コーナー)単位での厚い支持を、放送局そしてラジオ業界全体からの支持につなげることがより重要になるでしょう。

ラジオでのリクエストが有効なのは、それが採用されOAに至った場合、歌手にそこまで興味を抱いてはいなかった方がOA曲に触れて気に入り、そこから自発的に接触行動を起こすためのきっかけとなりやすいためです。

CHART insightで黄緑にて表示されるラジオはポイント面で大きくはありませんが、潜在需要を喚起する意味では有効と考えます。彼らがより長く、充実したキャリアを築くべく、ライト層へのリーチを常に欠かさないことが重要だと考えます。

 

注目は次週、フィジカルセールス加算2週目における動向です。前週フィジカルセールス初加算に伴いソングチャートを制したTREASURE「Here I Stand」は27位、乃木坂46「人は夢を二度見る」は2→17位に急落しています(ポイント前週比はそれぞれ23.7%、31.5%)。

フィジカルセールスについてはウエイトダウンの必要があると前週提案したばかりであり(下記エントリー参照)、仮にチャートポリシーが変わればJO1も不利になりかねません。「Tiger」における次週の動向次第では、その流れが加速する可能性もあります。JO1をはじめフィジカルセールスに強い歌手のデジタル、特に接触指標群におけるライト層獲得は急務です。