イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

JIMIN「Like Crazy」が米ビルボードの急落記録更新、チャートポリシー変更の可能性も踏まえ私見を記す

昨日は4月15日付米ビルボードソングチャートの速報をお伝えしました。

速報ではトップ10が発表されますが、前週初登場で首位を獲得したJIMIN「Like Crazy」はその中に入っていませんでした。前週のチャートは下記エントリーをご参照ください。

そして日本時間の昨夜発表されたソングチャートの全容をみると、「Like Crazy」が45位に急落したことが判明。これはクリスマス関連曲を除く首位からの急落記録更新となります。

この急落については、前週から当週にかけてチャートポリシー(集計方法)が変更になったのではという見方もあります。

 

ビルボードソングチャートの予想担当者による4月15日付チャートの予想例を下記に掲載。この段階ではJIMIN「Like Crazy」がトップ10内をキープするだろうとみられていました。

予想では「Like Crazy」がストリーミングにおいて前週から2割近くダウン、ダウンロードはおよそ半減、そしてラジオはおよそ2~3倍に伸び、ダウンロードが牽引する形でトップ10内をキープするとみられていました。「Like Crazy」は最終的に最新4月15日付でもダウンロード指標を制しましたが(下記ツイート参照)、その数値は不明です。

そして予想の根拠となるデータについて、ダウンロードについては示されなかったという指摘があります。

 

JIMIN「Like Crazy」のダウンロードは最終的に14万前後とみられますが、それでも今回ポイントが大きく落ち込みました。その落ち込みについて、このタイミングでチャートポリシーが変更になったゆえであるとの見方が登場しています。ともすれば先述したデータ未提示がチャートポリシー変更に基づいたものと言えるかもしれません。

ビルボードによる4月15日付ソングチャートが登場する前、主に韓国のアイドルや音楽等に関する記事を執筆するDJ泡沫さんが以下のツイートを発信しています。

チャートポリシー変更に関するソースは明示されていませんが、別のツイートにてこのように述べています。また問い合わせされた方への回答の一端として、以下の内容も発信しています。

 

自分は前週のチャートが登場する直前、JIMIN「Like Crazy」が首位を獲る可能性を踏まえつつも指標構成に偏りが出る可能性を考慮し、チャートポリシー変更の議論が必要ではと記しました。加えて今年度初週にはテイラー・スウィフトAnti-Hero」がダウンロード30万超えを記録しましたがその施策にも違和感を覚え、早急の議論を促しています。

(上記リンク先には2021年度以降の首位獲得曲における各指標の数値等も紹介。「Like Crazy」や「Anti-Hero」とロングヒット作品を比較することで、接触指標群の重要性が理解できます。)

今回のチャートポリシー変更は(それが事実ならばと仮定する必要はありますが)、以前の変更をさらにタイトにしたものだと考えます。そして前回の変更のきっかけとなったのはBTS「Butter」だと捉えています(下記エントリー参照)。尤も米ビルボードは前回のチャートポリシー変更について公式にアナウンスしていませんが、この二度のチャートポリシー変更が事実ならば、自分は支持を表明します。

 

今回のチャートポリシー変更を納得し難いと考えるJIMINやBTSテイラー・スウィフト等のコアファンは少なくないでしょう。ただ現在の音楽チャートは接触指標群のヒットこそ真の社会的ヒット曲であるというスタンスであり、その中で所有指標に著しく偏った曲が瞬間的なヒットに終わるならばその作品は社会的ヒット曲とは言い難いというのが私見です。音楽チャートの信頼度にもつながるゆえ、この変更は自然と考えます。

最新4月15日付米ビルボードソングチャートではTikTokのバズを機にKanii(カタカナ表記不明)「I Know」が初の100位以内エントリーを果たしましたが、その際ストリーミングは前週比16%アップの670万、およびラジオは同238%アップの367,000を記録しています(上記ツイート内記事より)。ダウンロードを除けば、前週のJIMIN「Like Crazy」におけるストリーミング1000万、ラジオ64,000と似た水準と言えるのではないでしょうか。

 

 

ダウンロードの値を適正な形に近づけたのが今回のチャートポリシー変更だと捉えています。この変更により、特にコアファンの熱量が高い歌手の作品が米でヒットすることは難しくなったと言えます。コアファンが行うべきは真の社会的ヒット曲とは何かを共有し、接触指標群を高める(つまりライト層に浸透させる)にはどうすべきか考え実践することでしょう。

一方で、米ビルボードによる直近二度のチャートポリシー変更は公式にアナウンスされていないため、毅然とした対応とは言えず不信感が生まれるのは自然でしょう。それが一部歌手のファンの反発を招きかねないと考えるに、チャートポリシー変更の有無およびチャートのスタンスは明らかにすべきです。

そして今回紹介した速やかな変更はビルボードジャパンも踏襲してほしいと願っています。前週、BiSH「Bye-Bye Show」が首位から100位圏外へ急落したことを機にビルボードジャパンソングチャートのチャートポリシー変更を提案したばかりであり、尚の事です。