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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】Ado『ONE PIECE FILM RED』関連曲の動きは日米ハイブリッド型である

毎週木曜以降は最新のビルボードジャパン各種チャートについてお伝えしていますが、昨日はビルボードジャパンのチャート訂正問題について、その内容および改善提案を記しました。

結果として当初の発表における誤りは、Kis-My-Ft2Two as One」のLINE MUSIC再生回数が未加算だった点のみでした。再生キャンペーンの影響もあり「Two as One」はストリーミング指標24位を獲得、同指標が加算されたことで総合2位となり、Ado「私は最強 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」と入れ替わっています(「私は最強」は3位に。なお以降は"ウタ from ONE PIECE FILM RED"を省略します)。

今回の問題については、後日私見を述べたいと思います。

 

 

最新8月24日公開分(8月29日付)ビルボードジャパンソングスチャートでは「新時代」が連覇を達成したのみならず、Adoさんはトップ10内に6曲、トップ5に5曲を送り込んでいます。

ダウンロードおよびストリーミングのトップ10はこちら。

Adoさんによる『ONE PIECE FILM RED』関連曲の動向は下記をご参照ください。なお各指標の数値が不明のもの、また総合10位未満については各指標の数値自体を記載していません。

 

・総合1→1位 「新時代」 14,753→16,209ポイント 前週比109.9%

 ダウンロード 19,053→22,659DL ストリーミング 17,167,052→18,748,295回再生

・総合3→3位 「私は最強」 6,779→8,616ポイント 前週比127.1%

 ダウンロード 2,616→5,937DL ストリーミング 9,932,422→12,141,564回再生

・総合2→4位 「逆光」 7,262→8,408ポイント 前週比115.8%

 ダウンロード 2,281→4,899DL ストリーミング 10,274,338→11,592,382回再生

・総合5→5位 「ウタカタララバイ」 6,663→7,576ポイント 前週比113.7%

 ダウンロード 3,940→3,488DL ストリーミング 8,901,892→10,796,478回再生

・総合13→6位 「Tot Musica」 3,501→6,479ポイント 前週比185.1%

 ダウンロード 5,435→5,194DL ストリーミング (前週不明)→7,783,183回再生

・総合12→10位 「風のゆくえ」 3,704→4,881ポイント 前週比131.8%

 ダウンロード 8,726→6,564DL ストリーミング (前週不明)→6,864,725回再生

・総合16→12位 「世界のつづき」 3,359→4,293ポイント 前週比127.8%

 

最新ソングスチャートのトップ10ランクイン曲における指標構成をみれば(他の曲と比較すれば)、Adoさんの強さが解るでしょう。

Ado『ONE PIECE FILM RED』関連曲は、ストリーミングおよび動画再生といった接触指標が強い傾向にあります。「風のゆくえ」は今週ミュージックビデオが解禁されたために加算前の動画再生指標は強くない状況ですが、逆に言えばミュージックビデオ解禁前で動画再生指標45位獲得は凄いことです。またストリーミング指標においてはトップ5を独占、且つ上位4曲が1千万回再生超えという驚異的な記録を打ち出しています。

Ado 『ONE PIECE FILM RED』関連曲が素晴らしいのは、総合12位までに入った7曲すべてTwitter指標が40位以内に入っていること(「世界のつづき」は同指標37位)。この指標はコアファンによるつぶやきが反映されやすいため上位進出は難しいのですが、大ヒット中の映画を観た方によるつぶやきも多く、どの曲もまんべんなくポイントを獲得しているのが特徴。社会的ヒットを映すひとつの鑑になったと言えます。

さらに注目はカラオケ指標。先行リリース曲が有利とは言えますが、より愛される曲が多く歌われていくことでしょう。この指標では「新時代」が11→4位に急浮上したのみならず、「私は最強」が44位、「逆光」が55位と、いずれも前週の100位未満(300位圏内)から驚異的な上昇を遂げています。この上昇角度はあまり見たことがなく、映画のヒットと夏休み期間とが相俟った結果とも思われます。

 

 

前週(8月17日公開分(8月22日付))ビルボードジャパンソングスチャートでAdoさんの『ONE PIECE FILM RED』関連曲が上位を占めたことについて、ビルボードジャパンのポッドキャスト等で米ビルボード的な動きと指摘されていますが、先週のブログエントリーではそれが必ずしも合っているわけではないと紹介しました。

実際、アルバム登場2週目における動向は「ビンクスの酒」(総合40→31位 ポイント前週比116.1%)を含む8曲すべてがポイント上昇。米ビルボードはアルバム登場2週目にてリード曲等一部を除きダウンする傾向が強いことから、Ado『ONE PIECE FILM RED』関連曲の動向は米ビルボード的とは限りません。映画やチャート占拠の話題が多くの方を惹き付けさらなる上昇につながったと考えれば、日米ハイブリッド型と言えるでしょう。

そして、集計期間は異なりますが8月12日金曜から18日木曜までを対象とする8月27日付Global 200では「新時代」をはじめ4曲がエントリー。「新時代」はGlobal 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.において18→8位となり、J-Pop3曲目の同チャートトップ10入を果たしています。

最新8月24日公開分(8月29日付)ビルボードジャパンソングスチャートの集計期間は8月15日月曜からの1週間。19日金曜から21日日曜までも好調に推移したことが考えられるため、グローバルチャートでも次週は良好に推移していくものと思われます。

一方で、日本のSpotifyデイリーチャートでAdo『ONE PIECE FILM RED』関連曲が他の曲よりもダウン幅が大きくなってきているのは気掛かりです。また所有指標のダウンロードにおいては減少した曲もあり、次週は総合ソングスチャートにおけるポイントがダウンする曲も出てくるでしょう。「逆光」と「私は最強」の順位の入れ替わりを踏まえれば、より支持を集める曲がはっきりしていくかもしれません。

 

日本では今週、グローバルチャートでは来週がピークになるかもしれませんが、Ado『ONE PIECE FILM RED』関連曲のチャート動向はただただ見事。今後しばらく、動向を注視する必要があります。