イマオト － 今の音楽を追うブログ －

旧ブログ名：face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Ado「新時代」がチャートを席巻する勢い…次週のビルボードジャパンおよびグローバルチャートを予想する

ビルボードジャパン チャート分析 チャート予想 グローバルチャート Spotify ストリーミング

Adoさんが次週のビルボードジャパン各種チャートを席巻する勢いです。

8月17日公開分(8月22日付)ビルボードジャパン各種チャートの集計期間は8月8日月曜からの1週間。その集計期間前半3日間分の速報値が昨日発表されました。ちなみにフィジカルセールスは木曜、デジタルは金曜にそれぞれ発表されますが、一昨日が祝日だったためフィジカルセールスも翌12日金曜に発表されています。

4つ目のツイートは、ソングスチャートのストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートを指します。Adoさんの勢いの凄まじさはこれら数値からはっきり解ります。

 

次週8月17日公開分(8月22日付)ビルボードジャパンソングスチャートでAdoさんが「新時代」を中心に躍進するだろうことは、一昨日のブログエントリーでも記しました。

その際はSpotifyの動向をメインに取り上げましたが、今回の速報値は他のサブスクサービスでも強いことをはっきり物語っています。

では次週のビルボードジャパンで、Adoさんの『ONE PIECE FILM RED』関連曲はどうなるでしょう。「新時代」をメインに、達成する可能性の高いほうから順に、記していきます。

 

 

・達成可能性大：「新時代」ビルボードジャパンソングスチャート首位獲得

今後の急失速がない限りは「新時代」のソングスチャート初制覇は確実。ダウンロードは速報値で5,310DL、そしてストリーミングは6,964,728回再生となり、後者は週間1500万回再生を余裕で上回ることでしょう。

上記表はAdo「新時代」における最新8月10日公開分(8月15日付)までのビルボードジャパンソングスチャートの動向。ダウンロードは購入先がアルバムに移行したこともあってか最新週ほど次週は伸びないかもしれませんが、ストリーミングは間違いなく超えるはずです。アルバムリリースやライブ開催はTwitterやラジオ指標にも波及するだろうことを踏まえれば、次週は総合1万ポイント超えも十分考えられます。

ライバルは初週フィジカルセールスに強い作品ですが、速報値でフィジカルセールス指標首位のM!LK「奇跡が空に恋を響かせた」の売上は40,471枚。仮にデジタルも含めて最新週におけるGENERATIONS from EXILE TRIBE「チカラノカギリ」並の強さだった場合、獲得ポイントは9千弱と予想され、Ado「新時代」の優位は変わらないものと思われます。

 

 

・達成可能性中：『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』、ビルボードジャパンアルバムチャート首位獲得

アルバムチャートはフィジカルセールス、ダウンロードおよびルックアップで構成されます。フィジカルセールスの速報値ではAdo『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』は2位となり、55,539枚を獲得。首位はB'z『Highway X 』で、113,056枚を売り上げています。

ダウンロードは『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』が14,461DLを獲得し、Adoさんが今年初めにリリースしたアルバム『狂言』の初週セールス(13,987DL)を既に上回りました。一方でB'z『Highway X』はデジタル後日解禁という施策を採っており、ダウンロードは日曜までに解禁されない限りは加算されません。

フィジカル1枚とダウンロード1DLとでは後者がウエイトが高く、また映画人気で週末の映画鑑賞→フィジカル/デジタル購入の流れが生まれ、通常のアルバムよりも週末の売上が増える可能性は十分です。

別のフィジカルセールスランキングでは木曜にAdo『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』がB'z『Highway X』を逆転しています。『狂言』はビルボードジャパンの初週フィジカルセールスが142,724枚を獲得しており、『ウタの歌…』が『狂言』並に売り上げればフィジカルセールスでも逆転する可能性があるかもしれません。そこまでならないとしても、デジタル解禁する/しないの差が総合での逆転につながるかもしれません。

 

 

・達成率可能性小：「新時代」、米ビルボードによるグローバルチャートでのトップ10入り

米ビルボードは一昨年秋にグローバルチャートを新設。世界200を超える地域の主要デジタルプラットフォームにおけるダウンロードとストリーミング(動画再生含む)というふたつの指標で構成され、フィジカルセールスや歌手のホームページでのダウンロードは含みません。Global 200と、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.の2種類が存在するこのグローバルチャートについては下記リンク先にて解説しています。

Ado「新時代」はGlobal 200において未だランクインしていません(一方で、Global Excl. U.S.は米ビルボード有料会員向けのみに公開)。次回8月20日付は8月5日金曜から11日木曜までが集計期間となり、「新時代」をはじめとする『ONE PIECE FILM RED』関連曲は集計期間初日から上昇気流に乗ってきたことが日本におけるSpotifyの動向から解ります。少なくとも「新時代」はグローバルチャートに登場する可能性が高まりました。

(上記は日本におけるSpotifyデイリーチャート、8月11日付におけるトップ10作品のこの4ヶ月における動向。最新8月11日付ではAdo「新時代」が425,365回再生を記録しています。)

 

女性歌手のアニメ映画主題歌による大ヒットで思い出すのがLiSA「炎」。映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』主題歌としてビルボードジャパンソングスチャートにおいて2年連続で年間トップ10入りを記録したこの曲は、グローバルチャートではJ-Popで最高位を記録しました。ならばAdo「新時代」のこのチャートでのトップ10入りも期待できるかもしれません。

LiSA「炎」は2020年10月31日付Global 200でJ-Pop最高の8位を記録。その内訳はストリーミングが1940万回再生、そしてダウンロードが97,000DLとなっています。とりわけダウンロードは当時最高記録を更新したのですが、その高さは映画公開直後であったことに加えて、アルバムがリリースされておらずシングルに売上が集中したことも影響したと考えられます。

Ado「新時代」はストリーミングにおいて日本の分だけでもLiSA「炎」を超える可能性は高い一方、解禁が2ヶ月前だったためダウンロードはさほど高くないでしょう。また次回8月20日付グローバルチャートの集計期間終盤にはアルバム『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』がリリースされ所有行動が単曲ダウンロードからアルバム(フィジカル/デジタル)に移ることから、ダウンロードは今後も高くない状態が続くものと思われます。

ゆえにAdo「新時代」はグローバルチャートのうち、チャートが200位まで可視化されたGlobal 200においては次回初登場の可能性が高いものの、LiSA「炎」に次ぐトップ10入りは難しいというのが私見です。

 

グローバルチャートにおけるJ-Popは、ストリーミングもダウンロードも日本国内での獲得分がポイントの大半となっています。ですので、このチャートでAdo「新時代」が躍進を目指すならば、日本でのストリーミングが高いうちに『ONE PIECE FILM RED』が海外で公開され、海外での「新時代」人気を高めていく必要があるでしょう。フランスでも好スタートを切ったことから、この点は期待できるかもしれません。

 

 

今回はグローバルチャート分析についてより多く記載しましたが、それだけ次週のビルボードジャパンにおけるAdoさんの席巻は間違いないと捉えています。以前TOKIONに下記コラムを寄稿した者として、グローバルチャートの推移を見守っていきます。