今週水曜、Perfumeが4年ぶりとなるオリジナルアルバム『PLASMA』をリリース。このアルバムおよびリード曲「Spinning World」に関する施策が興味深いのです。
「Spinning World」の格好良さの正体は、YouTubeのコメント欄でもみられるフュージョン(という音楽ジャンル)らしさ。Twitterではこの曲に合わせてフュージョンアプローチのギターフレーズを挿入する動画もみられましたが、1980年代アプローチ曲が少なくない中でフュージョンを持ち込む中田ヤスタカさんの才覚には驚かされます。
Perfumeはこの「Spinning World」および『PLASMA』で様々なプロモーションを行っていますが、今の時流に合わせた動きは注目すべきと考えます。
たとえばメディア露出について。
7/30(土)11:05〜
— Perfume_Staff (@Perfume_Staff) July 23, 2022
フジテレビ系
『KinKi Kidsのブンブブーン!』に
出演が決定👼✨
Perfumeの持ち込み企画で
ダンスゲームや
まさかのガールズトークなど💜
KinKi Kidsさんと大盛り上がり🤭
ぜひご覧ください🔥🔥
※地域によって放送日時が
違う場合がございます。#KinKiKidsのブンブブーン#prfm pic.twitter.com/pbPWiQucoX
7/26(火)15:40〜
— Perfume_Staff (@Perfume_Staff) July 22, 2022
MBS「よんチャンTV」に
Perfumeのコメント出演が決定🔥
関西地方の方はぜひご覧ください👼#よんチャンTV #prfm pic.twitter.com/B4q77kYT6I
Perfumeスタッフによる公式Twitterアカウント(→こちら)に表示されたメディア出演一覧表および全国プロモーション一覧表は徐々に更新されていきます。時系列で並べられていることで解りやすいのみならず、次はいつ?というワクワク感も創出可能。作品のリリーススケジュールにおいてK-Popアクトが巧いことについてはTOKIONに寄稿したコラムでも書きましたが(→こちら)、Perfumeは異なるアプローチながらも巧さが光ります。
そしてPerfumeは、以前から展開していたTikTokでも相次いで投稿。今月に入り4本、うち「Spinning World」については3本を投稿しています。
@perfumeofficial Spinning World🌎💫#take3とか#光一さん踊ってくれるかな🫶🏻#スピニングチャレンジ #prfm ♬ Spinning World - 3rd Chorus Ver. - Perfume
定点カメラのコンパクトな画面内で踊るというTikTokの踊ってみた的チャレンジにPerfumeの作品やダンスはピッタリではないでしょうか。今回「Spinning World」を3本投稿したのは、”#スピニングチャレンジ”というチャレンジ企画の一環。ハッシュタグチャレンジは今多くの歌手が採り入れているものです。
『#スピニングチャレンジ』もTikTokでスタート!
— Perfume_Staff (@Perfume_Staff) July 6, 2022
メンバーのダンス動画が公開!
皆さんのチャレンジ投稿お待ちしています✨https://t.co/AwEfUGXh0H
さらにフォトモーションエフェクト
『スピニングチャレンジ』もSTART!
ぜひ使って投稿してみて下さい💫
詳細は
👉https://t.co/van7wZQvHF#prfm pic.twitter.com/43SWj4mlnw
TikTokを新曲プロモーションに用いるのは定番になってきましたが、Perfumeは楽しみながら取り組んでいる印象があり、別曲における乗っかり方がそれを物語っています。
@perfumeofficial 本家だいじょーぶそ?🙄#だいじょばない #prfm @oshima_siblings ♬ だいじょばない - Perfume
”本家”と記しているのは、元々オリジナルの振り付けを施したおおしま兄妹による「だいじょばない」ダンスをPerfumeがカバーしているため。おおしま兄妹に分かるように彼らのアカウント名を表記したことで交流が生まれています。
Perfume、2013年のリリース曲がTikTokでバズる 本家ダンス動画に「女神が3人」「最強」と反響殺到
— モデルプレス (@modelpress) July 17, 2022
▼動画・記事詳細はこちらhttps://t.co/IEWC0Lb19T#だいじょばない #prfm @perfumeofficial
インフルエンサーのオリジナルダンスを歌手本人が取り入れバズを拡大させた例として、Tani Yuuki「W/X/Y」や広瀬香美「ロマンスの神様」が挙げられます(いずれもこのブログで紹介。「W/X/Y」はこちら、「ロマンスの神様」はこちら)。今月開催されたTikTok2022上半期トレンド大賞を「ロマンスの神様」が受賞しており(さらに「W/X/Y」はミュージック部門を受賞)、本人が楽しむ姿勢の重要性が解ります。
\TikTok 2022🏆上半期トレンド結果発表/
— TikTok Japan【公式】ティックトック (@tiktok_japan) July 15, 2022
受賞されたみなさま、おめでとうございます❕
🏅大賞
ロマンスの神様
🏅チャレンジ部門#PAKU
🏅ミュージック部門
W/X/Y
🏅エフェクト部門
ハートアイズ
広瀬香美さんはじめ、受賞者のみなさまからメッセージを頂戴しています✨https://t.co/4G2ZB1262P pic.twitter.com/l8IrMAtGJj
「ロマンスの神様」がTikTok上半期トレンド大賞 広瀬香美「大切に歌い続けてきてよかった」#ロマンスの神様 #TikTok #広瀬香美 #TikTok2022上半期トレンド #タイガの振り付け @kohmi https://t.co/8QHK5oy5PG
— マイナビニュース・エンタメ【公式】 (@mn_enta) July 15, 2022
歌手本人がインフルエンサーに刺激を受けてTikTokに投稿することでさらなるバズを起こす…このことは、最近では水曜日のカンパネラ「エジソン」の総合ソングスチャートトップ20入りでも証明されています(同曲については下記ブログエントリーにて紹介)。これを踏まえ、全体の投稿数が少ないとしても楽しんでみる姿勢が大事だと解ります。
Perfumeの作品はダウンロードである程度ヒットし、ラジオとの相性も好いのですが、ストリーミングでヒットに至れていない印象があります。7月15日金曜にリリースされた「Spinning World」は最新7月20日公開分(7月25日付)ビルボードジャパンソングスチャートでデジタルが初加算されましたが、ストリーミング(CHART insightでは青で表示)は300位以内に達していません。
一方で「Spinning World」はSpotifyで安定した再生回数を獲得しはじめています。尤も日本におけるSpotifyデイリーチャートで「Spinning World」が初めて200位以内に入ったのは7月19日とやや遅いのですが、以降は1日3万回以上の再生回数をキープし154~176位の間に滞在。日本におけるSpotifyでの「Spinning World」の合計再生回数はPerfume史上歴代6位を記録しています。
「ポリリズム」や「チョコレイト・ディスコ」といった代表曲がヒットに至れていないのはオリジナル版の発売時期にSpotifyがなかったこともありますが、Perfumeのサブスク解禁がベスト盤リリースに合わせた2019年9月と遅かったことも影響したでしょう。日本におけるSpotifyでPerfumeの最高再生回数(デイリー200位以内在籍分のみ計算)は「Time Warp」の48万回であり、「Spinning World」が更新する可能性は十分です。
スケジュールの解りやすい可視化やTikTokの楽しみながらの活用が、Perfume「Spinning World」や『PLASMA』の話題を押し上げる可能性は十分と言えます。
2010年代より前にデビューした歌手はストリーミングが強くないことが多く、その克服の重要性はback number「水平線」を紹介した際にも記しました(上記リンク先参照)。今回紹介したPerfumeのアプローチは現在の潮流に合わせた仕様であり、リード曲やアルバムがヒットに至るかに注目したいと思います。