毎週木曜以降は、最新のビルボードジャパン各種チャートについてお伝えします。
6月13~19日を集計期間とする6月22日公開(6月27日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。解禁後初の1週間フル加算に伴い、BTS「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」が前週より4ランクアップし、首位を獲得しました。
【ビルボード】BTS「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」ストリーミング1位で総合首位獲得 https://t.co/u1M6bmWZAg pic.twitter.com/JSzF1fHXjc
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2022年6月22日
日本時間の6月10日金曜13時に解禁されたBTS「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」のポイント上昇は予想できたことではありますが、今回トップ3が僅差だということに驚かされます。ポイント前週比は首位のBTS「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」が150.5%に対し、2位のSEKAI NO OWARI「Habit」が103.9%、3位のOfficial髭男dism「ミックスナッツ」が99.6%といずれも高水準となっています。
この僅差の理由はどこにあるでしょうか。
最新ソングスチャートのトップ5については、4位および5位がフィジカル関連指標初加算に伴う上昇であり、上位3曲と動向が異なります。また共にデジタルが強くないため、次週の急落は免れない状況です。
一方で上位3曲をみると、BTS「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」は指標別の首位がストリーミングのみ。しかもこの曲はストリーミング再生回数に個別係数処理が施されています。この適用については、チャート分析や予想を行う紅蓮・疾風さんのツイートによって判明しました(このツイートが登場する前に自分はポッドキャストを録音していますが、その際は係数処理未適用として紹介しています)。
結果詳細 & 予想反省①#BTS「#YetToCome」は圧倒的なストリーミング再生数を原動力に総合首位獲得も、Hot 100では @LINEMUSIC_JP キャンペーン実施に伴う係数処理が発生かけられ、1,100~1,150万再生に圧縮されている。なおSpotify率は13.4%と、首位の妥当性は極めて高い。https://t.co/WN4tAXJPid pic.twitter.com/noGciG9PDa
— 紅蓮・疾風 (@ideal_charts) 2022年6月22日
ビルボードジャパンは今年度第2四半期途中に、LINE MUSIC再生キャンペーンに伴いStreaming Songsチャートを制しながらも他のサブスクサービスとの乖離が大きい曲については個別係数処理を施すというチャートポリシー変更を行っています。キャンペーン実施曲でもStreaming Songsチャートを制していない場合は個別係数処理が適用されない等、このチャートポリシー変更は完璧ではないと以前から提示してきました。
BTSは「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」でLINE MUSIC再生キャンペーンを採用し、今回の集計期間5日目までを対象期間としています。最新チャートにおけるStreaming Songsチャート制覇、ならびに前週は解禁後2日半で6位に入りましたが、これらは他のサブスクサービスでも強いながらキャンペーンの影響が大きかったことは自明です。
しかし最新チャートにおける総合およびStreaming Songsチャートの記事(上記)では、BTS「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」の個別係数処理適用に触れられていません。個別係数処理が施されたことで2位のSEKAI NO OWARI「Habit」とのポイント差が500弱との僅差になっていることを踏まえれば、他指標の動向如何では、また係数処理がより大きく適用されていたならば、2曲の順位交代もあり得たでしょう。
ビルボードジャパンのチャートポリシー変更後、たとえばStreaming Songsチャートを制しためいちゃん「ラナ」やBE:FIRST「Bye-Good-Bye」(後者は5月25日公開分(5月30日付)における)は係数処理適用により指標化の際に首位ではなくなりましたが、BTS「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」は指標化後も首位のために個別係数処理が適用されなかったと思われておかしくありません。ゆえに今回の僅差に疑問を持った方も少なくないでしょう。
ビルボードジャパンはチャートポリシー変更についてはきちんと発表した以上、個別係数処理適用についても実施したか否かをはっきり提示すべきだというのが私見です。そしてLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲がStreaming Songsチャートを制した場合は基本的に個別係数処理を実施することを明記し、Streaming Songsチャート首位以外でもキャンペーンを採用したならば同じく個別係数処理を適用すべきです。
この疑問や提案は以前から申し上げていますが、今回の係数処理適用の未掲載にはあらためて疑問を抱いた次第です。上記ブログエントリーでは5月25日公開分(5月30日付)における総合ソングスチャートの記事を紹介していますが、そこではBE:FIRST「Bye-Good-Bye」のストリーミング指標化の際に個別係数処理が行われたことがきちんと記されています。
それにしても、今回のチャートでも2曲の強さが際立ちます。
BTS「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」のダウンロード数は8,430と2曲より少なくなっています。これは、リリース直後の売上の反動であると共に最新週で『Proof』がアルバムチャートを制しており、所有行動をアルバムに移行させた方が多いためと想像できます。
そしてストリーミングにおいては、LINE MUSIC再生キャンペーン未実施の2曲が1千万回前後の再生回数を記録。特にSEKAI NO OWARI「Habit」の1千万回超えは記録的な数値です。これは前週同曲が「ミックスナッツ」を上回った際の原動力となった動画が、その影響を持続させているゆえと言えるでしょう。
「Habit」がさらなる浮上を遂げた背景にはテレビメディアで取り上げられたこともあれど、HIKAKINさんとの共演によるミュージックビデオ再現が大きく、これが前週において動画再生指標を大きく押し上げています。最新6月22日公開分(6月27日付)においてもその影響は続き、「Habit」は動画再生指標で引き続き首位に。そしてストリーミング指標においても「ミックスナッツ」を逆転した形です。
ありがとう1000万再生🫲🤓🫱
— HIKAKIN😎ヒカキン 【YouTuber】 (@hikakin) 2022年6月21日
SEKAI NO OWARI「Habit」HIKAKIN ver. https://t.co/L0DtLN8EPJ @YouTubeより pic.twitter.com/iE0Nc9LMut
コラボ動画は今週1千万回再生を突破し、「Habit」の各指標にもさらに影響を及ぼすことは確実。そして「ミックスナッツ」共々2曲は昨日フィジカルシングルをリリースしており、次週はこの2曲が首位争いを演じることは間違いありません。BTS「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」はLINE MUSIC再生キャンペーンの終了やSpotifyでのダウン傾向等を踏まえれば、次週の後退は免れないとみていいでしょう。
次週は「Habit」「ミックスナッツ」のハイレベルでの首位争い、またBTS「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」がポイントをどこまでキープできるかについても、注目していきましょう。