イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ケイト・ブッシュ、ケニー・ロギンス…1980年代中盤の作品が再注目を集めている件が興味深い

ビルボードのソングスチャートはこの1ヶ月が嵐の連続。アルバムチャートが4週連続で今年最高のユニット数を更新したのを機に、その更新者であるフューチャー、バッド・バニー、ケンドリック・ラマーそしてハリー・スタイルズがソングスチャートでも4曲同時トップ10入りを果たしました。

次週はようやく嵐が収まるかと思いきや、リバイバルヒット作品がトップ10入りする可能性が高いとの指摘が。嵐はまだまだ続きそうです。

「Wuthering Heights (邦題:嵐が丘)」(1978)のヒットで知られるケイト・ブッシュが1985年のアルバム『Hounds Of Love』のリード曲としてリリースした「Running Up That Hill (A Deal With God) (邦題:神秘の丘)」が突如人気に。Spotifyデイリーチャートでは5月28日に世界各国で200位以内に登場すると、翌々日にはイギリス、5月31日にはアメリカでも首位を獲得。最新6月1日付では両国で首位となり、米では200万回再生を突破しました。グローバルでは6月1日付で2位ながら、首位のハリー・スタイルズ「As It Was」との差を150万弱から43万弱と、この1日で大きく縮めているのです。

ダウンロードでも好調なケイト・ブッシュ「Running Up That Hill (A Deal With God)」は、日本時間で6月7日火曜早朝に発表予定の6月11日付米ビルボードソングスチャートトップ10に登場するだろうと、複数の予想担当者が指摘。米ソングスチャートはラジオも含むため、動きの鈍い同指標の影響でトップ3入りは難しいと思われますが、一方でラジオを含めないグローバルチャートではより高い順位に到達するかもしれません。

 

米ではリリース当時最高30位だったケイト・ブッシュ「Running Up That Hill (A Deal With God)」が最高位を更新する可能性が高いは、同曲が映像作品に使用された影響が大きいゆえ。

Netflixオリジナルシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のシーズン4が5月27日から配信開始され、Netflixの週末オープニング記録(英語TVドラマシリーズ部門)を更新した。

(中略)

配信初週の3日間で、約2億8679万時間の視聴時間を記録し、Netflixの英語TVドラマシリーズ部門において過去最高の週末オープニング記録を更新した(5月23日から5月29日の集計)。

この記録は、これまで同ジャンルの週末オープニング記録において、歴代最高記録を保持していた『ブリジャートン家』シーズン2(2022年3月25日配信開始)の、1億9300万時間の視聴記録を大きく塗り替える結果となった。

Netflixストレンジャー・シングス 未知の世界 シーズン4』のVol.1(全9話のうち7話分)が5月27日に公開(残る2話分はVol.2として7月1日に公開)。そのシーズン4で用いられたのがケイト・ブッシュ「Running Up That Hill (A Deal With God)」なのです。使われ方についてはビルボードジャパンの記事をご参照いただきたいのですが(→こちら。ネタバレ有りにつき注意)、下記公式プレイリストでは最上位にこの曲が登場しているのです。

(プレイリストは今後更新される可能性が高いため、6月3日現在の収録内容最上位をキャプチャしたものを上記に掲載します。)

映像作品の大ヒット、さらに公式プレイリストでの最上位登場は、作品に見入った方を曲に引き込むに十分と言えます。まずは次週の米ビルボードによるソングスチャート、およびグローバルチャートでの再登場に注目しましょう。

 

今回のチャートアクションについては、デジタル音楽ジャーナリストのジェイ・コウガミさんのツイートを機に、より強く意識するようになりました。

ジェイ・コウガミさんが採り上げた『トップガン マーヴェリック』も世界中で大ヒットしていますが、実は最新6月1日付米Spotifyデイリーチャートをみると、主題歌となったたレディー・ガガ「Hold My Hand」は200位以内に登場せず、他方ケニー・ロギンス「Danger Zone」が187位にエントリーしています。

同日付グローバルでのSpotifyデイリーチャートでは逆となったものの、また順位は高いとは言えませんが、しかし「Danger Zone」のリバイバルも興味深いですね。「Danger Zone」のリリースは1986年であり、ここにきて1980年代中盤の作品が再注目を集めているのは面白い現象です。

「Danger Zone」は『トップガン マーヴェリック』サウンドトラックに収録されており、作品との結びつき、印象度の高さがリバイバルヒットをもたらしたと言えるでしょう。