米ビルボードが一昨年秋に新設したグローバルチャート。世界200以上の地域における主要デジタルプラットフォームのストリーミング(動画再生含む)およびダウンロードで構成されたこのチャートは、Global 200とGlobal Excl. U.S.(Global 200より米の分を除く)の2種類が存在します。
グローバルチャートについては上記ブログエントリーにて解説しています。また最新チャートについては米ソングスチャート同様、昨日速報版を紹介しました。
米ビルボードの最新4月16日付各種チャートは昨日夕方に全容が判明。Global Excl. U.S.は米ビルボードの有料会員のみ公開のためデータの公表はできませんが、Global 200においてはJ-Popが窮地とも言える状況。200位以内のランクイン作品が1曲しかなく、その順位も低くなっています。
グローバルチャートの最新動向を紹介。
— Kei (@Kei_radio) 2022年4月12日
2022年4月16日付 #Global200 200位以内のJ-Popの動向
(集計期間:4月1~7日)https://t.co/o2SXtBq9R7
・135→155位 #Aimer「#残響散歌」
最新4月16日付、米ビルボードによるGlobal 200はこちらで確認できますが、今年度のGlobal 200におけるJ-Popランクイン数は昨年12月11日付(→こちら)に並び最新週が最少となっています。ただ、12月11日付においてはクリスマスソングの大挙再登場に伴いJ-Popが押し出されたわけで、最新4月16日付Global 200におけるJ-Popの動向は、J-Popの強くなさが原因と考えていいでしょう。
ではJ-Popの動向を、ビルボードジャパンソングスチャートからみてみます。
上記はビルボードジャパンソングスチャートの10位および50位のポイントを定点観測したものであり、緩やかな減少傾向と言えます。特に10位については今年度、昨年度にはなかった4千ポイント割れが3週続けて発生している状況です。
(後者のグラフは、10位のみを抽出したもの。)
Global 200の構成指標でもあるダウンロードについて、ビルボードジャパンソングスチャートにおけるダウンロード指標の推移をみると、特に10位のダウンロード数が大きく減少しています。ダウンロードは初登場時の瞬発力に大きく影響し、社会的なヒット曲となれば緩やかながら売れ続けるものですが、全体的な勢いは低下。ともすればダウンロードそのものが漸減を免れない指標と言えるかもしれません。
(後者のグラフは、10位のみを抽出したもの。)
ビルボードジャパンソングスチャートにおけるストリーミング指標(日本の場合はグローバルチャートと異なり、動画再生は別途指標が設けられています)の推移をみると、上昇自体は続くもののその度合は緩やかになっており、10位においてはむしろ減少しているとも言えるでしょう。
ストリーミング指標にデータを提供するSpotifyの再生回数推移をみれば、上位陣の緩やかながら着実な減少が解ります。4月1日付では優里「ベテルギウス」が首位になりましたが、首位の再生回数は元日以来となる20万割れとなりました。一方で先週末は伸びており、また4月10日における200位の再生回数は昨年のクリスマスイブそしてクリスマス当日以来となる3万超えを果たしています。
これらを踏まえれば、ストリーミングについてユーザー数自体は拡大する一方、上位陣が強くないと捉えていいでしょう。ダウンロードの漸減も相俟って、グローバルチャートでJ-Popの存在感が薄れる理由が見えてきた気がします。
本日発表の4月13日公開分(4月18日付)ビルボードジャパンソングスチャート以降、たとえばテレビアニメ『SPY×FAMILY』の主題歌である星野源「喜劇」およびOfficial髭男dism「ミックスナッツ」の上位進出、またSpotifyデイリーチャートを制したTani Yuuki「W/X/Y」の上昇も予想されます。これらの曲が上位陣の活性化につながり、いずれはグローバルチャートにおけるJ-Popの存在感提示につながることを願います。