最近のビルボードジャパン発によるツイートで、大きな伸びを示しているのがこちら。
米津玄師/ONE OK ROCKが米ビルボード・グローバル・チャート入り https://t.co/2c60T72Jl6 pic.twitter.com/4ZjRJ4WuJS
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2021年6月10日
6月12日付グローバルチャートでは日本人歌手の2作品が初登場を果たしました。今回はこちらの記事に対し、自分なりに解説を加えてみます。
上記記事は、米ビルボードがアップした記事を翻訳したもの。米ビルボードは日本人歌手の活躍について時折書かれるのですが、有料会員のみが確認できる記事ゆえビルボードジャパンの翻訳は非常にありがたく感じます。
Japan's Kenshi Yonezu and One OK Rock debut on the Global Excl. U.S. charthttps://t.co/i3uOB2om3i
— billboard (@billboard) 2021年6月9日
米ビルボードはほとんどのチャートの公開を有料会員のみに限定。グローバルチャートについては無料会員への公開が100位までに限られており、米津玄師「Pale Blue」がGlobal 200で134位に入っていると伝えることは大きな意義があります。
さて、そもそもグローバルチャートとは何かをおさらいしましょう。グローバルチャートは米ビルボードが昨年秋に新設した、世界でのヒット曲が可視化されたチャート。Global 200、そしてGlobal 200からアメリカの分を除いたGlobal Excl. U.S.の2種類があります。
グローバルチャートについて、詳しくは上記ブログエントリーをご参照ください。簡単にまとめるならば金曜が集計開始日となり、主要デジタルプラットフォームにおけるストリーミングとダウンロードで構成。ラジオやフィジカルセールス、歌手のホームページ上でのダウンロードは含まれず、一方でストリーミングにはYouTubeやFacebookの公式動画が含まれます。発表は日本時間の火曜となります。
5月28日~6月3日を集計期間とする6月12日付グローバルチャートにおいて、Global 200で134位、Global Excl. U.S.で48位に初登場を果たしたのが米津玄師「Pale Blue」。配信は5月31日月曜であり、実質4日間でこの位置に到達したことに。ミュージックビデオの解禁が6月4日金曜であり、動画再生回数が次週6月19日付のグローバルチャートに初加算されることから次週はさらなる上昇の可能性もあるでしょう。
リコカツありがとうございました。新曲を投稿しました。よろしく🥶
— 米津玄師 ハチ (@hachi_08) 2021年6月4日
米津玄師 - Pale Bluehttps://t.co/xLHrsgaObp
6月12日付グローバルチャートではONE OK ROCK「Broken Heart of Gold」がGlobal 200で173位、Global Excl. U.S.で66位に初登場。こちらの解禁は5月28日金曜。海外では金曜が一般的な解禁日であり、ONE OK ROCKはそれに沿ったものと考えられます。6月9日にはリリックビデオ兼日本語訳追加の動画が公開されており、再来週のチャートに大きく反映されます。
新曲の日本語字幕入り#lyricvideo が公開!
— ONE OK ROCK_official (@ONEOKROCK_japan) 2021年6月9日
ONE OK ROCK - Broken Heart of Gold [Japanese Version LYRIC VIDEO]https://t.co/afsm7Zo6UC#oneokrock #brokenheartofgold
記事で紹介されたのは初登場を果たした上記2曲ですが、グローバルチャートでは特にGlobal Excl. U.S.において、日本人歌手の作品が毎週登場しています。自分はチャート100位以内エントリー曲について毎週つぶやいています。
米ビルボードによるグローバルチャート。
— Kei (@Kei_radio) 2021年6月8日
6月12日付 #Global200 100位以内のJ-Popの動向
(集計期間:5月28日~6月3日)
・190→87位 #backnumber「#怪盗」
米ビルボードによるグローバルチャート。
— Kei (@Kei_radio) 2021年6月8日
6月12日付 #GlobalExclUS 100位以内のJ-Popの動向
(#Global200 から米の分を除く)
(集計期間:5月28日~6月3日)
・69→37位 #backnumber「#怪盗」(最高位更新)
・48位 (初登場) #米津玄師「#PaleBlue」
・64→64位 #YOASOBI「#怪物」
(続く)
米ビルボード 6月12日付 #GlobalExclUS 100位以内のJ-Popの動向。
— Kei (@Kei_radio) 2021年6月8日
(続き)
・66位 (初登場) #ONEOKROCK「#BrokenHeartofGold」
・71→69位 #YOASOBI「#夜に駆ける」
・67→70位 #藤井風「#きらり」
・65→82位 YOASOBI「#もう少しだけ」
・99→88位 #Ado「#踊」
・92→89位 #優里「#ドライフラワー」
最新6月12日付におけるback number「怪盗」の上昇は、同曲が5月24日月曜に公開され、今週初めて1週間フル加算されたため。一方でYOASOBI「夜に駆ける」や藤井風「きらり」等はロングヒットとなっています。
グローバルチャートでより好いチャートアクションを示すには、各指標の充実が求められます。直近のグローバルチャートでは2種ともにBTS「Butter」が2連覇を達成し、初登場時には2つのチャートの2つの指標共に最高記録を塗り替えたのですが、「Butter」が初登場するまではLiSA「炎」が、Global Excl. U.S.において週間最多ダウンロード数を記録していました(下記ブログエントリーにその記録を掲載)。
ダウンロードは海外に比べて日本は高水準でありグローバルチャート初登場時の順位上昇に大きく貢献する一方、ストリーミングは海外に比べて弱いため、安定しても上位進出に至りにくいという現状があります。また日本では音源の解禁日をフィジカルセールスに合わせて水曜に、もしくはビルボードジャパンの集計開始日に合わせて月曜にという傾向が目立ちながら、金曜解禁を徹底する動きは小さく、ゆえに初登場時のインパクトが高くないとも言えます。
グローバルチャートは日本での成功が大きく反映されることから、海外を意識したチャート施策を行うのはさほど意味がないかもしれません。しかしネット時代においてはデジタルリリースがイコール世界リリースとなります。各歌手が海外への訴求を強めることも必要ながら、レコード会社や芸能事務所が通常リリース日をそしてビルボードジャパンが集計開始日を、世界に倣って金曜にすることの是非を議論して欲しいと願います。仮に金曜が標準日となれば、世界に向けての意識は自ずと強くなることでしょう。
さらなる願いは、ビルボードジャパンによるグローバルチャートの記事化。ソングスチャートのように日本で作成した記事を米ビルボードに渡すことで、米ビルボードは毎週翻訳記事をアップすることでしょう。そうすれば日本の音楽に興味を持つ方がきっと増えるはずです。なお下記は最新6月9日公開(6月14日付)ビルボードジャパンソングスチャートの翻訳記事となります。
. @BTS_twt's #Butter holds at No. 1 on the latest Billboard Japan Hot 100, dated May 31 to June 6. https://t.co/XGMB7yVBU3
— billboard (@billboard) 2021年6月9日