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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

HANA「Blue Jeans」はグローバルチャートで高位置に就けた可能性…ビルボードジャパンへの提案を再掲する

最新7月23日公開分のビルボードジャパンソングチャートではHANA「Blue Jeans」が首位に初登場。週間獲得ポイント、週間ストリーミング再生回数の双方で今年度最高記録を更新したことについては昨日のブログエントリーで紹介しています。

ビルボードジャパンソングチャートの記事は米ビルボードで英訳されていますが、その米ビルボードによるGlobal 200でも、HANA「Blue Jeans」は200位以内に初登場しています。

 

ビルボードは2020年9月にグローバルチャートを創設。世界200以上の国や地域における主要デジタルプラットフォームのストリーミング(動画再生含む)およびダウンロードの2指標で構成され、Global 200および(Global 200から米の分を除く)Global Excl. U.S.が存在します。ふたつのチャートは日本時間の火曜早朝にトップ10が、同日夜にはGlobal 200の200位までが公開されます(Global Excl. U.S.は米ビルボード有料会員のみに公開)。

HANAはGlobal 200にて「ROSE」が4月19日付(111位)、4月26日付(167位)と2週続けてランクインし、今回「Blue Jeans」が159位に初登場を果たした形です。なお日本の楽曲は今年3月以降ランクインが減少しており、「Blue Jeans」はMrs. GREEN APPLE「breakfast」(6月21日付 173位)以来の登場となります。

 

当週はBLACKPINK「JUMP」がふたつのグローバルチャートでストリーミングが1億回再生を上回り、初登場で首位を獲得。またトラヴィス・スコット、ジャスティン・ビーバー、TWICE等が米アルバムチャートに初登場したタイミングで収録曲がGlobal 200にも登場し、最新7月26日付Global 200では述べ28曲が初登場を果たしています。その状況下で、HANA「Blue Jeans」の159位初登場は健闘といえるでしょう。

もっといえば、金曜を集計期間初日とするGlobal 200において、HANA「Blue Jeans」は月曜にデジタルを解禁。同曲は集計対象4日間で200位以内に至ったことになります。

7月26日付Global 200を基に日本市場分を除いた上で日本の楽曲を抽出する、ビルボードジャパンによる7月24日公開分のGlobal Japan Songs Excl. JapanではHANA「Blue Jeans」が20位以内に登場していないため、「Blue Jeans」のGlobal 200ランクインは主に日本市場分におけるポイント獲得が大きいと読み取れます。それでも先述した米ビルボードでの英訳記事紹介等もあり、今後海外へも認知浸透が図られていくことでしょう。

 

 

さて、今回の記録を踏まえて感じたのは、”HANA「Blue Jeans」が金曜リリースだったならば”という、いわゆるタラレバです。

 

HANA「Blue Jeans」でのリリーススケジュール、すなわちデジタルとフィジカルの同週リリースはBMSGの先輩であるBE:FIRSTがスケジュール施策として用いており、今年度のビルボードジャパンソングチャートにおける週間獲得ポイント上位3曲(「Blue Jeans」およびBE:FIRST「GRIT」「Spacecraft」)はすべてデジタル/フィジカル同週リリースの作品です(週間獲得ポイント上位3曲については冒頭のブログエントリーを参照)。

HANAは前フィジカルシングル表題曲「ROSE」にて水曜にデジタル解禁、その3週後にフィジカルをリリースしていましたが、今作「Blue Jeans」では日本市場でさらなる成果をあげるべくこのようなスケジュール施策を採用したのかもしれません。

一方で最新7月23日公開分ビルボードジャパンソングチャートで2位のHANA「ROSE」が5,766ポイントだったことを踏まえれば、「Blue Jeans」は7月18日金曜にデジタルリリースしたとしても総合首位に至ったかもしれません(フィジカルリリースを7月23日に設定すれば総合2連覇の可能性も高まったのではないでしょうか)。そして8月2日付Global 200では、初週1週間フル加算に伴い100位以内初登場も狙えたのではと捉えています。

 

無論これは仮説に過ぎず、またHANAのグローバル施策がどのようなものなのかは分かりかねますが、しかしながらビルボードジャパンソングチャートが海外のチャート同様に金曜を集計期間初日としていたならば、日本とグローバルの双方で上位初登場を狙えたと考えます。集計期間を合わせる等ビルボードジャパンのチャートポリシー(集計方法)をグローバルに沿わせることの必要性については、以前から提案しています。

J-POP躍進のヒントについてはまず、2022年6月にTOKIONへ寄稿したコラムにて提案した内容を再掲します。チャートの認知度を日本国内で上昇させること、ドメスティックなリリースタイミングを改善すること、ビルボードジャパンの音楽チャートがグローバルチャートに近づける形でチャートポリシーを見直すこと、歌手側やコアファンの意識が高まること等、いわば【音楽業界が総出で環境を改善すること】が必要と考えます。

(中略)

海外作品の解禁が基本的に金曜なのは、海外チャートの集計開始日に即しているため。他方日本では未だフィジカルセールスが軸ゆえかデジタルも水曜解禁が目立ち、そして日本の音楽チャートはビルボードジャパンも含め、月曜が集計開始日となっています。この集計開始日のずれがJ-POPの施策をドメスティックに狭めかねない一因と考えるに、合算等も含めてチャートポリシーをグローバルに沿わせるよう検討すべきです。

この提案内容がより多くの音楽関係者に届き、ビルボードジャパン側に再考を促していくことを願います。