イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

2021年上半期の社会的なヒット曲、もしくはチャートを語る上で欠かせない曲10選

今年上半期に社会的にヒットした、もしくはチャートを語る上で欠かせない曲を10曲選んでみました。邦楽は6月4日に発表されたビルボードジャパン上半期チャートを参照しています。

昨年度についてはこちら。

今回は昨年12月から今年5月の間にヒットした作品を取り上げています。リリースタイミングはこの限りではありません。各曲の終わりには、その作品を取り上げている代表的なブログエントリーのリンクを掲載しています(ただし⑩はビルボードジャパンの記事を紹介しています)。

 

 

2021年上半期の社会的なヒット曲、もしくはチャートを語る上で欠かせない曲

 

① 優里「ドライフラワー

上半期チャートを制したのが優里「ドライフラワー」。週間最高2位、フィジカル未リリースでこの地位に就けたのは何より楽曲の持つポテンシャルの高さ、そして自身の徹底したSNS活動に因るエンゲージメントの確立にほかなりません。今年下半期になってビルボードジャパンがフィジカルセールス指標のウェイト減少を実行したことで、今後はロングヒットながら週間1位を逃すというパターンは減るものと思われます。ある意味、この「ドライフラワー」がチャートの変革を引き起こしたと言えそうです。

 

② Ado「うっせぇわ」

上半期チャート5位を記録したAdo「うっせぇわ」。首位獲得に至れたのは当該週に強力なフィジカルセールス初加算曲がなかったこと、優里「ドライフラワー」のミュージックビデオ短尺版化も影響していますが、コラムのバズも相俟って「うっせぇわ」が社会現象化していることが首位獲得により尚の事明白に。「ギラギラ」「踊」も連続ヒットし、本日には「夜のピエロ」もリリース。新曲を畳み掛ける体制も歌手の知名度向上につながっています。

 

③ Eve「廻廻奇譚」

社会現象化したといえばテレビアニメになった『呪術廻戦』もそのひとつ。地元店舗からコミックが消えたのが衝撃的でした。このアニメの第1クールオープニングテーマとなった「廻廻奇譚」は、原作の大ファンであるEveさんがその世界観を見事に踏襲しヒット。さらにはアニメ最終回のタイミングでライブ映像を公開しロングヒット化を加速させ、上半期チャート9位に至っています。

 

④ YOASOBI 「アンコール」

SNSにおけるエンゲージメント確立の最たる成功例がYOASOBIであることは間違いありませんが、『NHK紅白歌合戦』以降の知名度上昇には目をみはるものがあります。この「アンコール」がリード曲となったEP『THE BOOK』はフィジカルが完全生産限定盤ながらデジタルやルックアップがめざましく、Mr.Children『SOUNDTRACKS』を上回り上半期アルバムチャート2位に。ソングスチャートでは3曲トップ10入り、そしてアーティストランキングを制しています。

 

Awesome City Club「勿忘」

映画『花束みたいな恋をした』のインスパイアソングという位置付けの「勿忘」は、映画の大ヒットに沿うようにロングヒットし週間最高5位、11週連続のトップ10入りを記録。インスパイアソングという新たなヒットの鉱脈が見つかった等、様々な気付きをもたらした曲と言えそうです。ヒットの理由として考えられるいくつかの点は、2月の私的ベスト選出時に記しています。

 

⑥ オリヴィア・ロドリゴ「Drivers License」

ディズニープラスのドラマで歌声を披露しているオリヴィア・ロドリゴの正式デビュー曲が初登場から8週連続で米チャートを制覇。横恋慕されたという自身の失恋を想起させる曲でライト層、とりわけゴシップを楽しむ層の興味を惹くことに成功し、奪った側とされるサブリナ・カーペンターの返歌も登場。テイラー・スウィフトを敬愛することで計画性の高さも際立ちながら、歌手そして作家としての才能を十分に発揮しています。先月リリースのアルバム『Sour』が現在大ヒット中。

 

⑦ デュア・リパ feat. ダベイビー「Levitating」

大好評のアルバム『Future Nostalgia』からのシングルカット曲は、ダベイビーをフィーチャーしてロングヒットに。米での賞レース参戦でロングヒットに至ったのみならず、TikTokのバズやブリット・アワードでの受賞がさらなるヒットの要因に。首位獲得が期待できる週に後述する「Leave The Door Open」にその座を阻まれたものの、強烈なインパクトを残し年間トップ10入りを狙います。

 

⑧ リル・ナズ・X「Montero (Call Me By Your Name)」

ビリー・レイ・サイラスを招いた「Old Town Road」で19週首位という新記録を樹立したリル・ナズ・X。今作は2度目の首位獲得曲にして、様々な騒動を巻き起こすきっかけにも。”サタンシューズ”の件は個人的にリル・ナズ・X側の問題と思うものの、LGBTQの権利主張を積極的に行う姿勢に拍手。グローバルチャートでも大ヒットし、もはや一発屋と言ってはならないと強く断言します。

 

⑨ シルク・ソニック「Leave The Door Open」

来たるべきアルバムが8月頃までにリリースされたならば来年のグラミー賞の目玉になることは間違いない、ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークによるユニットのデビュー曲。ブルーノは自身3作目のアルバム以降、ファンクやニュー・ジャック・スウィング、R.ケリーマナー等いわばR&Bソウルミュージックの伝道師的位置にいると言えますが、このシルク・ソニックもまた然り。懐かしのソウルサウンドをアップデートした第一弾作品は特にラジオでの支持を集め、日本でも人気となっています。

 

⑩ H.E.R.「Fight For You」

映画『ユダ & ブラック・メシア』(”Messiah”の発音は厳密にはメサイアなのですが)に書き下ろされ、アカデミー賞歌曲賞を受賞。プロデューサーのDマイル、ソングライターのティアラ・トーマスとのコンビによる「I Can't Breathe」は今年のグラミー賞でソング・オブ・ジ・イヤー(最優秀楽曲賞)を受賞しており、チームとしてライオネル・リッチー以来35年ぶりとなるグラミー・アカデミー同年受賞の快挙を達成。H.E.R.は今週、初のフルアルバム『Back Of My Mind』をリリースします。

プロデューサーのDマイルにも注目。先述した「Leave The Door Open」をシルク・ソニックと共同で手掛け、ブルーノ・マーズと共に嵐「Whenever You Call」を提供。今最も注目すべきプロデューサーのひとりです。

 

 

 

以上10曲、如何だったでしょうか。下半期も社会的なヒット曲が、そして日本のみならず世界でヒットする曲が生まれることを楽しみにしています。