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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

カリ・ウチス、ギヴィオン…グラミー候補者による動画公開タイミングに注目

昨日は米ビルボードソングスチャートの見方について紹介しました。最後の方には、以前紹介したグローバルチャートについてのリンクもあります。

ここで用いた発表スケジュールおよび集計期間を踏まえれば、現在開催中のグラミー賞が反映されるのは3月27日付ということになります。

・トップ10速報発表:3月22日月曜(日本時間 3月23日火曜)

  ストリーミング・ダウンロード集計期間:3月12日金曜~3月18日木曜

  ラジオ集計期間:3月15日月曜~21日日曜

明日発表の3月20日付ではドレイクの『Scary Hours 2』収録3曲、そしてブルーノ・マーズとアンダーソン・パークによるユニット、シルク・ソニックによる「Leave The Door Open」が初登場予定。

「Leave The Door Open」はシルク・ソニックの懇願によりグラミー賞でのパフォーマンスが急遽決まりましたが、テレビ中継や受賞結果がチャートに反映されることから、ともすれば登場2週目におけるドレイクとシルク・ソニックの順位が逆転することもあり得るでしょう。

そんな中、グラミー受賞を機にさらに上昇するであろう作品を紹介します。

 

カリ・ウチス「Telepatía」は昨年秋リリースのアルバム『Sin Miedo (del Amor y Otros Demonios)』収録曲。TikTokで人気に火が付き、最新3月13日付Spotifyバイラルチャートではグローバル1位、アメリカ2位、日本でも9位を記録しています。2年前のファーストアルバム『Isolation』とは異なり今作は初のスペイン語作品。英語以外の曲の人気も強く可視化されたグローバルチャートでは、最新3月13日付でGlobal 200にて11位、Global Excl. U.S.では16位に急上昇しており、米ビルボードソングスチャートでも同日付で39位につけています。

そのカリ・ウチスが今年のグラミー賞で初の栄冠を手にしました。

ケイトラナダ「10%」への客演参加という形ですが、最優秀ダンスレコーディング賞を受賞。

テレビ中継される前に発表されたため、そこまでチャートに大きく反映されるわけではないかもしれませんが、しかしカリ・ウチスが「Telepatía」のリリックビデオをこのタイミングでアップしていることに注目。

3月27日付米ビルボード、およびグローバルチャートの集計期間をフルに活用し、「Telepatía」をさらなる飛躍へ結びつけるための解禁タイミングと言えます。今回のグラミー受賞を機に興味を持った、もしくは知った方が検索するとこの動画にたどり着くはずです。

「Telepatía」は最新3月13日付のSpotifyデイリーチャートにおいても米で5位、グローバルでは3位となり、前日からの順位をキープ。今後の動き、面白いことになりそうです。

 

Giveonと書いて、ギヴィオンと表記。「Heartbreak Anniversary」は昨年のEP『Take Time』に収められ、徐々に人気を集めています。

(ちなみに、R&Bやヒップホップにおいて表記不明等が発生した際、bmrの表記が参考になっていました。ですが丸屋九兵衛氏の個人サイトとなってからは更新されず、今月あたりから閉鎖されているのかホームページが開きません。こういう素晴らしい情報サイトが消えるのは本当に残念です。)

ヴィオン「Heartbreak Anniversary」は最新3月13日付Spotifyデイリーチャートにおいて米で12位、グローバルで16位を記録。同日付Spotifyバイラルチャートでも米で9位、グローバルでは4位に入っています。また3月13日付米ビルボードソングスチャートでは54位とこれからですが、Global 200では22位、Global Excl. U.S.では35位と徐々に人気を集めています。

このギヴィオン『Take Time』はEPながらグラミー賞R&Bアルバム部門にノミネート。結果的にジョン・レジェンド『Bigger Love』が受賞しましたが、しかしこのノミネートが認知度向上やチャート上昇にさらなる影響を与えそうです。

音楽評論家の林剛さんが指摘されたように、『Take Time』および『When It's All Said and Done』という2枚のEPが2in1の形でアルバム化。リリースはグラミー賞直前の3月12日であり、しかもこのタイミングで「Heartbreak Anniversary」のミュージックビデオが公開されたのです。

この公開タイミングはカリ・ウチス「Telepatía」を想起。加えてアルバムリリースもとなると、チャートアクションはさらに加速しそうです。

 

 

カリ・ウチス、そしてギヴィオンの今後のチャートアクションに注目すると共に、受賞する/しないに関わらずグラミー賞をステップアップの場として動画公開を絡めていくというやり方、見事だと思います。