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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

グラミー賞効果が表れた3月27日付米ビルボードソングスチャート、BLACKPINKのロゼが制した同日付グローバルチャートをチェック

ビルボードソングスチャート、現地時間の3月22日月曜に発表された最新3月27日付ソングスチャート(Hot 100)。オリヴィア・ロドリゴ「Drivers License」の連勝記録を8で止めたドレイク「What's Next」は4位へ後退。カーディ・B「Up」が5ランクアップし同曲初の首位を獲得しました。 

最新チャートの集計期間はストリーミングおよびダウンロードが3月12日金曜から、ラジオが15日月曜からの1週間となり、3月14日(日本時間の15日)に開催されたグラミー賞効果が反映。同賞でパフォーマンスされたデュア・リパ feat. ダベイビー「Levitating」が13→7位とトップ10復帰を果たしたのは間違いなくこの効果ですが、そのグラミー賞に突如登場し披露された「Up」が、混戦と言われる今回の上位3曲で一歩抜きん出た理由と言えます。

「Up」はストリーミングが前週比5%ダウンの2270万(同指標3位)、ダウンロードが同96%アップの18000(同指標3位)、ラジオが同7%アップの3490万(同14位)を獲得し、グラミー賞出演がとりわけダウンロード急伸に大きく作用。これでカーディ・Bはデビュー曲「Bodak Yellow (Money Moves)」が2017年10月7日付で首位を獲得して以降、3年半の間に5曲のナンバーワンヒットを輩出したことに。

女性ラッパーにおいて5曲首位は単独最多。また「Bodak Yellow (Money Moves)」および「Up」は客演者が存在せず、客演なしで2曲首位を獲得した女性ラッパーもカーディ・Bが初となります。

「Up」は、24Kゴールデン feat. イアン・ディオール「Mood」(今週8位)以来となる、初登場以外で首位を獲得した曲に(ただし再登場し首位を獲得したマライア・キャリーのクリスマスソング、「All I Want For Christmas Is You」を除く)。「Mood」が初の首位を獲得した昨年10月24日付以降、アリアナ・グランデ「Positions」、BTS「Life Goes On」、テイラー・スウィフト「Willow」、オリヴィア・ロドリゴ「Drivers License」そしてドレイク「What's Next」が初登場で首位を獲得していますが、初登場後の勢いには差が生じています。

「Up」は文字の少なさという点からも注目されています。

ここで取り上げられた14曲のうち9曲がこの15年以内の曲であることに注目。米ビルボードはこの傾向がSNSハッシュタグの出現による影響と記しています。7年前にはこのような記事も登場しています。

なお、”Up”が含まれる曲(関連ワード含む)の首位獲得曲はこちら。

カーディ・B「Up」は、マーク・ロンソン feat. ブルーノ・マーズ「Uptown Funk!」以来6年ぶりとなる”Up”ソングでの首位獲得となるのです。

 

そのブルーノ・マーズがアンダーソン・パークと組んだユニット、シルク・ソニック「Leave The Door Open」が2ランクアップし2位に。

こちらもグラミー賞でパフォーマンスされた曲。前週はドレイクの3曲に阻まれ初登場4位にとどまりましたが、今週はストリーミングが前週比16%ダウンの1940万(同指標4位)、ダウンロードが同21%ダウンの21000(同指標2位)、ラジオが同65%アップの3870万(同指標12位)に。登場2週目ながらダウンロードが一気に落ち込まなかったのはグラミー賞効果と言えますし、なによりラジオの盛り上がりは稀に見るハイペースであり、如何にラジオに愛される曲かがよく解ります。

そのラジオを2週連続で制したオリヴィア・ロドリゴ「Drivers License」が2ランクアップし3位に。ラジオでは前週比3%ダウンの7230万を獲得しています。また前週首位のドレイク「What's Next」は4位へ後退。今週もストリーミングは制しながら前週比53%ダウンの2300万、ダウンロードは同78%ダウンの4000(同指標24位)、ラジオが同45%アップの1730万(同指標42位)となり、グラミー賞関連か否かで「Leave The Door Open」との差が大きく表れた形です。また前週2位のドレイク feat. リル・ベイビー「Wants And Needs」は10位へ後退しています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (6位) カーディ・B「Up」

2位 (4位) シルク・ソニック(ブルーノ・マーズ & アンダーソン・パーク)「Leave The Door Open」

3位 (5位) オリヴィア・ロドリゴ「Drivers License」

4位 (1位) ドレイク「What's Next」

5位 (7位) ザ・ウィークエンド「Save Your Tears」

6位 (8位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」

7位 (13位) デュア・リパ feat. ダベイビー「Levitating」

8位 (10位) 24Kゴールデン feat. イアン・ディオール「Mood」

9位 (9位) アリアナ・グランデ「34+35」

10位 (2位) ドレイク feat. リル・ベイビー「Wants And Needs

デュア・リパ feat. ダベイビー「Levitating」はストリーミングが前週比12%アップの1420万、ダウンロードが同102%アップの12000を獲得しています。

 

 

昨年秋に新設されたグローバルチャート、その速報も紹介。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。3月27日付では、BLACKPINKのロゼ(Rosé)によるソロ作「On The Ground」が双方のチャートを制しました。

BLACKPINKとしては「Lovesick Girls」で昨年秋にGlobal Excl. U.S.(Global 200からアメリカの分を除いたチャート)を制したロゼ。K-Popソロアクト、さらにグループのメンバーがグローバルチャートを制するのは今回が初となります。

「On The Ground」はGlobal 200ではストリーミングが9210万、ダウンロードが29000を、Global Excl. U.S.ではストリーミングが8570万、ダウンロードが22000を獲得しています。Global 200の数値からGlobal Excl. U.S.の分を引くとアメリカのおおよその数値が解りますが(ただし米ビルボードソングスチャートでは歌手のホームページにおけるデジタルダウンロードやフィジカルセールスも加算対象に)、その米ビルボードソングスチャートでは「On The Ground」が70位に初登場を果たしています。

また、ロゼ『R』収録のもう1曲である「Gone」はGlobal 200では29位(ストリーミング1960万、ダウンロード25000)、Global Excl. U.S.では17位(ストリーミング1740万、ダウンロード19000)を獲得しています。

Global Excl. U.S.ではロゼ「On The Ground」が1位、BTS「Dynamite」が2位となり、昨年10月17日付以来となるK-Popアクトでのワンツーフィニッシュとなりました(昨年10月17日付ではBLACKPINK「Lovesick Girls」が1位、「Dynamite」が2位となっています)。

カリ・ウチス「Telepatía」がGlobal Excl. U.S.で13→10位となり、自身初の同チャートトップ10入りを果たしました。ストリーミングは前週比6%アップの3000万を獲得。ダウンロードは700にとどまっていますが、上記ミュージックビデオの公開がチャート集計期間最終日の3月18日だったことから、次週のさらなる飛躍が予想されます。

このカリ・ウチス「Telepatía」についてはこのブログにて、次のブレイク候補として紹介。初のスペイン語アルバム『Sin Miedo (Del Amor y Otros Demonios)』収録曲で、TikTokのバズを機にシングル化されています。今年のグラミー賞ではケイトラナダの客演として初のグラミー賞を獲得したことも、浮上のきっかけと言えるでしょう。

 

次週はジャスティン・ビーバー『Justice』がアルバムチャートに初登場し、収録曲が上昇もしくは初登場の模様。特に、上記ブログエントリーで記載したギヴィオンがダニエル・シーザー共々ジャスティンに招かれた「Peaches」が米チャートでトップ10入りを果たすのではと予想されています。