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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

BTS「Dynamite」は今がピークの一方、ビルボードジャパンソングスチャート2位どまりの理由は

BTS「Dynamite」の勢いが凄まじい…そう書くと、知ってるよ!というツッコミが殺到しそうですが、しかし今になってもその勢いが絶えないどころか、さらに増していると言えるのです。

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ビルボードジャパンソングスチャートで5ヶ月間トップ10内をキープするBTS「Dynamite」。とりわけ注目すべきは、ストリーミングが6週、動画再生が7週と接触2指標で首位をキープしていること。ポイントも8週連続で12000ポイントを上回っており、まさに今がピークと言えるでしょう。

ストリーミング指標のひとつであり日々の再生回数が可視化されているSpotifyの動向からは、そのことが如実に伝わります。

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ビルボードジャパンでは登場2週目(2020年9月7日付)にストリーミング指標を制していますが、これはLINE MUSICでの再生回数キャンペーン(一定回数以上フル尺で再生した方にプレゼントが当たるという企画)が功を奏した結果。一方でSpotifyでは徐々に山が生まれ、12月に入ってからは1日30万を超える再生回数を多くの日でキープしているのです。

さらに注目すべきは、日本におけるBTS「Dynamite」の再生回数が他国を圧倒していること。

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上記はSpotifyにおけるBTS「Dynamite」の各国における週毎の再生回数および順位の推移(データ元はこちら。再生回数のより多い地域および世界中の合計を抽出しています)。最新週において、日本が唯一1位を獲得しているのです。また日本とアメリカではSpotifyのユーザーや再生回数に大きな差があるのですが、「Dynamite」に関してはアメリカに近い再生回数を叩き出しています。なおSpotifyは、BTSの地元である韓国には未だ上陸していません。

 

BTS「Dynamite」の人気が日本で持続、且つ伸びている理由は何か…最新1月25日付ビルボードジャパンソングスチャートならびにTikTokにおける最新の国内週間楽曲ランキングの解説から垣間見ることができます。

最近ではアナウンサーの桝太一永島優美、お笑い芸人のおばたのお兄さん、お笑いトリオの四千頭身らが“踊ってみた”を披露して話題を呼んだ。

かねてよりダンス・チャレンジが人気を集めていた楽曲で、最近もONE OK ROCK、お笑い芸人の四千頭身おばたのお兄さん、アナウンサーの桝太一など、著名人らがダンス動画を公開したが、加えてTikTokでは汎用性の高いBGMとしても親しまれるようになり、継続的に投稿数を増やしているのだと思われる。

海外での好調なチャートアクションや賞レースでの活躍、日本でのテレビ番組出演が大きく功を奏するチャートにおいて、【広く世間一般にBTS「Dynamite」が活用され、普及してきている】というのが現在における人気の理由と推測できます。この曲が纏ったディスコティークの持つ普遍性が、流行に左右されず愛されることにつながる大きな要因ではないでしょうか。

 

ミュージックビデオの再生回数が近頃8億回を突破したBTS「Dynamite」ですが、しかしビルボードジャパンソングスチャートでは未だ首位を獲得していません。LiSA「炎」が8週首位を獲得したことも大きいですが、シングルCDセールスに非常に強い曲がCD関連指標初加算週に1位を獲っているため「Dynamite」が首位に上がれないことも一因といえます。

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この状況は今日発表の2月1日付以降少なくとも6週は続くことが予想されるため、その間に「Dynamite」の人気がどれだけ続いていくかチェックしていく必要があります(同時に、シングルCDセールスに長けた曲のCD関連指標加算2週目の動向をみて、真の社会的ヒットに至れるかを判断する必要があることも付け加えておきます)。

 

ちなみに、BTSをはじめとするK-Popアクトの韓国語盤(そして海外でもリリースしている作品)について、日本国内盤がリリースされていない状況が気になります。「Dynamite」は様々なリミックスも用意されていることから、それらリミックスをまとめた日本限定盤シングルCDをリリースすればチャート上でも有利になると思うのです。もしかしたら権利関係等の問題で難しいのかもしれませんが、レコード会社等にはぜひとも検討をお願いしたいところです。

 

 

最後に「Dynamite」関連動画の個人的なお勧めを。KIRINJIのメンバーとして活躍した弓木英梨乃さんによるギターカバーはテクニックは勿論のこと、グルーヴ感が素晴らしいのです。