イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

「うっせぇわ」「ドライフラワー」そしてYOASOBI…2月1日付ビルボードジャパンソングスチャートにおける勢いを分析する

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。

1月18~24日を集計期間とする2月1日付ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。Snow Man「Grandeur」が80万を超えるCDセールスを武器にジャンプアップ、総合首位の座に就きました。

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シングルCDセールスのみならず、ルックアップおよびTwitterも首位を獲得しています。

一方で、シングルCDセールスに長けた曲についてはCD関連指標加算2週目の動向を見て真の社会的ヒットに至れるか、年間チャート上位に登場できるかを確認する必要があります。前週首位を獲得したジャニーズWEST「週刊うまくいく曜日」は38ランクダウン、ポイント前週比10.5%となりました。アイドルソングのCD関連指標加算2週目におけるポイント前週比は10~20%内であることが多く、「証拠」(2020)もポイント前週比11.0%であったため今回も前作並とも言えるのですが、とはいえ集計期間初日に『CDTVライブ!ライブ!』にて披露されたこと等を踏まえれば伸び悩んだと言えるかもしれません。

 

今週大きな伸びを示したのが6位に上昇したAdo「うっせぇわ」でした。

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同曲のブレイクについては弊ブログでも触れましたが、元Spotifyでarneの松島功さんによる記事が非常にわかりやすいので紹介します。

「うっせぇわ」は今週、ポイントが急伸。これは間違いなく『ミュージックステーション』でのVTR出演効果が大きく、UGC(ユーザー生成コンテンツ)で盛り上がった曲が"見つかった"ことで地上波テレビという大きな影響力を持つメディアで紹介され、より広く世間に届いた結果と言えるでしょう。現にダウンロードは8713→19683と倍以上になっています。

(ちなみにテレビ朝日は、『報道ステーション』に出演したyamaさんの映像についても公開(→こちら)。この姿勢に好感を抱きます。)

 

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地上波テレビ出演といえば、本日放送される『スッキリ』に優里さんが出演し「ドライフラワー」をテレビで初披露することに。同曲は今週ストリーミング再生回数ではじめてトップに立っていますが、ポイント自体は前週比99.8%と微減。しかしながら『スッキリ』や、来月には『ミュージックステーション』出演も決定しており、テレビでの露出がどこまでプラスに作用するかに注目です。

 

さて、今週もYOASOBIが凄いことになっています。

また、YOASOBIの勢いは止まらず、総合100位圏内に9曲、トップ10圏内に3曲を送り込んだ。先頭を切る「夜に駆ける」は、12月下旬から再び上昇トレンドに転じ、総合2位までランクアップした。総合ポイントを牽引するストリーミングは、前週10,929,013再生から当週11,167,667再生とこちらも微増して3位となり、好調を維持している。

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最新チャートの集計期間中に『CDTVライブ!ライブ!』『ミュージックステーション』に出演し、両番組で「夜に駆ける」を、前者ではさらに「アンコール」を披露。「アンコール」は前週から11ランクアップの8位となり初のトップ10入り、ポイント前週比は160.6%と圧倒的な伸びを示しています。

いや、伸びているのは「アンコール」にとどまりません。

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今週初登場を遂げた「優しい彗星」(総合20位)以外は、上記未記載の「あの夢をなぞって」(総合45→44位 ポイント前週比115.9%)を含め、ソングスチャートエントリーを果たした全曲がポイント上昇を果たしています。この9曲を除くYOASOBIの曲は共にインストゥルメンタルの「Epilogue」「Prologue」のみであるため、最新ソングスチャート50位以内に彼らの楽曲がほぼすべて登場しているというのですから素晴らしいことです。

さらには、「怪物」(総合7位)および「優しい彗星」を除く全曲が収められたEP『THE BOOK』が2月1日付アルバムチャートで1ランクダウンするも3位となり、初登場作品以外では最上位に。そして構成3指標のうち唯一の接触指標といえるルックアップでは遂に首位を獲得しているのです。

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これは、以前紹介したこちらのツイートが功を奏していると言えます。

レンタル解禁したので借りてほしいと訴求する歌手をほぼ目にしたことがありません。レンタルよりも購入を願う歌手が圧倒的に多いと思っていたのですが、いかなる形でもまずは聴いてほしいというYOASOBI側の意思が感じられますし、フィジカル派の方も取りこぼさないという思いの表れと受け止めています。

上記ツイートからはさらに、YOASOBI側がビルボードジャパン各種チャートの中身を熟知していることも見えてきます。EPのルックアップはソングスチャートの同指標には影響しませんが、レンタルも含めてYOASOBIの名を広く訴求した結果、ソングスチャートでもアルバムチャートでも圧倒的な存在感を放つことに成功したのです。

彼らの姿勢から学ぶべきところは多々あると実感します。