イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

罪を犯した者に対する過度な販売自粛だけではない、ソニー・ミュージックの対応への疑問

(※追記(2021年5月16日10時31分):表題について変更を実施しました。)

 

 

 

事件に伴うレコード会社の措置に対する疑問が広がっています。

電気グルーヴの販売自粛のみならず"過度な自粛"自体については正直、異常というのが私見です。いや、このような対応は現に行われてきたゆえ自然だと言う方がいらっしゃるならば、その"現に行われてきた"ことを何の疑いもなく受け入れてきたことが思考停止ではないかと問いたいものです。

今の自主規制は、ルールではなくマナーに基づくものです。無論、逮捕された方は罪を償わないといけませんが、それは法が裁くものであり、さらにいえば薬物依存は病気ゆえ治療も必要です。このことは【薬物報道ガイドライン】と検索すれば解りますし、薬物報道ガイドラインも踏まえ訴えている、せやろがいおじさんの動画も非常に解りやすいです。

自主規制しないのは犯罪者が悪くないと言っているのとイコールだとか、犯罪を推し進めるようなものと言う方がいらっしゃったならば、その方々はどうしてほしいのか、薬物報道ガイドライン等を踏まえてでも同じことが言えるのか…教えていただきたいものです。

 

この過度なマナーについては、自分が指摘した一昨日のブログエントリーと共通するところがあります。過度なマナー、言い換えれば業界の慣習によって、最終的に私たちの観る・聴く/観ない・聴かないという選択権が奪われるのは、私たちの自発的な選択肢や熟考は認めないと言われているようなものではないかとすら捉えてしまいます。

(※このツイートにおけるRT(リツイート)は、田中宗一郎氏によるツイートを指します。)

ですので、今回の件を機に、芸能界をはじめとするエンタテインメント業界全体が議論する場を作らないといけません。そしてハフポスト日本版で紹介されたように、マナーではなくルール(ガイドライン)を提起していただきたいものです。誰かが発起人となって議論を進めないと、結局フェードアウトして次の事例が出てぶり返して…を進めるだけではないでしょうか。ルールを作ろうとしなかったことが今に至る問題の礎になってしまった以上、もはやこのようなことはこれで最後にしたいものです。

 

 

それにしてもですが…あくまで私見と強く前置きして書くならば、チャートにおける不可解も含め、ここ最近のソニー・ミュージックの動向には首を傾げざるを得ません。

 

たとえばYouTubeのサービスのひとつ、YouTube Musicを踏まえソニー・ミュージック所属の欅坂46が発売当日直前まで「黒い羊」のミュージックビデオをYouTubeにアップしなかったり、sumikaYouTube上で一時非公開にしていた件。

来週初のシングルをリリースする日向坂46についても、シングル「キュン」のミュージックビデオはYouTube上では現段階でショートバージョンのみの公開。他方公式サイトではフル尺が用意されています。

3月4~10日を集計期間とする、3月18日付ビルボードジャパンソングスチャートで「キュン」は74位に初登場。集計期間直前と思しきシングル表題曲名の解禁や3月4日のミュージックビデオ公開効果でTwitter指標は4位に登場していますが、他方動画再生指標は300位以内にも入っていません。欅坂46「黒い羊」とは異なりショートバージョンを用意したにもかかわらず…これはISRCを付番しなかったことが原因かもしれません。

いや、もしかしたら3月27日のシングル発売日頃にYouTubeでフル尺のミュージックビデオを公開し、そこにはISRCがきちんと付番されるのかもしれませんが、しかしながらアメリカではオーディオのみ、リリックビデオそしてミュージックビデオすべて、付番されていればカウント対象となるはずで、楽曲登録情報の単なる不備ならば至極勿体無いと思ってしまうのです。それ以前にYouTube Musicを過度に考えていないかという疑問も否めないのですが。

 

ISRC付番の問題でいえばFoorin「パプリカ」が未だビルボードジャパンソングスチャートにおいて動画再生指標を獲得出来ていないことや。

モチーフになった映画公開に合わせて再度ヒットした中島美嘉雪の華」の楽曲登録情報がおかしなことになっていたり。

(※現段階でYouTubeをチェックすると、楽曲登録情報がおかしなままです。)

ソニー・ミュージックにはこういった、チャートでの勿体無い動きやユーザーアンフレンドリーな行為が目立つ気がするのです。

 

 

無論、この動向は自分が偶然見つけた不条理がたまたまソニー・ミュージックで続出したのでそう考えるように至った、考えすぎだと指摘されればそれまでかもしれません。しかし、ソニー・ミュージックにおいてはコピーコントロールCDという悪しき商品を大半のレコード会社が採用した際、独自に"レーベルゲートCD"という規格(通常のコピーコントロールより、言ってしまえば質(たち)の悪いものと受け止めています)を用意した経緯を踏まえると、やはりどこか信頼が置けないと思ってしまいます。下記にもコピーコントロールCDの件は出てきますが、タイトルを読んで真っ先にそれが浮かんだ自分がいます。

 

ソニー・ミュージックには、これまで自分が提示してきた疑問の解消だけではなく、YouTube Musicとのスタンスの採り方やYouTubeでの楽曲登録情報の管理方法を提示したり、電気グルーヴの件においては率先して議論の場を設け、ガイドラインの作成を積極的に行うようにしていただきたいと切に願います。その前を向く姿勢こそが、業界全体が信頼され、同時にレコード会社の信頼も勝ち得ることになると思うのです。坂道グループの興隆や宇多田ヒカルさんの獲得等で勢いを増している今、ソニー・ミュージックには業界全体を牽引する力があるものと信じています。