イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ジャニーズ事務所所属歌手がYouTube動画を充実…ビルボードジャパンソングスチャートにも反映されている件

最新の8月3日公開分(8月8日付)ビルボードジャパンソングスチャートでは、フィジカル関連指標初加算となったKinKi Kids「Amazing Love」が2位に初登場。総合首位の座に就くことはできませんでしたが、フィジカル初加算週において前作にはみられない指標が登場します。

KinKi Kids「Amazing Love」のCHART insightで注目すべきは、赤で示された動画再生指標。前週よりダウンはしていますが、2集連続で100位以内にランクインしています。前作「高純度romance」では加点対象となる300位以内にも動画再生指標はランクインしておらず、大きな進展と言えるのです。

ミュージックビデオはショートバージョンにて7月1日に公開されていますが、公開日を集計期間に含む7月6日付ビルボードジャパンソングスチャートでは動画再生指標300位以内にランクインしていません。「Amazing Love」においてこの指標が初めて加算されたのは、先月開設されたKinKi KidsYouTubeアカウントから発信された、下記ライブ動画の公開後となります。

動画再生指標の加算対象となる動画は、ISRC(国際標準レコーディングコード)が付番された公式動画。ビルボードジャパンソングスチャートではオリジナルバージョンと言語以外が異なるものは基本的に合算されないのですが、動画再生指標だけは別となっています(個人的にはこの矛盾解消の意味でも、すべて合算すべきと考えます)。KinKi Kids「Amazing Love」はこの動画公開がチャートに作用したことになるのです。

公式YouTubeチャンネル開設の話題はあったとして、ライブ動画のアップ、それもフルバージョンでの公開ということが再生回数増加につながったと言えるでしょう。なおフィジカルシングルの初週セールスは前作「高純度romance」が169,404枚に対し「Amazing Love」は169,070枚で、ほぼ横ばいとなっています。

 

最新のビルボードジャパンソングスチャート、動画再生指標で気になる動向をもうひとつ。

2019年8月28日公開分(9月2日付)で総合首位を獲得したHey! Say! JUMP「ファンファーレ!」において、最新チャートではじめて動画再生指標が加算され、同指標5位につけたのです。ジャニーズ事務所所属歌手はこの1年で動画再生指標が強くなったものの、2010年代後半以降のデビュー組と2010年代前半以前とでは大きな差があり、後者がそれを克服することが課題と捉えていただけに、実に興味深い動きです。

Hey! Say! JUMPも、先述したKinKi Kidsに続いて公式YouTubeチャンネルを開設。そして初めて解禁したミュージックビデオが「ファンファーレ!」でした。

さらには「ファンファーレ!」のダンスプラクティス動画を翌日に初出し。この「ファンファーレ!」を皮切りに、Hey! Say! JUMPは公式YouTubeチャンネルで開設からの1週間連日で動画をアップしており、コアファンのみならずライト層にもチャンネル開設を訴求できたものと考えます。「ファンファーレ!」の動画再生指標5位はその結実と言えるでしょう。

ミュージックビデオはフルバージョンの一方でダンスプラクティス動画はフルではないものの、臨場感などが味わえます。そしておそらくダンスプラクティス動画にもISRCが付番されているものと思われます。

 

Hey! Say! JUMPは、メンバーの中島裕翔さんが主演するドラマ『純愛ディソナンス』(フジテレビ)の主題歌、「Fate or Destiny」のミュージックビデオをHey! Say! JUMPYouTubeチャンネルで公開。この動画自体はショートバージョンですが、フィジカルがリリースされる8月24日前後にさらなる動画を用意する可能性も考えられます。

ジャニーズ事務所所属歌手が動画へ注力しているのはおそらく、2010年代後半以降デビュー組の成功に加えて、嵐やジャにのちゃんねる等のチャンネルの成功、さらには他事務所発のボーイズバンドの台頭とデジタル施策の徹底も刺激になっているものと思われます。動画の徹底に加えてサブスク解禁も行われれば、TikTok→動画→サブスクという今のヒットの流れを作ることができますが、今後どう動くかに注目していきましょう。