イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

日本に韓国文化が浸透していることはチャートが証明してくれる…BTSのチャート動向から考える

もはや春の大型連休を代表するイベントと言っても過言ではない弘前さくらまつり。人気屋台に行列が出来るこの祭りで、お化け屋敷近くの唐揚げ屋や三忠食堂等、以前から人気の店舗に加え、"新顔"な食べ物の屋台2つ共に行列が…それがチーズドッグ。韓国発のと伺ったことがあり、テレビで観て気になったのですが、その列に断念した次第。

で、そのチーズドッグ等の人気を紹介した番組が放送直後に"炎上"しました。2ヶ月前のことですが、4月3日の『あさイチ』(NHK総合 月-金曜8時15分)で特集された【中高生の韓国人気】に対し、ネットでNOの声が目立つ形に。韓国語を学び書けるようになった方はヤラセだとか、中には"自分も学生だが、K-Popを聴く人はいない"というのもあり、最初はスルーしようとしていたものの、ビルボードジャパンソングスチャートを調べる身としては強い疑問を感じ続けたのです。

 

韓国と炎上という件で思い出されるのは、(ネガティブな書き出しで申し訳ありませんが)昨年末のBTSを巡る問題。そちらについては私見をツイートし、ブログエントリーに引用しましたが、この件を踏まえると今年BTSが新たにリリースしたミニアルバム『Map Of The Soul: Persona』およびホールジーをフィーチャーした「Boy With Luv」は日本で以前ほどの人気に至らないのでは?と思う方がいらっしゃるかもしれません。しかし実際はきちんとチャートで結果を残しています。そこで『Love Yourself』シリーズ(2017-2018)からのリード曲の動向をみてみましょう。日本では後に日本語バージョンがリリースされた(される)のですが、韓国およびワールドワイドでリリースされてからの動向をチェックしてみると。

・「DNA」(from『Love Yourself: Her』(2017))

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・「Fake Love」(from『Love Yourself: Tear』(2018))

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・「Idol」(from『Love Yourself: Answer』(2018))

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・「Boy With Luv (feat. ホールジー)」(from『Map Of The Soul: Persona』(2019))

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初登場から5週間のポイントはビルボードジャパンソングスチャートから日付を選択して確認出来ますが、初登場時最もポイントが多かったのは「DNA」だったものの2週目以降は「Boy With Luv」が最多(2019年度以降チャートポリシー改正が行なわれたことも影響しているかもしれませんが)、またトップ10在籍週数において「Boy With Luv」は「DNA」同様最多の4週となっています。いずれの曲も発表当初に日本でシングル化されていないためシングルCDセールスおよびルックアップ指標が未加算であり他曲に比べて不利かもしれませんが(後に日本語バージョンのシングルCDがリリースされるとダブル(トリプル)Aサイドシングルの1曲目となる楽曲に2指標が加算されます)、英語よりも馴染みが薄いであろう韓国語曲がトップ10入りする状況となっています。なお、「Idol」にはニッキー・ミナージュをフィーチャーしたバージョンも存在し日本では客演なし版とは別加算となっていますが、そこまで大きなヒットには至れていません。

 

今回取り上げた4曲で特に強いのはストリーミングおよび動画再生、そしてTwitterの各指標。ストリーミングは「DNA」を除き、そして動画再生およびTwitterでは全曲がトップ3入りを果たしています。これらはいずれも”接触”を示す指標。昨年のビルボードジャパン年間チャートにおいて、歌手別のランキングとなる"TOP Artists"ではBTSが3位にランクインしましたが、年間チャート総括記事ではこのような記載が。

2018年の【TOP Artists】において、米津玄師はダウンロードで、2位のTWICEはストリーミングで1位となり、2017年はフィジカルとデジタルに揺れるJ-POPシーンがそのまま反映されたランキングだったが、今年は完全にデジタル領域でのシェア争いがランキングに大きく影響する展開となった。

(中略)

ダウンロードとストリーミング以外にデジタル領域で重要な指標となるのは動画再生だ。同指標では、1位TWICE、2位米津玄師、3位BTS防弾少年団)となり、楽曲を使用した動画再生数の総合計は、TWICEが7億5千万回、米津玄師6億5千万回、BTS3億7千万回に。動画でのヒットが大きく合計ポイントを押し上げたaことがよく分かる結果だ。

ビルボードジャパン 2018年 年間ランキング発表~【HOT 100】は米津玄師「Lemon」、【Hot Albums】は安室奈美恵『Finally』が首位 | Special | Billboard JAPANより

無論”所有(購入)”も寄与してのTOP Artistsランクインとはいえ、BTSやTWICE等K-Popの中で突出した人気を誇る歌手は特に接触指標群が強い傾向がみられます。また接触指標群のうちストリーミングについて、昨年調査した内容が今年2月に発表されているのですが、主に若年層ほどストリーミングを使用する割合が高く、またストリーミングのみ利用する(デジタルダウンロードやフィジカルでの購入は行わない)方が増えているとのこと。

『コンテンツファン消費行動調査2018』によると、ストリーミングサービス(Apple Music, Amazon prime music, LINE MUSICなどの有料の定額制音楽配信サービス)の利用率は24.6%で、推計2145万人という結果となっている。さらに、ストリーミング利用者、CD利用者、ダウンロード利用者のいずれかの利用者を対象に、重なりを図示化したのが図1だが、3つの利用者のうち、「ストリーミングサービスのみ利用者」が最も多いこと、ストリーミングサービス利用者全体では実に70%を超えることがわかる 。さらに各利用者の性年代構成比(図2)を見ると、若年層ほど利用率が高く、全体と比較して10-20代は約4ポイント高い。

ストリーミング時代到来! 2018年ヒットチャートをデータとともに振り返る | コラム | SPECIAL | 博報堂 HAKUHODO Inc.(2月4日付)より。図はリンク先をご確認ください。

ストリーミングには有償サービスもあれど無償版も存在。また動画再生は基本的に、Twitterサービスもまた無償。広告が多かったり使い勝手が制限されるもののそれらを気にしなければ無償で十分使える…と考えるのは何も若年層には限らないと思うのですが、可処分所得スマートフォン(もしくはスマートフォンのみ)の浸透状況を踏まえれば、若年層がストリーミングに飛びつくことは自明ではないでしょうか。その接触指標群でK-Popが、それも彼らにとって母国語となる韓国語で歌った曲群がヒットし総合チャートでも結果を残しているのですから、"浸透していない"というのは正しくないと言っていいと思います。

 

さらに注目すべき点は、「Boy With Luv」のラジオエアプレイ指標における安定感。ランクイン2週目以降、6週連続で同指標トップ100内に在籍しているのです(初登場週にランクインしなかったのは、リリースが金曜日であり初週の集計期間が3日しかなかった等も考えられます)。昨年のBTSにおける問題を振り返るに、メディアが視聴者等の過度な反発を恐れて彼らの起用を見送ったとのでは?というのが自分の見方ですが、そこから半年が経過しメディアはきちんと彼らの楽曲を用いるようになったというのがラジオエアプレイ指標から証明されたのかもしれません。尤も、7月3日に「Boy With Luv」および「Idol」の日本語バージョン且つ日本オリジナル楽曲の「Lights」を収録したシングルをリリースするBTSを当の『ミュージックステーション』が起用するかは分かりませんが、たとえば今後発売される雑誌『CanCam』および『anan』への表紙起用が決定しており(BTSが「CanCam」「anan」表紙に登場、ツアー中のロサンゼルスで撮影 - 音楽ナタリー(5月21日付)参照)、ラジオおよび雑誌メディアはきちんと起用していると言っていいでしょう。そして雑誌のターゲット層を踏まえれば、表紙起用は若年層が好感触を持つということの証かもしれません。実際、若年層の韓国への印象は年配者と比べて断然好いという調査結果も出ています(若者は「親しみ」、年配は「嫌い」…韓国への世代間ギャップ(産経新聞) - Yahoo!ニュース(6月4日付)。個人的には、記事の〆の一文に登場する方の言葉、そして産経新聞の記事の結論の付け方には疑問を抱くのですが)。

 

 

K-Popに限らず韓国(文化)に関してはアンチが多いように見受けられ、攻撃対象とされる方々が過ちを犯すと(それが過去のものだとしても関係なく)炎上上等だとする態度が目立つのですが、昨年の問題においてはBTSの過去の態度が正しかったとはいえないのは解れど、では良好な関係を築くにはどうすべきか等を考えようとする気概を持たずにただ叩くだけという、韓国嫌いという私的感情を社会的正しさだとして(すり替えて)主張する方の感覚に引っかかりを覚えます。そしてそのような、批判ではない非難に埋没することなく「Boy With Luv」がヒットに至れているのは、若年層を中心にきちんと評価している方がいるという何よりの証拠と言えるでしょう。

今回書くにあたり、Twitterに蔓延り消えない感情論がひとつの契機になりました。嫌いとか気に入らないとかからくる論調には、客観的な数値でひとつひとつ立証していかなければと思っています。それでも嫌いであるという感情を拭えないのならば、”自分は聴かない”という選択肢を採ればよいだけではないかと思うのです。

「Old Town Road」強すぎ、対象的に「Me!」は…6月8日付米ソングスチャートをチェック

ビルボードソングスチャート速報。現地時間の6月3日月曜に発表された、6月8日付最新ソングスチャート。リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」が9連覇を達成、ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」が最高位となる2位に上昇。またダベイビー「Suge」が自身初のトップ10入りを果たしました。

アリアナ・グランデ「7 Rings」の8週を抜いて今年最長のナンバーワンヒットとなったリル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」。前週ミュージックビデオがストリーミングに初加算され歴代2位となるストリーミング再生回数を記録しましたが、今週は前週比12%ダウンしたものの1億1530万を記録し歴代5位。ストリーミング再生回数トップ10のうち実に8週を「Old Town Road」が、それもすべて1億超えでランクインさせるという驚異的なヒットとなっています。

ストリーミングはダウン傾向にあるものの未だ1億を超え、デジタルダウンロードは前週比8%アップの81000、ラジオエアプレイは同8%アップの9530万を獲得。ラジオエアプレイ3位、デジタル2指標首位で且つ未だ勢いが衰えていないのですから、どこまで首位の座を続けるかが楽しみです。

 

リル・ナズ・Xのみならず、最近のチャートは新鋭が頑張っています。

たとえばビリー・アイリッシュ「Bad Guy」。前週自己最高の3位を獲得したのですが今週はさらに1ランクアップし2位へ。アルバム『When We All Fall Asleep, Where Do We Go?』も米アルバムチャートで首位に返り咲いた今週、同曲のストリーミングは前週比1%アップの3870万(同指標2位)、デジタルダウンロードは同10%アップの20000(同指標4位)、ラジオエアプレイは同29%大幅アップの3820万(同指標22位)と数字の面でも躍進。それでも「Old Town Road」のおよそ3分の1のポイントであることから如何に「Old Town Road」がモンスターヒットかが解るのですが、このまま「Bad Guy」が伸びていけば首位交代もゼロではないかもしれません。

3位にはカリード「Talk」が上昇。ロジックにアレッシア・カーラ共々参加した「1-800-273-8255」(2017)での自己最高位に並びました(主演作では初)。ラジオエアプレイで前週比16%アップし8840万となっており、こちらも伸びしろがあると言えます。

 

さらに今週は新鋭がトップ10内に初登場。ダベイビー「Suge (Yea Yea)」が前週から5ランク上昇し、9位に付けました。

ストリーミングは前週比17%アップの3520万(同指標4位)、デジタルダウンロードは50位未満ながら同17%アップの5000、そしてラジオエアプレイは同25%アップの2240万で同指標50位に登場。既にラジオでも支持を受けており、トップ10入りを受けて次週は全指標上昇の可能性は高いかもしれません。

ちなみにこの「Suge (シュグ)」とはシュグ・ナイトのこと。ヒップホップ好きな方ならご存知の方が多いかもしれません。DJ YANATAKEさんの解説が分かりやすいですので、勝手ながら紹介いたします(問題があれば削除いたします)。

この「Suge」が収録されたアルバム『Baby On Baby』は今年3月に米ビルボードアルバムチャートで25位に初登場し、前週最高位となる7位を獲得。アルバムも「Suge」のヒットに伴いどこまで伸びるか楽しみです。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」

2位 (3位) ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」

3位 (5位) カリード「Talk

4位 (2位) エド・シーラン & ジャスティン・ビーバー「I Don't Care」

5位 (4位) ジョナス・ブラザーズ「Sucker」

6位 (7位) ポスト・マローン & スウェイ・リー「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)」

7位 (6位) ポスト・マローン「Wow.」

8位 (8位) サム・スミス & ノーマニ「Dancing With A Stranger」

9位 (14位) ダベイビー「Suge」

10位 (10位) エイバ・マックス「Sweet But Psycho」

そしてもうすぐトップ10はこちら。

・ヤング・サグ、J・コール & トラヴィス・スコット「The London」(12位初登場)

モーガン・ウォレン「Whiskey Glasses」(26→17位)

・ブレイク・シェルトン「God's Country」(24→20位)

 

さて次週は、前週末に解禁したケイティ・ペリー「Never Really Over」がどこまで上昇するかが楽しみです。

翌週には、今週末に10年ぶりのアルバム『Happiness Begins』をリリースするジョナス・ブラザーズの「Sucker」が、アルバムの勢いを受けて再度浮上する予感。

「Sucker」は最新ソングスチャートでラジオエアプレイを制しており、前週比1%未満ながら上昇し1億580万を獲得。アルバム効果でデジタル2指標が伸びれば再度トップ3する可能性もあります。

 

カントリー2曲がトップ20内に入ってきたのとは対象的に、カントリーからポップアイコンとなったテイラー・スウィフトの、ブレンドン・ユーリーを迎えた「Me!」が早くもトップ10から陥落してしまいました。前のアルバム『Reputation』(2017)からの先行曲「Look What You Made Me Do」がトップ10入りわずか8週だったのですが、「Me!」はその半分となる4週のみの在籍に。この状況、かなり危機的だと思うのは自分だけではないはずです。

テレビ・ラジオ業界で目立つ”6月改編”、実施局に必要な配慮を考える

テレビやラジオ局の改編といえば4月と10月が定番です。1クールの連続ドラマを踏まえ7月と1月の改編もありますが、基本は春と秋のはず。それが、今月から大きく変える局が存在します。いわば、6月改編とでも言いましょうか。

たとえばTBSテレビ。

5月で星浩さん以外は卒業となり、雨宮塔子さんは渡仏の模様。TBSラジオ『アフター6ジャンクション』の木曜パートナー等を務める宇内梨沙アナウンサーは日曜版『Nスタ』のスポーツコーナーを担当することに。『Nスタ』日曜版も昨日からメンバーを一新しています。下記Instagramは宇内アナウンサーのアカウントのリンクを貼付(問題があれば削除いたします)。

厳密には『NEWS23』も『Nスタ』日曜版も番組出演者がほぼ一新される形であり改編とは異なるかもしれませんが、今日からは元テレビ朝日アナウンサーの小川彩佳さんがメインとなることから『NEWS23』は改編並の変革を断行したと言っていいでしょう。小川アナウンサーの退社は4月5日付と報じられており(テレ朝・小川彩佳アナ、5日付で退社…「令和」5月に1歳年上の一般男性と結婚へ : スポーツ報知(4月7日付)参照)、それを待っての6月改編だったのかのかもしれません。

 

ラジオ局で大きな改編がみられたのはInterFM897

こちらは今日から放送される新番組ですが、はじまるのはこの番組くらいでしょうか。他方、先月で終了した番組は複数。

土曜午前の『The Vance K Show』、日曜早朝の『THE MIKE ROGERS SHOW』が共に終了。その終了分を、土曜は早朝と午前の2つの生ワイド番組をそれぞれ1時間ずつ伸ばして対応、日曜はスペシャルミックスを放送…って、これでは人員削減ではないかと思うのです。その他にも水曜20時台の1時間、土曜14時からおよび25時30分からの30分番組も終了し、こちらも”Music Mix”というスペシャルミックスに差し替え。逆にスペシャルミックスからDJ有の番組に切り替わったのは先述した『Forever Young』のみですが、4ヶ月限定なんですよね。これでは6月改編が規模縮小等のマイナスイメージとして捉えられてもおかしくない気がします。

 

 

NEWS23』は視聴率が、InterFM897は局全体の聴取率が芳しくないということは耳にしたことがあります。またラジオ業界では、トップを行くTBSラジオ聴取率よりも聴取データが即座に判るradikoを活用したサービスを運用しています。

この手法が他局にも波及すれば、(尤もラジオ局ではTBSラジオ以外の民放局が聴取率調査週間に”スペシャルウイーク”を打つ等、旧来の手法にもこだわっているものの)これまで以上に”数字”を求める姿勢が各局に登場し、有望な人員を引き抜いたり逆に数字が獲れない番組を終了させること等、春や秋の改編時期を待たずに行うことが自然となってくるのかもしれません。

しかしながら、InterFM897においてはその内容から規模縮小という後ろ向きな姿勢が見て取れるゆえ、ならばスペシャルミックスでの他局との差別化をどう図るかを提示する等、縮小ではなく攻めの改編であることを訴求したほうが好いでしょう。またTBSテレビにおいては人員配置問題が見て取れるため、4月改編出来なかった理由を伝える、もしくはそれを言わずともリニューアル後に明確に且つ良い方向に変化したことを示す必要があるでしょう。裏にあるかもしれない諸事情を上手く隠し、数字は求めてもそれが第一義だと思わせない姿勢を明確に示すことが重要だと考えます。

「ワタリドリ」「青と夏」は大ブレイク予備軍? 2曲を支える指標とは

先週水曜に発表された、6月3日付ビルボードジャパンソングスチャート。Official髭男dismが「Pretender」の上昇を機に旧譜もチャートを上昇していることについては一昨日述べました。

ではこの2曲は何をきっかけに伸びているのか…その明確な理由はつかめなかったものの、ここに来て伸びているのは間違いありません。

 

・[ALEXANDROS]「ワタリドリ」(37位)

・Mrs.GREEN APPLE「青と夏」(44位)

「ワタリドリ」は2015年に年間62位、「青と夏」は昨年年間84位とそれぞれビルボードジャパン年間ソングスチャートトップ100にランクインを果たしており既に実績を残しているのですが、ここに来て再浮上。といっても瞬発力でチャートインを果たしたというわけではなく、”着実に”というのが両曲のCHART insightからみえてきます。

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(※「ワタリドリ」については直近の150週分を表示しています。)

2曲共に、楽曲を大きく動かしているのがストリーミング(青の折れ線グラフ)および動画再生指標(赤)。「ワタリドリ」は共にチャート構成比の3割前後、「青と夏」はストリーミングだけで半分近くを稼いでいます。ストリーミングは両曲共に以前から常に高位置でランクインしており、それが総合チャート(黒)を下支えすることで「ワタリドリ」は2015年3月16日付以降、「青と夏」は2018年7月23日付以降常に300位以内をキープしていたと想像出来ますが、今年に入ってからは動画再生指標も上昇し、2つの指標で総合チャートを牽引しています。このブログエントリー執筆段階で9429万の再生回数を誇る「ワタリドリ」は実は今年2月11日付になってはじめて動画再生指標で300位以内にチャートインしたのですが、これはおそらくISRCの付番がきちんと行なわれていなかったことによるものではないかと思われ(ISRCの付番については以前記載しています。高い動画再生回数を記録する曲がビルボードジャパンチャートに反映されない理由(2015年6月18日付)参照)、おそらくクリアしただろう後、最新6月3日付では動画再生指標13位まで上昇。「青と夏」も同指標18位となり、ストリーミング共々大きな力となっているのです。他方最新チャートにおいて、シングルCDセールス指標は共に300位未満。「青と夏」は昨年の楽曲であり実店舗でレンタル可能な状況にあるゆえか、ルックアップ指標が最新チャートで55位と高い位置にいますが、「ワタリドリ」はルックアップも300位未満、それも2年以上その状況であることを踏まえれば、ロングヒットにおけるシングルCDの重要度はかなり低いことがよく解ります(ジャンルにより重要度は異なりますが)。

 

先に「ワタリドリ」と「青と夏」の上昇要因について、”明確な理由はつかめなかった”と書きましたが、おそらくは[ALEXANDROS]が現在公開中の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』日本版主題歌の「Pray」を先月、Mrs.GREEN APPLEシーブリーズCMソングの「ロマンチシズム」をこの春リリースしたことで、その楽曲を機に旧譜を掘るというOfficial髭男dismと同様の流れが生まれているのかもしれません。 

「ワタリドリ」「青と夏」は以前から長きに渡り支持され続け、おそらくは両バンドにとって代名詞的な楽曲と言えるでしょう。共にストリーミングおよびフルバージョンでのミュージックビデオが解禁されているため、両バンドにとってさらなるブレイクのきっかけとなる曲が誕生すれば新曲と共に大ヒットに至れるという下地(新曲を機に”見つけやすい”という環境)が「ワタリドリ」「青と夏」には整っていると言えます。あいみょんさんの大ブレイクやOfficial髭男dismがその流れに乗りつつあるその環境を考えるに、ストリーミングやフルバージョンのミュージックビデオの解禁はその下地を形成するのに間違いなく必要だというのが自分の見方です。

YouTubeの”プレミア公開”は日本で徹底されるのかについての私見

今週記した、エド・シーラン「Shape Of You」のヒット分析についてたくさんの反響をいただきました。

その中で特に、音楽ジャーナリストの柴那典氏が弊ブログを引用していただきつつ、追記している内容に強い興味をいだいた次第。

なるほど、YouTubeの有料サービスについて整理しないとなあと思った矢先、柴氏が取材した記事が公開。非常に分かりやすいので紹介します。

音楽に特化したYouTube Musicというサービスには有料プラン”YouTube Music Premium”も存在。広告が出ず、バックグラウンド再生やオフライン再生が出来るという利便性の高さが特徴。他のストリーミングサービスが基本音声のみなのに対し、YouTubeの強みを活かしたサービスと言えます。そして、柴氏がツイートしたYouTubeの”プレミア公開”については。

「ミュージックビデオをYouTubeに公開する際、ライブ配信として公開するんです。予め時間を決めて、カウントダウンを経てファン同志がチャットをしながら同時に観る。この機能をリリースして以来、MV公開からの24時間の再生回数に次々と記録が生まれています。先日はアリアナ・グランデが「サンキュー、ネクスト」でその記録を作って、BLACKPINK、BTSがそれを塗り替えるようなニュースも出てきています」

フジロックでYouTubeライブ配信が実現した背景 | BARKS(5月28日付)より

ミュージックビデオ公開をイベント化することで、より盛り上がり再生回数も増えることが期待され、現にYouTubeプレミア公開を用いてアリアナやBTS等は記録的な数値を獲得。数値については各音楽メディアで報じられ、また弊ブログでの米ビルボードソングスチャート速報でも紹介しています。

 

そのYouTubeプレミア公開を用いて、昨日ミュージックビデオをアップしたのがケイティ・ペリーでした。

ゼッドとドリームラボがプロデュースした、ケイティ・ペリー単独名義且つクリスマスソング以外ではアルバム『Witness』(2017)以降久々のシングルとなる「Never Really Over」。ケイティは曲名のハッシュタグおよびジャケットを今週半ばにSNSで投稿し新曲の存在を匂わせ、そしてプレミア公開を利用。

あと何時間後にミュージック・ビデオが公開されるかが書かれており、常に世界中のファンが同ページのチャット・スペースで「早く観たい!」と「ポップ・クイーンが、私たちを癒すために戻ってきた!」など毎分毎秒コメントが流れている。現状、日本時間5月31日13:00になると、ここでミュージック・ビデオが公開される予定だが、動画左下の「リマインダーオン」を押しておくと、ミュージック・ビデオがYouTubeで公開された瞬間に通知を受信でき、公開と同時にビデオを瞬時に見ることができるのでオススメだ。

ケイティ・ペリー、約2年ぶりのニュー・シングルとMVを明日13:00に解禁 | Musicman-net(5月30日付)より

当該機能を用いてミュージックビデオ公開を、歌手とファンもしくはファン同士のつながりを深める(そしてファンではない方にとっても、タイムライン上に流れてくることで楽曲認知につながる)祭り状態にしていることがよく解ります。現段階で再生回数は900万を超えており、再来週火曜発表予定の6月15日付米ビルボードソングスチャートでどの位置に登場するか、非常に楽しみです。

 

 

たとえばアメリカでYouTubeプレミア公開が用いられる理由を考えるに、米ビルボードの集計期間に倣った発売日設定が徹底しているからではというのが私見です。米ビルボードのソングスチャートにおいてはデジタルダウンロードおよびストリーミングの集計期間が金曜からの1週間、ラジオエアプレイは3日後の月曜からの1週間であり、金曜にミュージックビデオ等を解禁し集計期間フルでカウントしたいという思いが歌手側に徹底されています。たとえばテイラー・スウィフトはこの春、インスタグラムで謎の数字をアップし、ホームページではカウントダウン行われていましたが(テイラー・スウィフト、謎のカウントダウンが公式サイトでスタート。4/26に何か発表か? (2019/04/15) 洋楽ニュース|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)参照)、インスタグラムの数字(イコール日付)およびカウントダウンが終了する日が金曜ゆえ新曲公開の可能性が高く、そしてその日、4月26日にブレンドン・ユーリーとの「Me!」を解禁したわけです。デジタル2指標が初加算された「Me!」が米ビルボードソングスチャートで2位に躍進したのはその解禁日設定の影響もあり、そして「Me!」でもYouTubeプレミア公開が用いられています(テイラー・スウィフトが新曲『Me!』のリリースを発表 YouTubeプレミア公開を予告 | ガジェット通信 GetNews(4月26日付)参照)。金曜に発表日が集中するゆえ、より目立ちたいという思いもあるのかもしれません。

 

他方、日本人の歌手でこのYouTubeプレミア公開を大々的に用いたという話はあまり聞こえてきません(自分が知らないだけかもしれませんが)。近い将来使用する方が出てくるでしょうが多くの歌手に活用されるかは難しいかもと考えています。日本ではミュージックビデオや音源解禁の曜日が未だバラバラの傾向があり、解禁日をタイアップ先の作品のタイミングに合わせる傾向があるため(ドラマ主題歌ならばそのドラマの放送曜日に、映画主題歌ならばその作品の情報解禁に即して、等)…というのが私見。もしくはテレビ局の朝の情報番組が強い情報源となるゆえそこで公開(がアナウンス)されるか、番組で紹介されるべく前日にイベントを用意することがむしろ主流のような気がします。そのほうが、特に映画では宣伝も兼ねられるし予算面でも一石二鳥という傾向があるのかもしれません。その点でいえば、今週火曜にミュージックビデオが解禁された米津玄師「海の幽霊」の、解禁前日に行なわれた上映イベントはその最たる例と言えるでしょう。

尤も、米津玄師さんは「Lemon」においてビルボードジャパンソングスチャートを意識したかの如く月曜解禁を徹底しており(タイアップ先のドラマ『アンナチュラル』(2018 TBS)が金曜放送だとしても各種解禁は月曜。米津玄師「Lemon」 シングルCDセールスに至るまでの絶妙なタイミング(2018年3月16日付)参照)、「海の幽霊」のデジタルダウンロードも6月3日月曜にスタート。イベントを今週月曜に用意したのは、月曜に口コミで話題が広がった分もビルボードジャパンソングスチャートに反映させる手段だったのかもしれず、だとしたらプレミア公開を用いていないとしてもその設定の仕方は実に巧いと思うのです(米ビルボードソングスチャートと異なり、ビルボードジャパンソングスチャートではTwitterも構成指標のひとつ)。

 

YouTubeプレミア公開ではショートバージョン(短尺版)は用いることが出来ないだろうゆえ、フルバージョンでの公開を望まない歌手が多い日本では同サービスが浸透しないとも言えるでしょう。しかし、ミュージックビデオを浸透させ再生回数増加につなげていく、それこそエド・シーラン「Shape Of You」が2年以上ロングヒットに至っている要因が動画再生とストリーミングの各指標にあるのであればまずはそこを徹底させ、さらにYouTube各サービスをきちんと活用することも視野に、歌手側とレコード会社側にはあらためてお願いしたいところです。

 

 

ちなみに、歌手側がYouTubeの活用を望まないのならば、ラジオを活用するのもひとつの手段だと思います(し、同時にラジオにとっても生き残るためには新曲のプレミア公開の徹底が必須だろうことは以前指摘しています。ラジオが生き残る可能性(2016年2月11日付)参照)。YouTubeに比べてインパクトが弱いと思うならば、ラジオで新曲が解禁された直後にそのラジオ番組のradikoタイムフリーのリンク先を即座に歌手側のSNSで掲載するのはどうでしょう。radiko側も率先してそのサービスを用意し、放送局が地元では無い場合にはradikoプレミアムに誘導することも出来るかもしれません。

Official髭男dism、「Pretender」が旧譜を牽引し大ブレイクの流れに突入か

今週水曜に発表された、6月3日付ビルボードジャパンソングスチャートをみるに、Official髭男dismが大ブレイクの流れに入ったといっていいでしょう。「Pretender」のシングルCDセールスおよびルックアップ両指標がチャートで初加算される直前に一度楽曲の動向を記載していますが(Official髭男dism自己最高位更新、次週は頂点を極めるか? 5月27日付ビルボードジャパンソングスチャート上位陣を予想する(5月17日付参照)、そこから2週間で状況は大きく変化しているのです。

 

何よりまず、「Pretender」が自己最高位となる2位を獲得。

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主題歌に起用された映画『コンフィデンスマンJP -ロマンス編-』が2週連続で興行収入ランキングを制したことで勢いが加速。ソングスチャートを構成する8指標のうち5つでトップ5入りを果たし、所有(売上)および接触の双方で支持を集めています。なにより、あいみょんマリーゴールド」からストリーミング指標首位の座を奪ったことは見事。

そのストリーミング指標において『トップ100入りした楽曲数とその総再生回数は、前々週3曲(277.9万回)→前週4曲(496.3万回)→当週5曲(696.6万回)ときれいな右肩上がり』(上記記事より)。「Pretender」を機にOfficial髭男dismの過去曲を振り返る動きが出てきています。

その結果、ソングスチャートでも面白い動きが。

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ドラマ版『コンフィデンスマンJP』主題歌、「ノーダウト」は最新6月3日付ソングスチャートで20位を記録。昨年5月14日付で記録した21位を上回り、楽曲としての最高位を更新しています。また。

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昨秋リリースされ、自身初のトップ10ヒットとなった「Stand By You」(2018年10月29日付で10位)は最新6月3日付ソングスチャートで63位に登場。同日付ストリーミングソングスチャートでは「ノーダウト」が10位、「Stand By You」が23位といずれも上昇し、同指標が前者ではポイント全体の半分強、後者が4分の3近くを占めて楽曲を牽引しています。

さらに最新のストリーミングソングスチャートに登場した「115万キロのフィルム」(48位)および「ESCAPADE」(78位)が「ノーダウト」共々収録されたアルバム『エスカパレード』も。

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昨年4月23日付で初登場した際の35位が最高位でしたが、今週は前週から16ランクアップし30位。「ノーダウト」共々作品での最高位を更新したのです。アルバムCDセールスは前週からむしろダウンしているのですが(77→81位)、デジタルダウンロードが18位まで上昇、ルックアップも25位となっています。

 

「Pretender」のブレイクを機に、過去作にも注目が集まっていることがチャート上で証明されたOfficial髭男dism。「Pretender」は直近で2週連続7000ポイントを超えていることもあり(7986→7267ポイント)、今後もポイントを急降下させることなくロングヒットに至ったならば、昨年から今年にかけてのあいみょんさん並のヒットに至れるかもしれません。『NHK紅白歌合戦』は早いうちにOfficial髭男dismの大晦日のスケジュールを押さえるべきだと本気で思います。

6月3日付ビルボードジャパンソングスチャート首位曲からはじまる、ジャニーズ事務所所属歌手のシングルCDの展開手法を疑問に思う

5月20~26日を集計期間とする、6月3日付のビルボードジャパン各チャートが昨日発表され、総合ソングスチャートはHey! Say! JUMP「Lucky-Unlucky」が制しました。

Twitterにもあるように、2位にはOfficial髭男dism「Pretender」が、前週から1ランクアップし自己最高位を更新。同曲が菅田将暉まちがいさがし」を逆転する可能性については前週示唆しました。

総合ポイントの前週比はOfficial髭男dism「Pretender」が91.0%に対し、菅田将暉まちがいさがし」は67.7%。「まちがいさがし」はミュージックビデオを公開しておらずまたストリーミング未解禁、CD未リリースにつきレンタルも出来ないという”所有(売上)”のみで”接触”不可という状況ゆえ前週から落ち込んだとみられ(とはいえそれでも前週比でこの数値は立派かと)、他方接触環境も完璧な「Pretender」が逆転した形です。

他方、前週首位の亀梨和也「Rain」は19位へ後退。ポイント前週比は13.6%であり、ジャニーズ事務所所属歌手の平均的な推移を踏襲したと言えます。

デジタル未解禁が響いていますが、他方レンタル解禁日がシングルCD発売と同日だったことやドラマ主題歌ゆえルックアップが強いことが、これ以上のランクダウンを防いだと言えるかもしれません。今週は亀梨さんと同じ事務所所属のHey! Say! JUMPが首位を獲得しましたが、シングルCDセールス指標がポイント全体の9割を超えるため、次週どこまで踏みとどまるかが注目されます。

 

 

さて、今日はジャニーズ事務所所属歌手の楽曲の展開手法について。

デジタルに極めて明るくないジャニーズ事務所所属歌手の展開について、ごく一部ながらデジタルダウンロード解禁の動きがみられていることを踏まえ、デジタル解禁の希望を込めてブログエントリーを記載したことがあります。

しかしながら、この数日間の動きをみるに、この願いがスポイルされるのではと思うようにも。というのも、ここに来てジャニーズ事務所所属歌手がCDの販売に特化した動きをし始めているのです。

 

まず衝撃的だったのが、関ジャニ∞のアプリに伴う動き。

アプリ自体は以前から存在しており、スマートフォン対応のアプリを用意している段階でデジタルに前向きではと思うかもしれません。しかし。

このジャニーズのサービスはそんな生半可なものじゃない。改めてコードを付けることで過去の旧譜すらCDの購入を改めて促そうという、ジャニーズ事務所本来の思想があからさまに具現化されたブツです。

ミュージシャンがストリーミングに楽曲を解禁すること - WASTE OF POPS 80s-90s(5月24日付)より

つまりは、アプリに対応したシリアルコード付きCDが7月に出るので、アプリを活用するためにはそちらを買ってくださいということですよね。ファンの方でしたら既に大半の旧譜を手に入れているはずでしょうが、アプリ対応のためにもう1セット買わないといけなくなるということ。出費がかさまないための配慮でしょうか、期間限定で割引価格での提供となっていますが、それでもとんでもない額になることは確実。ならば通常のミュージックアプリに取り込み活用すればいいと思いますし、取り込むためのパソコンがないならば旧譜を1セット買う資金をそちらに回すことを自分ならば勧めます。アプリ限定のサービスが充実しているのかもしれませんが、流石にこれはコアなファンでも物理的に厳しいのでは? とはいえファンが抱く盲目さは理解出来ますので、自身のできる範囲でどうか…と願うばかりです。

 

さて、関ジャニ∞のキャンペーンがコアなファン向けのものだとすれば、特段その歌手のファンではないものの楽曲に興味がある等のライト層向けに対しても、不自由な状況が生まれています。実は、ジャニーズ事務所所属歌手が今月以降リリースするシングルCDにおいて、レンタル解禁が発売日と同日設定ではなくなっているのです。5月22日にシングルCDが発売され、今回1位を記録したHey! Say! JUMP「Lucky-Unlucky」はレンタル解禁が6月8日となり、アルバム同様およそ3週間後に設定されています(発売日はこちら、そしてレンタル解禁日はこちらに。リンク先はどちらもTSUTAYAより。近隣のTSUTAYAおよびGEOで昨日レンタルコーナーを確認しましたが、「Lucky-Unlucky」は見当たりませんでした)。このレンタル解禁が発売日と同日設定ではなくなっている事態、自分が調べてみた昨年末以降今年春までの同事務所所属歌手の作品では一切見当たず、「Lucky-Unlucky」を機にはじまっている模様。今後はNEWS「トップガン」もシングルCD発売が6月12日レンタル解禁が6月29日と遅れることになります(なお、V6および山下智久さんのシングルも6月にリリースされますがレンタル解禁は同日となっています)。

 

これまでジャニーズ事務所所属歌手のシングルCD収録曲を所有(購入)ではなく接触する場合、ラジオのような受動ではなく能動的(自発的)に接触出来る唯一の手段がCDレンタルでした。事務所側へのデジタルに明るくない姿勢を懸念する声は少なくないものの、ともすれば発売日とレンタル解禁が同日という設定をキープしてきたことが、その声を抑える(沈静化させる)ひとつの要因になっていたかもしれません。が、今回その唯一の接触手段も潰える形となってしまったのです。5~6月発売の4組のサンプルのみで断言するのはまだ早いかもしれませんが、とはいえ山下智久さんの所属レコード会社がソニー、V6がavexと外部であるのに対しHey! Say! JUMPジェイ・ストーム、NEWSがジャニーズ・エンタテイメントジャニーズ事務所関連のレコード会社所属。また、先述した関ジャニ∞ジェイ・ストーム内のINFINITY RECORDS所属でありこちらも関連レコード会社であることを踏まえれば、自社内でコアなファンの囲い込みを徹底させる一方、ライト層はCDを購入しない限り受け付けない(と言っても過言ではない)体制を徹底させてきているように思います。

 

(なお、先述した関ジャニ∞のシリアルコード付き商品がTSUTAYAレンタルデータに現段階で登場しておらず(TSUTAYA関ジャニ∞をレンタル検索し、新しい順に表示した結果はこちら)、このあたりも気になるところです。)

 

 

今後、ジャニーズ事務所関連以外のレコード会社からリリースしている同事務所所属歌手のシングルCDのレンタル解禁がどうなるかに注目ですし、また今回の事態を踏まえればミュージックビデオのティーザーを解禁する/しない等もジャニーズ事務所関連のレコード会社か否かであることが大きく影響していることが解ります(今週King & Prince「Naughty Girl」のミュージックビデオのティーザーがYouTubeにアップされましたが、King & Princeはユニバーサルミュージック所属。ただし厳密にはユニバーサル内の”Johnnys’Universe”所属となります)。

現状において強気な戦略を採っていますが、ともすれば男性アイドル歌手という括りの中でメディア露出の多さ等で抜群の知名度を誇っているゆえ、レンタル解禁を遅らせてもほぼ安泰だろうという見方を持っているのかもしれません。しかし、たとえば今週のアルバムチャートでは全員が歌って踊れるというLDH新形態のBALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBEの初アルバムが今週のビルボードジャパンアルバムチャートを制したり、BTSをはじめとするK-Pop男性グループの人気が続いていたりと、他事務所等所属の男性グループが台頭しているように思う故、彼らと比較して内向きの戦略でいいのだろうか…という思いに駆られます。才能ある方が多い事務所なのですから尚の事、内向きに移行しCDにこだわる姿勢は至極勿体無いよなあというのが私見です。