イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

HY「366日」はもっとヒットしたのではないか…チャートポリシーの違和感を踏まえ、改善提案を記す

4月クールのドラマ『366日』(フジテレビ)のモチーフになったHY「366日」が最新5月22日公開分ビルボードジャパンソングチャートで93位に入り、6週連続で100位以内をキープしています。アルバム『HeartY』(2008)収録曲の「366日」はストリーミング(下記CHART insightでは青で表示)もさることながら、動画再生(赤)およびカラオケ(緑)の強さも特徴です。

(ビルボードジャパンは今年CHART insightをリニューアルした結果、総合もしくは構成指標のいずれかで20位以内に入っている曲であっても20位未満となった他指標の順位が可視化されなくなりました。動画再生においては一時的に途切れているようにみえるものの、実際は21~100位が表示されない一方で100位未満300位圏内ならば表示されています(ゆえにビルボードジャパンには21~100位も可視化するよう、改善を求めます)。)

動画再生指標は4月以降100位以内に登場するようになり、前週まで3週連続でトップ20にランクインしていますが、これにはビルボードジャパンソングチャートのチャートポリシー(集計方法)が影響しています。一方で、仮にこのチャートポリシーが海外仕様ならば「366日」は総合ソングチャートにおいてさらに高い位置に到達したものと考えます。

 

 

HY「366日」の上昇は、ドラマの第2話以降において主題歌に用いられた”コラボレーション版”の動画再生指標への波及が背景にあります。

第2話放送のエンディング以降、主題歌であるHYの「366日(Official Duet ver.)」ではなく、HY仲宗根泉と男性アーティストがデュエットした「366日」のコラボヴァージョンがサプライズでオンエアされ、さらにそのあとに楽曲配信がスタートするという、今回の月9ドラマでしか叶わない週替わりの夢のコラボに注目を集めています。第2話はスキマスイッチ大橋卓弥、第3話はJO1・與那城奨、第4話は川崎鷹也、第5話はINI・藤牧京介、第6話はMONGOL800キヨサクとのコラボが実現。

実際、コラボバージョンはいずれもHYの公式YouTubeチャンネル(→こちら)にて動画が公開されています。また配信も行われ、ビルボードジャパンソングチャートのダウンロード指標では大橋卓弥さん参加版が4月24日公開分で19位、與那城奨さん(JO1)参加版が5月1日公開分で17位、藤牧京介さん(INI)参加版が5月15日公開分で15位を記録していますが、コラボ版は「366日」のダウンロード指標には反映されていません。

 

ビルボードジャパンの合算に関するチャートポリシーは米ビルボードによる米やグローバルのソングチャートとは異なり、言語のみが異なる場合を除いてアレンジ違い、また歌手を追加するバージョンは基本的に合算されません。ゆえにリミックス等の施策が直接反映されない一方で、たとえばTHE FIRST TAKEではそのバージョンが音源リリースされない限り、アレンジが異なっても動画再生分がオリジナル版に合算されます。

動画再生指標では動画に付番されたISRC(国際標準レコーディングコード)がカウント基準となり、HY「366日」のコラボレーション動画にはオリジナル版のISRCが付番されたものと考えられます。それが動画再生指標の上位進出につながったとみられますが、ダウンロードではオリジナル版とコラボ版は合算されず、ストリーミングも同様とみられます。合算されるか否かが指標毎に異なるのは、矛盾といえるかもしれません。

(ちなみに、ドラマ「366日」の第1話主題歌は2月29日にリリースされたHYによる”Official Duet ver.”であり、こちらもダウンロード指標では合算対象となりません。)

このブログでは以前より、ビルボードジャパンが合算基準を海外チャートに合わせることを以前から提案しています(他の提案も含む昨年11月掲載分については上記エントリー参照)。仮にこの提案が叶っていたならばHY「366日」はビルボードジャパンソングチャートでさらに高い位置に到達していたはずです。

ビルボードジャパンは日本の楽曲の海外(日本以外)でのヒットを可視化するチャートを昨秋新設し、歌手の海外進出を促しています。一方で合算等のチャートポリシーがグローバルと日本とで乖離するため、歌手側の施策はどっちつかずになりかねません。元々のグローバルチャートは出身歌手の自国でのヒットも反映される以上、ビルボードジャパン側がチャートポリシーを海外仕様に合わせることが必要だというのが私見です。

 

 

チャートポリシーへの違和感はあれど、様々なバージョンのリリースがオリジナル版の注目度を高め、「366日」が上昇を果たしたことは間違いありません。一方で、冒頭にて採り上げたミュージックビデオはHY側ではなく、テレビ朝日ミュージックの公式YouTubeチャンネル(→こちら)発というのが気になった次第です。

ISRCYouTubeが音楽パートナーとみなしたアカウントが付番可能な一方、テレビ局や関連制作会社によるアカウントでは付けることができません(上記エントリー参照)。ゆえに、ともすればテレビ朝日ミュージックによるYouTubeチャンネル発の作品はどんなに人気を得ても動画再生指標に反映されないのではという可能性を感じています。

過去のミュージックビデオの高画質という流れが日本でも生まれています。叶うかは解りかねるものの、HY側が「366日」オリジナルバージョンのミュージックビデオを、高画質化した上でHY側のYouTubeチャンネルにアップすることが理想ではないかと考え、提案します。